渋谷Techniqueインタビュー

WRITER
小川充

――今のテクノやハウスはデジタルでDJをやっている人が多いイメージですが、そうした中で実際の現場におけるアナログの存在価値はどうなのでしょうか?
個人的な視点になりますが、世界的に評価されているDJたち、今のテクノ系ならニナ・クラヴィッツとか、日本人でもタナカ・フミヤさんとか、DJ NOBUしかり、GONNOしかり、皆レコードはチェックしていますね。共通しているのは、アナログとかデータとか関係なく、常に面白い音を探求をしているDJが成功する比率が高くて、そうした中で自分のチャンネルのひとつとしてレコードがあるということです。レコードでしかリリースされていない作品も非常に多くて、デジタルしかチェックしていない人は、その存在さえも知らない。そうした情報の差も大きくて、やはり成功しているDJはしっかりレコードもチェックしているのだと思います。うちの店もクルーエルの瀧見憲治さんとか週に2回くらいチェックしに来ますし、若手のDJだとLicaxxxとかデジタル世代ですが、アナログもよくチェックしてます。あと、アナログはデジタルに比べて経費が大きく掛かるので、アーティストや制作サイドも作る上での気合の入れ方が違うのかわかりませんが、単純にいい曲が多いと思います。だから、いい曲を探すのならアナログの方がデジタルより速いというか、実は合理的なのではないかなと最近は感じますね。当社はデジタルのディストリビューションなどもやっていて、こういったことを言うのも何ですが、今はデジタルの市場もなかなか厳しくて、淘汰されてきています。デジタルはコピーされやすいという事情もあるかもしれませんが・・・。今はマーケットの状況もまた変化していて、1990年代の古いレーベルでアナログからデジタルへ移行していたところが、ここ最近は再びアナログに戻ってきているということもありますし、ベテランのDJの人がアナログ・オンリーのパーティーを開いたりとか、アナログの魅力が再燃してきている感じはありますね。

――今の話に出たディストリビューションのことについても伺いたのですが、エナジー・フラッシュ全体ではどのような業務をされているのですか?
まずテクニークの店舗の運営、及び通販業務があります。それから3年ほど前にエナジー・フラッシュ・ディストリビューションがスタートし、日本のレーベルを海外へ向けて発信するというコンセプトのもと、国外のショップにデジタル音源を含めた商品の流通、卸売りを行っています。こちらも順調に業績を伸ばし、現在は国内のレーベルだけでなく、ベルリンのレーベルなども取り扱うようになり、国内レーベルと海外レーベルの割合は半々ぐらいとなっています。そうしたレーベルのレコードに関しては、プレス、流通、販売まで請け負ってやっています。

――レコードのプレスはどこで行っているのですか?
ドイツの工場です。希望に応じてマスタリングもやっていますが、プレス、流通から売り上げの回収まで全て行い、それをレーベルへと還元するという全部の作業と、プレスのみの代行作業の二とおりをやっています。ドイツで質の高いプレスができる工場は今受注が混んでいて、一見さんだとだいたい断られてしまうのですが、そうした間に入ってプレスの手伝いをすることも多いです。うちが提携している工場はUKのユニヴァーサルなども使っているところで、とても質の高いプレスをしてくれるんです。

――扱いレーベルの中で、特に成功した日本人アーティストの作品はありますか?
So Inagawaというアーティストがいて、彼がやっているキャバレー・レコーディングスからリリースした作品でしょうか。このレーベルはDJ Masudaと一緒にやっていますが、そのリリースによって世界的に名前が知られることになりました。DJ Masudaの方も、今ベルリンに住んでいますが、毎週末はギグで世界中から呼ばれて飛び回るくらいの売れっ子になって、レジデント・アドヴァイザーのサイトでもSano Keitaなどと並んで、今注目の日本人アーティストとして取り上げられています。彼らは日本国内と言うより海外で活躍しているDJですが、ディストリビューションをやっていて感じるのは、日本と海外のマーケットでは売れるものに違いがあるということです。

――違いというのは、嗜好やニーズが異なるということですか?
単純に言えば、日本は世界の流行から少し遅れているということです。昔に比べてそうした差が最近は特に広がってきている印象で、日本はここ十年くらいずっとディープ・ミニマル系の音が流行っていますが、今の世界のトレンドはBPMが少し速めの音、トランシーな音だったりして、レイヴ・サウンドが復活したりとか、1990年代のハード系のサウンドがリバイバルしています。日本はそのあたりは全然追い付いてなくて、遅れている感じはしますね。ですので、ディストリビューションと店舗の運営をするにあたっては、そうした違いも踏まえて行っています。そして、何のジャンルでもそうですが、海外での流行が日本に飛び火することは多いので、海外でのディストリビューションの成果が将来的には日本国内でのセールスへと繋がればという、そうした展望を持ってやっています。

――最後にお薦めのレコードを紹介してください。


Mytron & Ofofo / Ceremony (Multi Culti)

マルチ・カルチというカナダの新世代のレーベルの作品で、ディスコ、テクノ、ハウスなどが混ざった感じの音です。今の若い世代のハウスはいろいろと混ざった傾向が強く、レイヴからブレイクビーツ、ドラムンベースなどまでハイブリッドなミクスチャー・サウンドが人気ですが、そうした今らしいお薦めのレーベルです。

 


9th Creation / Love Crime (Pasta Due)

1970年にオークランドで結成されたファンク・バンドのナインス・クリエイションが、1986年にリリースしたEPのリイシューで、シカゴのスティル・ミュージックのサブ・レーベルのパスタ・デューからのリリースです。オリジナルは中古市場で5万円もの値段で取引されるレア盤ですが、テクニークはジャズやソウルのリイシューも扱っていて、それを象徴する1枚です。

 


https://www.technique.co.jp/item/173104,MOJ09.html

Do Or Die / Impossible Material (My Own Jupiter)

マイ・オウン・ジュピターはニコラス・ルッツという世界的に著名なウルグアイのDJがやっているレーベルで、エナジー・フラッシュ・ディストリビューションが扱うひとつです。ドゥ・オア・ダイはスペインから新しく出てきた人ですが、とにかくサウンドが強烈で、言ってみればレイヴ寄りのアーティストです。世界的には今のトレンドの音で、日本ではこれからですが、特に海外で人気が高いですね。

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https://www.technique.co.jp/

By 小川充
Photos by Daisuke Urano

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