レコード店とディスクガイド 5軒目 Jazz Records seeed(大阪・堂山町)

WRITER
吉本秀純

クラブDJたちによって再評価されてきたグルーヴィーな盤から、正統派のハード・バップやユーロ~和モノに硬派なスピリチュアル・ジャズやブラジル音楽まで。カジュアルに手を出せるナイス・プライスな好盤が数多い品揃えの良さで、あらゆるタイプのジャズ・ファンから支持されてきたJazz Records seeed。気さくに様々な盤をレコメンドしてくれる店主の長門さんのキャラクターとともに、個人経営のレコード店が少ない大阪のキタ・エリアにおいて存在感を示してきたこのお店には、ジャズの中古レコード店=敷居が高いというイメージは皆無だ。品揃え的にも店のスタンス的にも他にない雰囲気で多彩なジャズの楽しみを提案してくれるseeedの成り立ちや方向性について、店主の長門淳也さんに話を聞いた。

 

ずっと聴いてきてカッコエエなと思うもの

――お店の始まりはどんな感じだったのでしょう?
オープンはもう15年前なんですけど、最初は中崎町で古着が半分、レコードが半分のお店として始めたんですよ。ジャズやブラジル音楽に興味を持ったのは、僕の友達にDJをやってた子がいて、そこからですね。で、カッコエエなぁとなって持っていた古着を売ってレコードに替えるようになって(笑)

――ヴィンテージな古着が徐々にジャズのレコードに(笑)
でも、最初はレコードだけで食えるかな? と半信半疑だったので半分半分で店を始めたんですけど、オープンしてみるとレコードの方のお客さんが付くようになって自信も付いてきて、どんどんとレコードを売る方にのめり込んでいったんですよね。


ジャズレコード店として真っ当な品揃えと思いきやレジ横にはアジアのカセットなどが並ぶコーナーも!

――で、気が付けばレコード店一本になっていたと。
はい。そうするとレコード店の友達も増えてきて、ちょうど神戸にディスク・デシネ(※現在は東京の渋谷に移転)が出来た頃だったので、同期という感じで仲良くなりつつ刺激を受けたりして。そして、オープンした後はそのDJの子の紹介でNOONに出演されていた須永辰緒さんと知り合いになって、中崎町にお店があった頃から来ていただいたりと、みんなのサポートのおかげで人脈も広げていきながら、5年後に中崎町から扇町に移転した時にはレコードだけを扱うようになっていました(※現在は堂山町に移転)。


もともと古着を扱うお店をやっていたと言うだけあって、見事に敷居を下げてくれている。気さくで話し易くまるでレコード店店主とは思えないくらい。思わず寄ってしまうのも納得。

――seeedはレア盤などもあるのですが、買いやすい価格帯で内容の良いジャズのレコードが充実していて。長門さんもジャズのレコード店の店主としてはお若いですし、カジュアルにジャズの中古レコードに接することが出来る点が魅力だなと。
ありがとうございます。そういうのをセレクトしているつもりです。

――お店としてのセレクトの基準などはあるのですか?
ん~、でも、単純に僕がずっと聴いてきてカッコエエなとか、安いけど埋もれているなとか、その時その時のマイブームとかもありますね。今ならECM再評価で、やっぱりむちゃくちゃイイわと思って聴いています。そのあたりは順繰りで変わっていくもので、その前は定番のブルーノートとかジャズ・ジャイアンツにハマっていたんですけど、最近はまたヨーロッパのジャズとかがエエなという感じです。

――ECMは今またおもしろく聴ける時期が来ていると思います。
そんな感じで正直あまり難しく考えていなくて、自分がおもしろいなと思うものに力を入れている感じです。商売と言いながら、自分自身が誰よりもレコードを買いまくっていると思うので(笑)

――仕入れに関してはどうですか?
今は買い取りがメインで、コレクターのお客さんにサポートしてもらっています。ジャズのコレクターってやっぱり年齢層が高いので、甘えたら持ってきてくれるというか(笑)。皆さん、やっぱりかなり持ってはりますよ。


ジャズのレコード以外にも和もの7inchなども要チェック。お値打ち価格で定番ものが手に入ることもしばしば。

――コンディションが良くてレアな盤の埋蔵量は、特にジャズなどは実は日本が一番なのではという気がしますし。
たまにヨーロッパに買い付けに行きたいなと思う時もありますけれど、今はたぶんこっちにいる方があるんちゃうかなと思うほどですね。

――ジャズと並行して以前からブラジル音楽も置かれていましたが、最近はタイの音楽などもちょこちょこと扱われていますよね。
そうなんですよ。ちょっと他のジャズのレコード店では扱わないようなのも好きで、2年くらい前からタイの音楽がおもしろくて仕方がないんです。とはいえ、店に来ていきなりタイの音楽がかかっているとビックリされるので、こっそりと聴いています(笑)。やっぱりジャズ屋なのでそんなには売れないですけど、おもしろいネタを探しているトラックメイカーとかが買っていってくれますね。でも、タイが好きと言っていると、タイのレコード・ディーラーと友達になったり、タイのお客さんがお店に来るようになったりもして。最近はそのタイのお客さんから日本の演歌のレコードが欲しいと言われて、少し仕入れたりもしていますね。向こうでカバーされていたりカラオケに入っている曲が多いみたいで「北酒場」とか喜ばれますよ。

――お話を聞いていると、ジャズとの出会いにしても仕入れにしても、長門さんの様々な人との出会いや音楽的な関心の広さや熱心さが、そのままお店に反映されている感じがします。
ホントに個人でちょっとやってみようかなという感じで始まって、周りのすごい人たちとの出会いに恵まれて僕も付いていかなあかんと刺激を受けて、ここまで来ている感じです。なので、感覚的には僕もお客さんも一緒やと思いますし、そこを忘れたらあかんとも思っています。

次のページ

Jazz Records seeed

Jazz Records seeed
住所: 大阪市北区堂山町14番29号 鈴木ビル202号
電話: 06-6809-6043
営業時間:12:00 - 19:00
定休日: 水曜
HP: http://www.seeed.net/

世界中のレコードを、その手の中に
  • Google Playでアプリをダウンロード
  • App Storeからアプリをダウンロード

関連記事


新着記事

すべての記事をdig!