ニューヨーク・レコード掘りの旅 ブルックリン編

WRITER
Yayoi Kawahito

昔からブルックリンはカルチャーが生まれる中心地として機能し、様々なアーティストを排出してきた歴史的な街だ。しかし、ここ最近は地価の上昇や時代の変化により、変貌を遂げ、コミュニティは細分化して新しい街として成長し続けている。ヒップホップ好きな人は、まずブルックリンとは?と聞かれれば、スパイク・リー監督の映画 「Do The Right Thing 」「Crooklyn」 の舞台になったブラウンストーンの階段に座ってたむろし、チルする街並みをイメージするのではないだろうか。

映画、演劇の舞台となり、文学、音楽、アートなどの芸術革命が常に起き続ける場所ブルックリン。ヒップホップやアフリカンアートの中心地として根付き、ジェイ・Z、ビギー、ウータン・クランのRZAやODB、モス・デフ、タリブ・クウェリ、アリーヤなど数え切れない程のアーティストがこの街をレペゼンしている。

ちなみにジャズアーティストのアデレイド・ホールやセシル・ペインなどもブルックリン出身。そして、ブルックリン出身者を Brooklynite (ブルックリナイト、ブルックリナイツ)と呼び、ブルックリン訛りという言語ニュアンスが存在するほどオリジナリティに溢れ、マンハッタンとはまた違った独特の文化の発信地なのだ。

大阪市よりやや大きく東京23区の40%程度の大きさで、ユダヤ系、イタリア系、ロシア系、ポーランド系、アジア系、アフリカ系、カリブ系、ヒスパニック系など地区により様々な文化、人種が入り交じり、複数の地区で構成されている。この民族的多様性は移民によって創り上げられてきたニューヨークならではの傾向だろう。そしてブルックリンで最も多い民族はカリブ出身のアフリカ系である。そんなカリビアンにとって最も重要な、この土地ならではのルーツに属したレコード屋から巡ってみよう。

Record City

路上でもレゲエやカリプソが流れるフラットブッシュ・アヴェニューとフェニモア・ストリートの角、プロスペクト・レファーツ・ガーデンズ地区に位置するレコード店。レゲエ再発レーベルDKR Records(Deeper Knowledge Records)の創立者で、DJ 兼レコードディーラーでもあるIan Clarkがオーナーであり、自身の再発レーベルとコレクションを含めた5,000枚以上のレコードをストックするショップ。ルーツ・レゲエ、ロック・ステディ、スカ、ダブ、ダンスホールなどのレゲエ・セレクションを中心にディスコ、ソウル、ファンク、ジャズ、ロック等も取り扱う。Studio OneからJohn Coltrane、マニアックなレゲエまでもあり、その他にもラップ、R&B、アフリカン、ラテン、カリビアン、ブラジリアンも揃っており、総合的に見てグルーヴを重視した選曲が印象的なお店だ。

Record City
https://www.discogs.com/seller/recordcitybk/profile
65 Fenimore St, Brooklyn, NY 11225

The Mixtape Shop

ビギーが生まれた地、ブルックリン・ベッドスタイ地区は、今やクリエーターの集まる粋なエリアになりつつある。斬新かつ落ち着きのあるカフェ&レコードストアThe Mixtape Shopがこのエリアにある。2009年にThe Mixtape Clubとしてウェブプロジェクトから始まり、その後に実店舗の開業に至ったとパートーナーのBrainは語る。取り扱うレコードはダンスミュージックが大半を占め、ダンスミュージックから派生したジャンルも取り入れる。ハウスがメインで、ディスコとテクノ、それらのジャンルに影響を与えたソウル、ジャズ、エレクトロニック、ダウンテンポ、ブラジリアン・ミュージックをピックアップしている。定期イベント、インストアライブ、お茶のイベント等も企画し、レコード好き以外の方にも、美味しいコーヒーやお茶を飲みながらゆっくり落ち着ける空間を提供しているのも魅力的だ。

The Mixtape Shop
https://themixtapeshop.com/
1129 Bedford Ave, Brooklyn, NY 11216

Human Head Records

ブッシュウィック地区はヒスパニック・コミュニティの中心地で、ニューヨークのヒスパニック文化に大きな影響を及ぼす地である。プエルトリカン・アヴェニューは昔からの移民が続けるショッピングストリートがあり、そんなラテンコミュニティーの角にあるレコード屋がHuman Head Records。およそ4,000から5,000枚のレコードが毎週入れ替わり、センスの光るオールジャンルのレコードが揃っている。高額のコレクターレコードから2〜5ドルまでのレコードまで幅広い価格設定と、ロック、パンク、ソウル、ジャズ、レゲエ、ヒップホップ、ラテンなどミックスされた品揃えとなっている。レコードマニアから、今日レコードデビューする若者まで、何かを見つけることが出来るようなショップだろう。オーナーのTravis曰く「コレクター達が多くのレコードを買える環境を提供したい」と語るように、価格も良心的になっている。

Human Head Records
http://humanheadnyc.com/
168 Johnson Ave, Brooklyn, NY 11206

Captured Tracks

ブルックリンのグリーンポイント地区には、Academy Records Annex(Academy LPsの姉妹店)、Co-op 87 Records、Record Grouch、The Thingなどのレコードショップが集まっている。その中でも、レーベルとして注目されているCaptured Tracksの店舗をピックアップしてみた。Captured Tracksはブランク・ドッグスのMike Sniperによって創立され、DIIV、Mac DeMarco、The Soft Moon、Widowspeakなどのインディーアーティストを世に送り出したブルックリン発のインディペンデント・レーベルで、レーベルならではのブレないセレクションがお店にずらりと並ぶ。勿論レーベルのカタログを筆頭に、ポストパンクやガレージ・ロックなどのシャープなキューレーションが光り、インディーズを愛するファンが通う一軒となっている。その他にもジャズなど他ジャンルのコーナーもあり、比較的値段も安め。カセットテープなども充実している。

Captured Tracks
https://www.omnianmusicgroup.com/pages/our-brooklyn-shop
195 Calyer St, Brooklyn, NY 11222

Record Shop

ブルックリン・ウォーターフロントの小さな港町、レッド・フック地区にある地域密着型のRecord Shop。とても和やかでコミュニティを大切にする憩いの場。ウェブサイトもSNSも無く音楽を通して人と人が繋がるスペースを提供し、オーナーのBeneは「レコードを売る為だけの店ではない」と語る。そんな雰囲気に合うように、オーガニックでメロウなセレクションが充実している。ジャズ、ファンク、ソウル、ロック、パンク、レゲエ、ヒップホップ、ラテン等の品揃えで、レア物も他より安価で買うことができ、比較的リーズナブルな価格設定となっている。店舗の後には床屋さん、地下には音楽教室といった、みんなが和気あいあいと集まれるユニークな地元密着型のレコードショップ。

Record Shop
360 Van Brunt St, Brooklyn, NY 11231

 

マンハッタン編はこちら

Writer & Photos / Yayoi Kawahito
ニューヨークをベースに最新のミュージックカルチャーを日本に届ける敏腕ライター。
https://www.instagram.com/yayoiiiii0308/

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