渋谷Techniqueインタビュー

WRITER
小川充

東京・渋谷の宇田川町は1990年代より数多くのレコード・ショップが生まれ、一時期は世界一のレコード屋街とも称されたのだが、2000年代後半よりレコード・ビジネスが下降線をたどると共に、その多くが閉店していった。そして、2010年代半ばより徐々にアナログ盤の需要も盛り返していくのだが、そうした中で黄金期から今なお宇田川町でショップを開くのがテクニークである。テクニークは名前のようにテクノを中心に、ハウスからディスコ、ブレイクビーツなどまでクラブ・ミュージックを幅広く扱う店で、リリースされたばかりの新譜が海外からいち早く入荷する。DJ御用達のショップでもあり、1990年代から2000年代前半のクラブ系レコード・ショップ全盛時の姿を今に受け継ぐ店だが、その母体となる株式会社エナジー・フラッシュの代表取締役の佐藤吉春さんに話を聞いた。

――テクニークは渋谷のレコード・ショップの中で今や老舗的な存在ですが、オープンしてかれこれ20年くらい経つのですか?
そうですね、会社組織のエナジー・フレッシュ自体は設立から24年ほど経ちます。最初は創業者の佐久間英夫が通販から始めたのですが、現在の店舗が入っている建物のすぐ近くのビルの一室でやっていました。それから2000年頃に今の店舗へ移動して、元の場所はスパイス・レコードという系列の中古盤専門ショップへ変わりました。僕は2001年から働いています。

――オープン当時を振り返ると、その頃の渋谷の宇田川町は世界屈指と言われるレコード屋街で、新譜のクラブ・ミュージックを扱う店ではシスコ、マンハッタン、DMRが御三家とも呼ばれる存在で、大きな影響力を持っていました。その中でテクノやハウス系に限るとシスコが特に強く、それと競うような形でテクニークが登場しましたよね。
そもそも佐久間がシスコ・テクノ店を立ち上げたスタッフですが、いろいろとあってシスコを離れ、それからすぐにテクニークを興しました。ですので、店のコンセプトや立ち位置としては近い方向性になっていったのだと思います。

――テクニークと言えばテクノ系が強いというイメージでしたね。
オープンしたての1990年代後半から2000年代初頭は、全般的にハードなテクノが強くて、テクニークと言えばハード・ミニマルといったイメージでしたね。ほかにもハード・ハウスとかワープ・ハウスとかも人気でしたし、UKのファンキーなサウンド、トランス寄りのアッパーなサウンドが受けていた時代だったと思います。

――今はトレンドも変わってきているのですか?
今はテクノというか四つ打ちの専門店自体が無くなってきていて、そうした中でテクニークの品揃えは昔に比べてより幅広くなってきていると思います。四つ打ちの音もそうですが、それに準じるようなものとかベース・ミュージック系とかも積極的に仕入れています。レコードでリリースしていいものであれば、何でも入れていますね。

――通販のサイトを見ると、テクノ、ハウス、ビーツ/ベース、ジャズ/ソウル、ポップ&モアとジャンルが分かれています。ビーツ/ベースのコーナーにはダブステップとかドラムンベースもあり、ジャズ/ソウルではハウスの元ネタやサンプリング・ソース、ダンス・クラシックのリイシュー、和モノの中でもバレアリック系のものがあったりと、いろいろ幅広いですね。
ええ、うちのお客さんはDJをされている方が多いのですが、そうした人たちに刺さるクロスオーヴァーなものを仕入れるようにしています。お客さんは昔からDJをやっている方に加え、最近はデジタル世代の若い人も増えてきていますが、海外からのお客さんも多くて、店舗の比率的には半分くらいを占めています。来日したDJはほとんど来店しますし、UKやヨーロッパ、アメリカからのお客さんもいますが、全体的には中国や台湾、韓国、東南アジア圏やオセアニアからのお客さんが多いです。それら国々の現地にはレコード・ショップ自体が少なくて、またあっても品揃えが不十分だったりするので、来日した際にうちで買われていくようです。DJのタナカ・フミヤさんなどが言うには、ドイツあたりと比較してもうちみたいに幅広くレコードを扱う店は少ないようです。実店舗はどうしてもジャンルを絞って、専門的にこじんまりしてしまうところが多いんでしょうね。

――仕入れは海外がメインとなるのですか?
ええ、ほとんど海外のレーベルやディストリビューターからで、EU圏とUKがメインです。USはクラブ・ミュージックのレコード自体が沈静化したままなので、割合としては少ないです。取引はメールが中心ですが、一日に100件を超えるメールが来て、その対応をパソコンやっているとすぐ一日が終わるという感じです。UKやヨーロッパとのやりとりだと時差があるので、こちらはだいたい夕方から夜中というのがメインの時間帯となりますね。昔と比べて今はマーケットが小さくても、1タイトルあたりのプレス枚数が少なく、人気のタイトルは争奪戦となります。リリース情報が入ったらすぐ在庫を押さえないと売り切れてしまうので、メールのやりとりは即時性が求められます。うちにとって国内の他の店が気になると言うより、海外のジュノのような通販ショップがライバルなので、そうしたところに対抗するには仕入れや品揃えが重要です。実際、日本のお客さんでもジュノで買うような人は結構いますし、そうした点で世界のマーケットを意識していますね。

――中古盤も扱われていますが、これらは店頭での買い取り商品なのですか?
はい、ほとんど買い取り商品です。古いデトロイト・テクノやアーリー・シカゴ・ハウスなどの中にはプレミアがつくようなものもありますが、今は少し前のリリースでもプレス枚数が少なくて、すぐに市場からなくなってプレミア化するものもあります。それから昔のクラシックのリイシューも盛んですね。

次ページ : ディストリビューションのことやお薦めのレコードについて

Technique

Technique
〒150-0042
東京都渋谷区 宇田川町33-14 久保ビル 2F
03-5458-4143
月曜〜土曜 14:00~22:00
日曜 14:00~21:00
年中無休(正月除く)
https://www.technique.co.jp/

By 小川充
Photos by Daisuke Urano

世界中のレコードを、その手の中に
  • Google Playでアプリをダウンロード
  • App Storeからアプリをダウンロード

関連記事


新着記事

すべての記事をdig!