「コレは知っておきたい!レコードプレーヤーの選び方、楽しみ方」 DJ・オーディオ機材専門店・OTAI RECORD編

WRITER
武部敬俊

値段もメーカーもさまざまで多種多様な機種が存在するレコードプレーヤー。そもそも「何を基準にプレーヤーの良し悪しが決まってくるのか?」そんな初歩的質問を、愛知の人気DJ機材専門店「OTAI RECORD」名物社長・井上揚介さんにぶつけてみました。

レコードプレーヤー選びは、物理学の世界?!

話をお聞きしたのは、OTAI RECORD内の視聴室。(試聴室です!)プレイヤーもさることながら、スピーカーも高価なものが目白押し。井上さんの左手にある木製のスピーカーは「小柄ながらいい音」とオススメだそう。
Franco Serblin「LIGNEA(リネア)」

――今日は、初めてレコードプレーヤーを買おうと考えている初心者に向けて、ターンテーブル選びを指南していただこうかと。井上さんはビギナーの方に向けて、どんな風に接客されるのでしょう? まずは、そこから教えてください。
僕はまず、そもそもその人がどんな家に住んでいて、どんな環境で音楽を聞くのか? 聞きたいのか? をヒアリングしますね。つまり、その人の「ライフスタイル」のあり方によってプレーヤーを選ぶべきだと思っているんですよ。 昔は、(機材を選んで音楽を楽しむと言えば)いわゆるオーディオマニアみたいな、こだわりのある音楽好きの方が多かったんで、とにかくいい音を出したいから四畳半の部屋なのに、ものすごいでかいスピーカーを置いてシステムを作ったりとかするような人もいて(笑)。でも、今はライフスタイルの中に音楽があるっていう考え方の時代でしょう。だから、レコードプレーヤーを買うといっても、趣味として部屋に置くのが前提なんです。よりライトに、生活に則した音楽の楽しみ方を考える人が多いですよね。

――そういったライトなノリでプレーヤーを買いに来られるお客さんからは、どんなことを聞かれたり、どんなところを気にされたりするんでしょうか?
まずは金額的なことですね。今だと1万円を切るような安い機種もあるので、とにかく安く!っていう考え方なら、そういうものをオススメします。まずは手軽にレコードのある生活を始めてもらえればいいかなと思うんで。でも、追加で出てくる一番多い質問が「じゃあ安いプレーヤーと高いプレーヤーって何がどう違うの?」っていうものです。プレーヤーの良し悪しを決めるポイントは複数あるんで、それら各項目でいかに高得点を取っているか。あとはそのバランスで価格が決まってくる、というのが一番端的な答えになりますが。じゃあ、ちょっと実際にそのポイントとなる項目を解説していきましょうか。

レコードプレーヤーの良し悪しが決まるポイントとは?


IONから発売されている人気のプレイヤー。プレイヤーのボディにスピーカーを内蔵するというオーディオマニアからすれば御法度とも言える手を使ったが、そのおかげで低価格を実現し、レコードブームを後押しした1台。

例えば、一万円くらいで買える人気の高いスピーカー一体型の機種がライトユーザーの方にはすごく人気ですが、それと、アンプやスピーカーを別で購入してつなぐ手間が入る機種(5万円台のもの)を比較対象に検証していきますね。 まず、ターンテーブルの上にレコードをセットして、音を出すためにはアームをレコード盤の上に移動させますよね。アームの先端を細かく見ていくと、ヘッドシェルとカートリッジ、そしてカンチレバーという棒状の部分がついておりその先に針と呼ばれる突起部分がある。

一般的に針というとカートリッジの部分もさしていうことが多いが、本当は、写真でも確認ズラい、赤いカートリッジの先端にちょこっと付いている部分のみ(詳しくは、お近くのレコードショップ確認を)。井上さん(写真)が持っているのは、ヘッドシェル全体、そこにカートリッジがついている状態。

レコード盤に切られた溝があって、そこに針が触れて盤が回ると音が出る構造になっています。で、この溝は肉眼では見えないと思いますが実はきれいなV字になっていて、Vの片辺がL/Rの音の情報に分かれているんです。 だから、針が正確にまっすぐ落ちて、V字の溝に触れる必要があるんです。1:1の割合で美しくV字の溝に触れることで正しいバランスでLとRに音が(左右から)出力されるってわけです。ここに角度の芸術があるんですよ。この針の良し悪しがポイントのひとつになってきます。 そして、他にパッと見て何が違うか、おわかりですか?

――本体の素材ですかね?
そうそう! 安価な方は木でできてて軽いです。で、もう一方は持ってみてもらうとわかりますが、けっこう重たいんですね。 この重さが実はまたひとつポイントになるんです。なんで重い方がいいのか。すごくシンプルな話、レコードの音の世界って要するに物理学なんですよ。自然との闘いなんですよ。

――え、自然との闘い⁈ 話が壮大になってきましたね! 興味が俄然湧いてきました。
なぜ物理学かというと、針をレコード盤に対して、垂直に落とすことで先ほど言ったV字の溝に1:1のバランスで針があたり本来録音されている左右の音の振動を均等に拾うわけなんです。

――それで、“針”と“本体”がレコードプレーヤーの性能を決めるうえで重要ってことですが、安価なものと高価なもので、それぞれどう違ってくるんでしょうか?
例えば、一体型の安価なプレーヤーの針は、実はこれ金属じゃなくてプラスチック製なんです。


(写真:右)先ほどのヘッドシェル+カートリッジ。赤い小さなパーツは別のカートリッジだけれども、このカートリッジについてる針は、プラスチック(製)。

――え!
そもそも音って振動なので、鉄とプラスチックの針じゃ、伝導率が確実に落ちてしまうのがわかると思います。そして、物理的にボディが重い方がずっしりと安定しますよね。 それはつまり、余計な振動に対して強いってことになるんです。クラブとかに行くとわかると思うんですが、スピーカーからでかい音が出ると、低音が体にビシビシと振動として響きますよね? その影響はプレーヤー本体にも同じようにいくわけで、出音で本体自体が揺れるってことになる。そうすると、針ももちろん揺れちゃいますよね? さっき話した通り、ミクロの世界で美しくレコード盤の溝に触れている針が揺れるのが、音質に悪影響を及ぼすんです。


プレイヤーを手に、丁寧に説明をしてくれる井上さん。たとえ安価なプレイヤーだったとしても、揺れにくい場所に置いたり、平衡をとったりすることで音質は上がるそう。

極論ですが、レコード盤と針の間に、一切無駄な振動を与えない静かな静かな世界を作り出してやることで、初めてそのレコードの持っている、本来の正しい音が出るってことなんです。だから、プレーヤーによっては、同じレコードをかけても全然音が違って聴こえるなんてことが起こりうるわけです。

――なるほど。すごくよくわかりました。井上さんは、さっきお客さんにこの安い方のプレーヤーが欲しいって言われたらオススメするって言ってましたが、今聞いた話だと、この安いレコードプレーヤーは音が悪いし全然オススメできないかな〜と個人的には思ったんですが。
そこは最初にお話したとおり、その人の考え方、ライフスタイル、音楽との接し方次第なんで、一概に否定はできないですよね。世界的にバカ売れしたヒット商品なんです。デザインもいいし値段は手頃だし。
プラスチック製の針を付けるなんて、本当にこれまでになかった画期的なアイデアなんですよ。これでもちゃんと音は出ますからね。パーツごとに細かくコストダウンをしていったからこそ、1万円台にできたわけで。こんなに安く手軽にレコードのある生活を始められるようにしてくれた、という意味では多くの音楽ファンから感謝されているプレーヤーだと思いますね。


専門性の高いジャンルにも関わらず、フラットな考え方と、物腰の柔らかさも井上さんの魅力の一つ。井上さんの解説を聞くということを、OTAI RECORDを訪れる目的の一つにするのもあり。

次ページでは、井上さんにピックアップしてもらった複数台のプレーヤーを価格順に紹介。

井上さんにピックアップしてもらった複数台のプレーヤーを価格順に紹介。

OTAI RECORD

OTAI RECORD
DJ機材において全国的な人気を誇るレコード&DJ機材専門店。OTAIRECORDようすけ管理人として、社長自ら登場するYouTubeチャンネルも、高級オーディオルームも必見。
住所 愛知県北名古屋市弥勒寺西1丁目127
電話 0568-48-1610
営業時間 11:00〜20:00(電話受付〜16:00)
定休日 水、木曜定休
HPアドレス https://www.otaiweb.com//

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