レコードの新譜&再発盤を毎月ピックアップ Vinyl Dictionary Vol.03

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小川充

注目の新譜&再発盤を毎月ピックアップしてお届けするコーナー。
珠玉のレビューVinyl Dictionary(ヴァイナル辞典)は、音楽好き、ヴァイナル好きの皆さんにとって必見の内容となっています。
こちらで紹介する盤は是非一度お聴きしてクレイツに追加するかご検討下さい。


Tom Misch / Geography (Beyond The Groove)

Tom Misch / Geography

南ロンドン出身の若干20才のトム・ミッシュは、ジョン・メイヤーの影響を受けたシンガー・ソングライター兼ギタリストで、モス・デフやバスタ・ライムズらのリミックスも手掛けるトラックメイカー。デビュー・アルバムには地元のラッパー仲間のロイル・カーナーから、US勢のゴールドリンクに大御所のデ・ラ・ソウルまでフィーチャー。アシッド・ジャズに通じる「Lost In Paris」、ブギー・チューンの「South Of The River」のようにどこか懐かしさがありつつ、それを見事に今の時代の空気に変える天性の才能の持主。

Stimulator Jones / Exotic Worlds And Masterful Treasures (Stones Throw)

Stimulator Jones / Exotic Worlds And Masterful Treasures

USヴァージニア州出身のマルチ・ミュージシャンのスティミュレーター・ジョーンズ。これまで本名のサミュエル・ジョーンズ・ランスフォード名義などで作品を出し、<ストーンズ・スロー>ではコンピの参加などを経て本アルバムのリリースとなる。エムトゥーメイの「Juicy」を彷彿させる「Need Your Body」、往年のニョーヨーク・サウンドのようなミィディアム・ブギー「Water Slide」、ウィンドジャマーのようなAOR風味の「Give My All」と、1980年代のアーバン・ブラック・コンテンポラリー・リヴァイヴァル的な一枚。

Mr. Fingers / Cerebral Hemispheres (Alleviated)

Mr. Fingers / Cerebral Hemispheres

シカゴ・ハウスのレジェンド、ラリー・ハードによるミスター・フィンガーズ名義では1994年の『Back To Love』以来、実に24年ぶりのアルバム。アナログ3枚組、全18曲収録の大作で、「Sands Of Aruba」「A Day In Portugal」「Sao Paulo」と世界を旅して得たインスピレーションが元となるエキゾティシズムに富む作品が印象的。基本的にハード特有の深く沈み込むような美しいディープ・ハウス集だが、彼の鍵盤のほかにゲストのサックスやギター演奏を交え、「Full Moon」などに見られるようにジャズ・テイストが色濃い。

Leon Bridges / Good Thing (Columbia)

Leon Bridges / Good Thing

サム・クックやオーティス・レディングなど、1960年代のリズム・アンド・ブルースに影響を受けたスタイルを持つシンガー・ソングライター&ギタリストのリオン・ブリッジス。グラミーにノミネートされた2015年リリースのデビュー・アルバム『Coming Home』に続く待望の新作は、ソウル・バラードの「Bet Ain’t Worth The Hand」のように前作の路線を踏襲した作品の一方、ジャジーでダンサブルなグルーヴを持つ「Bad Bad News」、ディアンジェロばりの重厚なブラック・サイケデリアに満ちた「Lions」など新機軸も見せる。

Sidi Touré / Toubalbero (Thrill Jockey)

Sidi Touré / Toubalbero

アフリカのマリ共和国のソンガイ・ブルースは今や世界に影響を及ぼすエスノ・ミュージックだが、その普及に貢献したひとりがギタリスト&シンガー・ソングライターのシディ・トゥーレ。2011年よりトータスのリリースで知られるシカゴの<スリル・ジョッキー>から作品を出し、本作は2013年の『Alafia』より5年ぶりの新作。今まではアコギ演奏中心だったが、今回はエレキ・ギター&ベースの導入により「Hendjero Moulaye」「Handaraizo」「Heyyeya」などパワフルでアグレッシヴ、サイケデリックな新しい世界を見せる。

Portico Quartet / Untitles (Aitaoa #2) (Gondwana)

Portico Quartet / Untitles

スティールパンに似たハングドラムを演奏に導入するなど、特異なスタイルのジャズ・バンドとして知られるロンドンのポルティコ・カルテット。ゴー・ゴー・ペンギンやママル・ハンズなどと並んでジャズとエレクトロニカ的な音楽性を融合した特徴を持つ彼らは、2017年に『Art In The Age Of Automation』という意欲作を発表したが、本作はそれと同時期に録音されたセッション集。「Double Space」や「View From A Satellite」などアンビエント系から、コズミックなジャズ・ロックの「Index」「Unrest」など充実の一枚。

小川充

小川充
ジャズとクラブ・ミュージック系のライター/DJとして、雑誌のコラムやCDのライナーノート執筆、USENの『I-35 CLUB JAZZ』の選曲、コンピレーションの監修を手掛ける。主著『JAZZ NEXT STANDARD』シリーズ(リットー・ミュージック)のほか、近著に『Club Jazz Definitive 1984-2015』『Jazz Meets Europe』(以上、Pヴァイン)がある。

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