レコード買い付けの旅 エイジ(リベレーション・タイム)

WRITER
吉本秀純

レアなシンセもの各種やアフロ・レア・グルーヴ関係から、レゲエ、プログレ、和もの、ラテン、アジアものに至るまで。日本では他のお店で見かけたこともないような盤が数多く並ぶ独特過ぎる品揃えで、海外から来阪した生粋のヴァイナル・ジャンキーとして世界的に知られる有名DJたちもチェックのために立ち寄る南船場のリベレーション・タイム。最近は独自のヨーロッパ買い付けによるコアなセレクションのみならず、海外からのウォントに応えての和モノの充実や、東アジア圏のDJたちとコネクションを築いて韓国や台湾にも足を運ぶなど。常にフレッシュな盤の探索に余念がないスタンスで、時流の一歩も二歩も先を進み続けるお店の最近の買い付け事情について、店主のエイジさんに話を聞いた。

――リベレーション・タイムは、とにかく品揃えが独特ですよね。ヨーロッパ買い付けで、こんなのもあるのか?という他では見たことがないレコードがオープン当初からたくさんあって。
最初はヨーロッパ寄りのものが多かったですね。ダニエル・バルデリとかの影響でコズミックがリバイバルした時に、イタロ・ディスコとかをヨーロッパに買い付けに行って置いたりしていたんですけど、その前にはアメリカにも行ってました。でも、そういうのを置く店が増えてくるとまた違うのをやろうかと考えつつ続けてきて、最近は韓国とか台湾とかのアジアもよく行ってますね。

こちらは、韓国でのレコードフェア「第5回RECORD & CD FAIR IN SEOUL」。韓国でもレコードに人気は高い。

――このお店をオープンする前は、どこか他のレコード店で働いていたりしたんですか?
僕は完全に個人で、どこかで下積みの経験などもないですね。最初は普通にインターネットで売っていて、その延長で半分事務所くらいな感じでやろうかなと、7〜8年くらいに前に実店舗をオープンしたら、いろんな人に来てもらえるようになって。ネット上での売買も盛んですけど、最近はまたお店に足を運んでくれる人が増えているような感じがします。やっぱりネット上だけではわからない部分を探しにくる人が多いというか。

イギリスに留学していた経験もあり、交友関係も広いエイジさん。Az名義でDJ活動も。

――確かに、ネット上だけで探していると似たようなのばかり見てしまう傾向はありますよね。
そうですね。あと、店に来て「こんなんないですか?」とオススメを訊く人も多いですね。結構難しいお題が出る時もあるんですけど(笑)、そこでいかにその人にバッチリとハマるものを出せるかというやりとりもおもしろいです。最近は海外から来て、日本のシティ・ポップやアンビエントのオススメを訊いてくる人も多いですし。

――海外買い付けは、最近は東アジア方面が多いんですか?
この前は、台湾に行きましたね。(写真を見せながら)ココは“インディー・ミュージック”という台北のお店で、基本はCD屋なんですがレコードも少し置いていて、台湾のおもしろいものをいろいろと教えてもらいました。コレは台湾のアンビエントものです。

こちらは、看板猫のいる台北のCD、レコード、テープ店「個體戶 indimusic」。

――アジアものに傾倒し始めたキッカケは何だったんですか?
最初は韓国に買いに行くようになって、友達に教えてもらってシティ・ポップみたいなのもあってどこでもおもしろいものはあるねんなとなったのがキッカケで。70年代のサイケとかは昔から人気があったんですけど、もっと80年代とか90年代のバレアリック寄りのものとかもおもしろくて。で、友達とかも出来ていくうちに、香港にレコードを売りに行って逆に買って帰ってきたりするようにもなりましたね。中国(本土)も最近は行きますけど、レコードは少しだけです。やっぱりテープが多いかな。でも、中国はテープで民謡をエレクトロにしたみたいな音源もあって、それはちょっとアフリカものみたいで凄かったですね(笑)

こちらは中国で手に入れたテープ。1980年代にリリースされた「台湾情花」というタイトルのもの。

――へぇー、そんなダンス・ミュージックっぽいのもやっぱりあるんですね。
なんか中国は、みんなでオジサンやオバサンが外で校庭みたいな場所に集まって踊る文化みたいなのがあって、そこで変なハウスみたいなのがかかっていたりもしますね。

――じゃあ、今一番新鮮に向き合っているのは、そのあたりの未開拓なアジアものというか。
けど、あまり売れないから(笑)このあたりは好きでやりつつ、お店としてのメインは今も半分くらいがレゲエで、最近はハウスとか和モノが多いですね。ハウスは、最近に増えているオーストラリアからの若い観光客がいっぱい買ってくれます。オーストラリアは南半球にあるので、どこから(通販で)買うにしても送料がめちゃくちゃ高く付いてしまうらしいです。

乱雑に積み上げられたレコードと本の山。indimusic近くの地下の古本、レコード店。本を踏み台にしてよじ登るスタイルだったそう。

中国杭州、電気屋街のオーディオ店で何箱かレコードを発見! 物色中。

――ヨーロッパ買い付けは、よく行っていた頃はどれくらいのスパンで行ってたんですか?
年に2回くらい、1〜2カ月くらいの長期滞在で行ってましたね。でも、最近は向こうに行って見つからなかったものが帰ってきてネットで見るとズラ〜ッと並んでいたりして、ネット上の方があるんちゃうかという感じになってきて(笑)、海外買い付けに行くならネット上では買えない場所に行く方がおもしろい発見があったりするようになりました。ヨーロッパものでは、最近はUKモノというか、レイヴとかベース系が流行っているから、個人的には“UK Street Soul”というソウルIIソウル前後あたりのもっとマイナーなジャンルに注目して推しているんですけど…まぁ、あんまり反応ないですね(笑)

――アシッド・ハウス前後とかの時代の音ですか?(笑)
そのもうちょっと黒っぽい感じで、オケはチープなんですけど、PPUのUK版みたいな音もあって。自分でミックスも作って海外の友達にも聴かせたんですけど、イギリスの友達からは「なんでそんなん作ったん?」と言われました(笑)。サックスとかも入ってきて、本国の人はめちゃくちゃ嫌いみたいで。たまに他の国の若い子に聴かせると、先入観がないから買っていってくれたりするんですけど。

――なるほど。でも、再評価とかってそういう少し違った視点から始まるものだし。
そうですね。その方が楽しいですし。

――買い付けの話に戻すと、最近の買い付けで一番印象的だったエピソードとかはありますか?
さっきも話した台湾で、他に行くところがないから同じレコード屋に3日連続で通っていたことがあったんですけど、3日目にその店に来た元銀行員のコレクターの人が「ウチにくれば?」と言ってくれて、そこで買い付けが出来たというのがありました。家のコレクションを聴かされて、「コレいいでしょ?」という話を聞きつつ「こういうのない?」とやりとりしながら買わせてもらって。

――買い付けもそういう運頼み、みたいな面があるんですね。
ヨーロッパではもう、そういう偶然みたいなことは少なくなくなりましたけど。アジア買い付けはご飯もおいしいし、それも含めて楽しいですね。

次ページ:エイジさんのレコメンド盤3枚

リベレーション・タイム

リベレーション・タイム
住所:大阪市中央区南船場4丁目9-5 NOAビル4F-A号
電話:06-7494-4041
営業時間:13:00~20:00
定休日:水曜
HP:http://revelationtime.net

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