レコード店とディスクガイド7軒目りずむぼっくす神戸元町店(神戸・元町)

WRITER
吉本秀純

関西の中でも大阪・京都とはまた違った品揃えで独自の流れを形成し、徒歩で周回できる範囲にそれぞれに異なった個性を持った中古レコード店がひしめき合う神戸三宮~元町~高架下エリア。その中でも神戸に複数の店舗を展開する≪りずむぼっくす≫は、オールジャンルを扱う幅広さとリーズナブルな価格設定で、神戸を代表するレコード店として存在感を示し続けている。そんな名店の歴史や神戸ならではの中古レコード事情、最近の売れ筋などについて、神戸元町店の店長の木村裕二さんにお話をうかがった。

大阪発祥から“神戸”の店へ

――りずむぼっくすは神戸に現在は4店舗(三宮~元町エリアに3店舗と芦屋店)あって、やはり神戸を代表する中古レコード/CD店だと思いますが。
以前はもっとあって、大阪にも店舗がありましたね。もともとは1980年代に大阪・長居の近畿大学の近くでオーナーが立ち上げたのが最初で、その後は心斎橋に移って梅田にも店舗があったんです。神戸はこの元町店が最初ですね。

――今では完全に神戸のイメージになっていますけど、もともとは大阪発祥なんですね。
神戸ではもともと星電社さんのレコード部門として≪ミスター・ジャケット≫がありましたけど、その中古部門をやっていたのがウチだったんです。その頃、私はまだこの業界に入っていなくて、お客さんとして来たことがあっただけで、そういった歴史は後から知りましたけど。新品の輸入盤は星電社さんがやって、中古は≪りずむぼっくす≫がやっていたんです。

撮影時は、新入荷のジャズが豊富だったためジャズコーナーにお知らせのポップが。お客さんがレコードの流れを作り出していると思うと、いつ来てもハプニングが期待できそう。

――僕は大阪在住で神戸に定期的に中古レコード/CDを探しに来る感じなのですが、やっぱり同じようで違う傾向の商品が並んでいて、神戸ならではの特徴があるなと思うのですが。
そうですね。ウチの場合は、基本的にお客さまからの買い取りで入ってきたモノがそのまま商品になるので、なかなかジャズを頑張ろうと思っても入ってこなければ出せないし(笑)、こちらの思う特徴を出そうとしてもそうはいかないところがあるんですけど。逆に、買い取りで入ってくるものが自然と特色になっていくのが、やっていてある意味でおもしろいところかなと。

――特定のモノを海外に買い付けに行って売るスタイルではないですもんね。
はい。だから、例えばある月はジャズが大量に入ってきたりして、一時期はジャズがすごく充実したりするんですけど、入ってこなくなるとドンドンと減っていって、替わりにオールド・ロックとか違うジャンルが次の月には充実していたりとか。最近だとジャズのレコードがたくさん入ってきて今は充実していますけど、その前はクラシックが多かった時期もあって、年配のお客さんがよく来られていました。

神戸のレコード事情を長く見て来た木村さん。Twitterにてレコード入荷、出品情報を細かく掲載中。そちらもチェック! motomachirhythm

――そのあたりは何となく嗅ぎつけて、好きなお客さんが集まってくるというか(笑)
そうでなんですよね、そこが不思議で(笑)。特別にすごい入荷がたくさんあった時はお知らせなどを発信するんですけど、そうではない時でも、なぜか嗅ぎつけて来られることは多いです。買い取りに関しても、お客さんの処分されるタイミングもあるので、何かの買い取りを強化しますと言ってもなかなか思い通りに集まるわけではないですし、そのあたりは自然の流れに任せています。

――値段的にも、神戸はありそうでなかったモノが、ポロッとリーズナブルな価格で見つかることが多い気がします。
それはよく言われます。サラリーマンで東京に住んでいるけどもともとは神戸出身で、大阪にも住んでいたことがあるという方がいて、場所場所のだいたいの相場というのを知っておられて、やっぱり神戸は安いよねと言われますし。圧倒的にモノの量としては大阪とかの方が多いんでしょうけど、大阪とか逆に西方向の岡山などからもお客さんが結構来られますね。

――なるほど。エリア的にお客さんの層が、大阪・京都とはちょっと変わってくるんですね。
でも、圧倒的に地元(兵庫県)の方が多いですけど。

御察しの通り、店主の木村さんはグレイトフル・デッドが好き。その要素があちこちに散りばめられている。

――神戸ならではの中古レコード市場の特徴みたいなものはあったりしますか?
やっぱり、神戸自体のマーケットはそんなに大きくないと思うんですけど、比率的に考えると中古レコード店の数は多いですよね。この店がある商店街だけでもウチを入れて5軒ありますし、元町の高架下にも数軒あるので。そんな中である程度リーズナブルとわかって来られている地元のお客さんが多いので、値段にはなかなか厳しいところがあります(笑)

――密集したエリアの中での競争率が高く、自然と神戸相場が形成されているというか(笑)
一時期に比べると減りましたけど、ある程度の数からは減っていないですし。他もウチと同じように買い取りだけでやられているお店が多いので、自然と相場が合ってくるんだと思います。

――ずっと続けられている中で、最近の売れ筋の変化みたいなものはありますか?
やっぱり、昔はこの値段でも全然売れなかったというモノが、今は同じ値段ですぐ売れてしまうというのはありますね。こっちは変えているつもりはないんですけど、最近はレコードに注目される方も多くなって、聴かれる数が以前よりも増えている感じはします。

――最近の“レコード・ブーム”は、以前のDJを中心とした90年代頃とは少し筋が違いますよね。
違いますね。今はクラブでプレイするとかではなくて、普通に家で聴くために買われるお客さんがすごく増えたので、90年代あたりのブームを挟んで、そのひとつ前の時代のような感じに戻った印象があります。若い方でもレコードから入るという方が出てきたし、女性のお客さんも増えたので、いい傾向だとは思います。

――レコードで最近によく売れているものというのは、どのあたりですか?
CDでも何度も再発盤が出ている“ザ・名盤”みたいなレコードがよく売れますね。それこそTOTOの4枚目とかボズ・スキャッグズの『シルク・ディグリーズ』とか、あとビリー・ジョエルはホントに不思議なほどよく売れます。もちろん市場に出回った数が多いので値段も高くはないし(買い取りで)入ってくる量も多いんですけど、出ていく量も多いですね。



りずむぼっくす(神戸元町)、店長の木村さんがおすすめするレコードのご紹介

りずむぼっくす 神戸元町店

りずむぼっくす 神戸元町店
住所:神戸市中央区元町通1-13-19辰巳ビル2F
電話:078-321-1147
営業時間:11:00−20:00
定休日:無休
HP:https://motomachirhythmbox.com

ライター:吉本秀純
撮影:米田真也

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