タワーレコードがとうとうアナログ専門店をオープンさせた! 場所はなんと新宿店の最上階10階

WRITER
小川充

――タワーレコードはほかにも渋谷店などいろいろ店舗がありますが、新宿にこのレコード・ショップを開いたのはどういった理由からですか?
花野:レコード・ユーザーが一番集まる街ですし、海外から来られるお客さんも多いといったことからです。そこは新規というより既存のレコード・ユーザーの動向も参考にしています。今までCDショップとして新宿店をオペレートしてきて、そうした中でサラリーマンがお客様として立ち寄ったりとか、音楽のヘビー・ユーザーが多いという新宿店ならではの特徴があって、そうした土台がある上でレコード・ショップをやればうまくいくのではという目算があったからです。

谷河:渋谷店はどちらかと言えば今のCDショップ=コト発信の集大成的な位置づけです。ショップの購買層は大きく分けてふたつあって、ひとつは純粋な音楽ファン、とにかく音楽そのものやサウンドが好きという方、もうひとつはアーティストやミュージシャン、アイドルなどのファンという方です。そういった風に二極化していく中、渋谷店は後者のアーティストのファンが多く集まり、インストアイベントや衣装展なども頻繁に行っています。特にKポップが盛り上がって、ある意味Kポップの聖地のように感じてくださっているファンも多いと思います。一方、新宿店には前者の音楽ファンが多く集まってきて、そうした具合に店舗ごとに色付けは少し変えていっています。

――新宿店自体はこの場所にオープンして何年ぐらいですか?
花野:1998年10月10日のオープンで、昨年10月に20周年を迎えました。4フロアある中で今回1フロアをレコード専門にしたのですが、新宿の中でもかなり大きなフロア面積です。

――在庫枚数は全部で7万枚、そのうち中古が4万枚、新譜が3万枚とありますが、オープンにあたって特に中古盤を集めるのは大変な作業ですし、スタッフ集めも重要になりますね。
花野:現在は少し新譜の割合が上がってきて、店頭に出し切れてないものも在庫としてあったりします。レコードを集める前にまずスタッフを集めるのですが、外部や内部の経験者やアナログ好きを募りました。あとはアルバイト・スタッフやパートさんでまかなっています。商品買い付けに関しては専門のスタッフがいて、海外買付や各種仕入を行っています。本社には商品部という部署があって、アナログ専門部署と連携して業務を行っています。

――新宿にはHMVやディスク・ユニオンなど、既にアナログ盤専門の大型店もいくつかありますが、それら他店との差別化や棲み分けについてはどのように考えていますか?
花野:それらの店はプライベートでよく行ってましたし、参考にすべきところはしたいと思っています。ですがタワーレコードにしかできない役割もあると思っていて、それは先ほども言いましたが、これからの新しいレコード・ユーザーを掘り起こしていくことだと思います。これまで新宿店にCDを買いに来てもらっていたたくさんの顧客をレコードの方へと誘導していくとか、レコードのライト・ユーザーを増やしていくといったことには、うちだからこそ出来ることがあると思います。とは言えレコードのヘビー・ユーザーにも満足してもらえる店づくりはしていきたいですし、そのあたりは先行する他店に追いつきたいとしている部分です。

――今までレコードを聴いてこなかったライト・ユーザーに向けて、どんな取り組みをしていますか?
花野:ストリーミングやデジタルで音楽を聴いている若い方たちは、ヘッドフォンで音楽を聴くことが多いと思います。そういった方たちにスピーカーを通して音楽を聴く良さを体感していただければなと、店内には大型の床置きスピーカーを配置して、それで店内のBGMを流しています。これまでCDのフロアでは天井から吊り下げた小型スピーカーからBGMを流していたのですが、このように本格的なスピーカーでアナログ・レコードが出す音を波動として感じてもらうことは、今までに味わったことのない新たな感動に出会う機会ではないかと思います。その体験から音楽の新たな楽しみ方を見つけてもらえるのではないかと。

谷河:今回の件で情報の広がりを見ていて驚いたのは、ファッション系メディアさんに非常にたくさん掲載してもらったことですね。ある程度分かってはいましたが、あらためてアナログって今お洒落なんだなと感じました。レコードはファッショナブルなライフ・スタイルのツールと受け取る人もいるのかもしれない。そうした体験をしてもらうことも、他店との差別化のひとつの要素かなと思います。

花野:そうしたファッション性を考慮しつつも、あくまで音楽専門店でレコード販売という小売業ではあるので、そのあたりのバランスはとっていきたいと思っています。

――在庫レコードのジャンルなど分類はどのようになっていますか?
花野:洋楽のロックやポップスがほぼ半分で、それ以外では洋楽のソウルと邦楽で3割くらいとなっていて、邦楽にはJポップや和モノなどまで含まれます。残りはジャズやそのほか細かいジャンルのものという具合で、クラシックのレコードのみCDフロアのクラシック・コーナーに置いています。

――ロック系が強いのは新宿という街を反映しているからでしょうか?
花野:それはあると思います。CD販売では、洋楽が以前ほど売れないということは事実としてありますが、実際にレコードの販売を始めてみると、まだまだ洋楽ファンは大勢いらっしゃるんだなということを実感しています。一方で、邦楽を見ているお客様の割合も高いので、今後は邦楽をもっと増やしていきたいなとは思っています。

――客層はどのようになっていますか? 先ほどちらっと話がありましたが、外国人客も多かったりするのでしょうか?
花野:外国人購買客は全体の比率で見れば半分以下ですが、今までのCDショップの頃から比べると増えています。年齢層では30代、40代の男性客が多いのですが、思っていた以上に女性客もいらっしゃるという印象です。オープン時の週末はポータブルのアナログ・プレーヤーを買っていかれる女性客をいろいろ見かけまして、これからレコードを聴き始める人が増えていくようで嬉しいことです。タイミング的に星野源さんの『POP VIRUS』のアナログ盤が発売されたばかりで、それを目当てにファンの方がたくさんいらっしゃっている状況です。

――イベント・スペースもあるんですよね。
花野:ええ、今後はサイン会やインストア・イベントをやっていけたらと考えています。店内の什器は高さが低いものを使っていて、特に移動しなくてもステージが視界に入るので、アコースティックなインストア・ライヴにもちょうどいいかなと思います。そのほかポップ・アップ・ショップの展開もやっていまして、オープン時にはカクバリズムショップと、グレイトフル・デッド関連のコレクタブルグッズやアパレルも含めたショップをやりました。

――タワーレコードのオリジナル商品はありますか?
花野:はい、今ですとモーニング娘。さんの2ndと4thアルバムがあって、タンポポさんのアルバムを含めてハロプロさんからアナログLPが3枚出ています。タワー限定ということでは嶋大輔さんの7インチ、竹内まりやさん「プラスティック・ラブ」のカバーが人気の大西結花さんのLPがオープンのタイミングでリリースされました。

谷河:当社はCDなどでもいろいろなOEMの商品開発を手掛けてきていますので、そうしたノウハウを生かして今後は幅広いアーティストの作品のアナログ化ができればなと思っています。

――最後にお薦めの商品をお願いします。



大滝詠一 / A Long Vacation (1981年) 

花野:中古盤での扱いですが、お店のオープン時の一発目にかけたレコードです。タワーレコードはもともとアメリカから来たレコード・ショップで、アメリカン・ポップスやアメリカン・カルチャーを体現している部分があると思うのですが、それをこの新宿店でも受け継いでいきたいなと。そうしたものを大滝さんの音楽は象徴しているんじゃないかと思います。以前に大滝さんがタワーの『NO MUSIC, NO LIFE.』ポスター意見広告シリーズに出られたとき、「迷った時には墓参りだよ」というコメントを残されて、そういった温故知新というかルーツを大事にしようぜ的なメッセージを伝えられていて、そうしたことをこのレコード・ショップでもやっていきたいなと思います。


星野源 / POP VIRUS (2018年)

花野:星野源さんは先ほども話しましたが、今の代表的なポップ・スターで、新たなレコード人口を増やしていくという我々の使命においても、非常に重要なアイコン的存在になる人だと思います。もともとアナログ好きな方で、今までにご自身の作品も限定盤でアナログ・レコードを出されています。今回、オープンの翌週にうまいタイミングでアナログ盤がリリースされて、非常に良かったなと思います。

谷河:星野さんはタワーの中でも新宿店のシェアがとても高くて、CDお買い求めに多くのファンの方に訪れていただいています。それだけファンの認知が高い店舗でもあり、今後も伸ばしていければと思います。


SOLEIL / SOLEIL Is Alright (2018年)

花野:星野源さんと同じくSOLEILさんも今のアーティストですが、まだ知名度はそれほど高くはなくて、知る人ぞ知ると言うか、より音楽マニマ向けのアーティストと言えます。今回のアルバムもモノラル録音で、そうした音楽マニアの方に喜んでいただける作りとなっています。中古だけでなく、こうした新譜も音楽マニアに向けてどう広めていくか、我々としてはそれも考えていきたいなと思います。

TOWER VINYL SHINJUKU

TOWER VINYL SHINJUKU
〒160-0022
東京都都新宿区新宿3-37-1 フラッグス10F
03-5360-7811
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By 小川充
Photos by Daisuke Urano

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