レコード買い付けの旅 Matsumoto Hisataakaa(VINYL7)

WRITER
吉本秀純

DJとしても知られるMatsumoto Hisataakaaが店主を務め、外国人観光客も頻繁に往来する路面に面した店舗でヒップホップやそのネタ元であるソウルやファンクなどを中心とした品揃えで京都で存在感を示す「VINYL7」。店主の言葉で丁寧に書き込まれたポップ、レア盤から定番、近年はポップスやロックなども増えてきた独自の品揃えなど。氏のフィルターを通してヒップホップ周辺だけにとどまらない展開をみせる同店の買い付け事情やエピソードについて、前半と後半に分けて語ってもらおう。

――買い付けは米国に行かれるそうですが、主にどのあたりの地域に行かれるんですか?
街として好きなのはボストンで、いつもまずボストンに入ってからどうするか考えるみたいな感じですね。そこからは行ける限り行くという感じで、一番足を伸ばしてオハイオ州の入口のあたりまでとかクリーヴランド、ニューヨーク州のバッファローとか…田舎の方に行くのが好きなんですよ。

――そのあたりってレコードは豊富にあるんですか?
ありますよ。レコード屋さんもありますし、フリーマーケットとか。ただ、西海岸のローズボウルみたいなものとは違って、東部にはまた独特のフリーマーケット文化があるんですけど、そこへ行くとイイものがむちゃくちゃ安い値段で手に入ることがありますね。

倉庫で行われているフリーマーケット。広大な敷地に立つメガ倉庫で、レコード以外にもさまざまな商品が並ぶ。写真(上)はその外観。

――米国へ買い付けというと、西海岸に行く方が多いイメージがありますけど。
いや、西海岸の方が絶対いいッスよ(笑)。暖かくて気候もいいし、フライト代などの経費も東に行くよりは安くで済むので。けど、あのへんのニューイングランドと呼ばれる地区が、レコードとか抜きにしても好きなんですよ。

――そのあたりの東部にハマるきっかけは何だったんですか?
新婚旅行で最初に行ったことですね(笑)。それもあるし、街の勝手みたいなのもわかるので。めちゃくちゃ田舎ですけど、伝統のある地域なのも魅力です。

VINYL7の壁にかかっているRUN DMC MY ADIDASのトレーナー。80年代のものでネットオークションでは高値が付いている。

――滞在期間はいつもどれくらいですか?
2週間ですね。というのは、レンタカーの期限が1週間区切りなので、7日では短いし20日では半端が出るので。買い付けとなるとヨソさんもそんな感じやと思います。

――で、ボストンを中心にその周辺地域をディグされると。
そうッスね。ボストンからマサチューセッツ、メイン州やバーモント、ペンシルヴァニア、フィラデルフィア、ニュージャージー、ロードアイランド辺りも行きます。

――その辺りの人々というのは、どういう雰囲気なんですか?
もちろんいろんな人がいますけど、たまにものすごいお金持ちに会ったりもしますね。白人でイギリス系でプロテスタントで、一番アメリカっぽいジョン・F・ケネディの家系の人みたいな(笑)。プレッピーな人たちも多いですね。

フリーマーケットと言えど、まるでお店のような陳列をしているブースもあれば、雑然ととにかく段ボールにレコードとレコードらしきものが詰め込まれているブースもあり。こういったところを目の当たりにするのも、ちょっとした買い付け旅の醍醐味!?

――そういう地域にヒップホップやソウル/ファンク系のレコードってあるんですか?
ありますよ。昔は僕も地域で分かれているのかなと思っていたんですけど、あんな国なので音楽はみんないろいろと聴いていますね。ボストンはインディーズのシーンも充実していて、レコード屋さんのご主人がお金を出してレーベルを運営しながら作品を出していたりというのが続いていて、いろんなものが豊かだし、ボストンはハーバードとかバークレーもあって学生さんが多いのも特徴で。

――ある意味で京都に近い感じがしますね。
そうそう、京都に近いんですよ。ホンマによく似てます。だから、好きやと思います。そして、あの辺の学生さんが始めたアンダーグラウンド・ヒップホップ・ドット・コムという大きなウェブ・サイトがあったり、(ヒップホップ系の雑誌の代表格の)「ソース・マガジン」も元々はハーバードとかの学生がZINEみたいな形で始めたものだったり。そういう雰囲気は感じる場所ですね。

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VINYL7
住所:京都市中京区河原町姉小路西入る下本能寺前町492
電話:075-221-3337
営業時間:12:00~21:00
定休日:月曜
HP:http://www.vinyl7.net

文:吉本秀純
撮影:米田真也
※本文中の現地の写真は、ご本人撮影によるもの

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