大分でエチオピア音源を扱うレコード店「RA’S DEN RECORDS」

WRITER
白波瀬達也
異彩を放つエチオピア音源

 ジャンルレスに展開するこの店の強力なスパイスになっているのがエチオピア音源だ。MULATU ASTATUKEなどの有名どころを扱うレコード店は日本にも幾つかあるが、RA’S DEN RECORDSには現地でしか入手できないようなレコードが多数ある。

現地で仕入れた色鮮やかなエチオピアのレコード

 そのきっかけとなったのが2016年の買い付けだ。御手洗さんはエチオピア人の夫を持つ友人を頼りにエチオピアに赴いたのだ。首都のアジスアベバはヨーロッパのディガーに随分掘られてしまっていたため、北部にあるゴンダールとハラールに行った。これらの街にはレコード店はなく、人家を訪ね歩いたという。当時の買い付けの様子を御手洗さんは苦笑いしながら次のように語ってくれた。

「レコードを売ってくれるとの情報を得て、車でボコボコ道を10時間以上かけて訪ねたものの、結局割れているレコードばっかりだったり。まさにハードディグです。交渉が決裂したと思ったら、夜中に電話がきて「売ってやる」って話になったり。一日費やして「戦利品」がないこともしょっちゅう。アタリもありましたが、ハズレも多かったんです(笑)」

エチオピア買い付け時の御手洗優さん

 とはいえ、日本では希少なエチオピアのレコードを大量に入手することに何とか成功。帰国後、かねてから親交が深かった東京のレーベル、ELECTRIC ROOTS(COFFEE & CIGARETTS BAND / DJ KENSEI & SAGARAXX)とエチオピア音源のミックスCDを作ることになった。汚れたレコードをクリーニングし、200ほどの候補曲から27曲を選んで「SHOW IN BLEND ETHIOPIA」を完成させた。これが評判となり、エチオピア音源を求めてRA’S DEN RECORDSを訪れる客も増えた。

 DJとしての制作活動にしても店づくりにしても、御手洗さんは「誰かの真似していても突き抜けられない」との思いから、常にオリジナルであることを模索している。地方都市にこのような個性豊かなレコード店があることの意味はきわめて大きい。RA’S DEN RECORDSが「灯台」となって大分の音楽文化がますます充実することを心から期待したい。


■取材後記:RA’S DEN RECORDSの発掘品 

V.A / SHOW IN BLEND ETHIOPIA(2017 / ELECTRIC ROOTS)

御手洗優さんが現地で仕入れたエチオピア音源を使ったミックスCD。RA’S DEN RECORDSとELECTRIC ROOTSの共同制作という位置付けの一枚。知られざるエチオピア音楽の深みにどっぷりハマることができる。

 

RA’S DEN RECORDS

〒870-0021 大分市府内町3-5-13 第2石松ビル2階

TEL 097-547-9778

OPEN 12:00〜20:00(定休日:水曜 / 第2・第3木曜)

HP  http://www.ras-den.com

 

白波瀬 達也(社会学者 / フィールドワーカー)

白波瀬 達也(社会学者 / フィールドワーカー)
都市問題・地方文化に関心を持つ社会学者。主著『貧困と地域 あいりん地区から見る高齢化と孤立死』(2017年、中央公論新社)。大学時代は音楽研究部部長。「三度の飯よりレコード掘り」が信条。ジャズ、ソウル、ラテン、レゲエ、ヒップホップ、ハウス、アンビエントなどを好む。日頃は研究活動に従事しつつ、不定期で大阪や奈良でアナログレコードにこだわった音楽パーティを開催している。
http://collective-music.com
http://kunimikojicla6.tumblr.com

世界中のレコードを、その手の中に
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