FACE RECORDSインタビュー

WRITER
小川充

FACE RECORDSは1994年6月に横浜で通販専門店として始まり、1996年に渋谷で実店舗をオープンした。そして、2011年9月に同じ渋谷宇田川町のCISCO坂へ移転する。「レコードの聖地」と言われる渋谷宇田川町だが、当時は1990年代から2000年代にかけてのアナログ・ブームが終息し、多くのレコード・ショップが閉店していた頃。そうした時期を乗り越え、再びアナログ盤が注目されつつある現在を迎えているのだが、FACE RECORDSはかつての輸入中古盤のブラック・ミュージック専門店から脱皮し、現在は日本人アーティストの作品や、帯付きのソウルの日本盤など、過去に国内でリリースされたレコードにも力を入れている。来年2019年には創立25周年を迎えるが、そうした節目に向けていろいろと新たな企画も行なっている。そんなFACE RECORDSの近年の商品の傾向や新たな取り組みなどを中心に、渋谷店店長の住原さん、FACE RECORDSが属するFTF株式会社のゼネラル・マネージャーの堀込さんに話を聞いた。

渋谷店店長の住原さん(左)とゼネラル・マネージャーの堀込さん(右)

――CISCO坂へ移転した2011年頃はレコード・ブームが底にあった時期かと思いますが、当時の宇田川町の様子はいかがでしたか?
堀込:あの頃は震災の影響もあって、モノを買うこと自体に自粛ムードが広まっていたので、正直なところ店舗での販売はキツかったですね。日本の景気も悪くて、そういった経済状況の影響を受けていたと思います。ただ、この立地条件はとてもいいから移転するべきだと周囲から助言をいただき、現在の店舗を構えることになりました。

――それから再びレコード・ビジネスが上向いていくのはいつ頃からですか?
堀込:感覚的には3、4年くらい前からジワジワという感じですか。1990年代のアナログ・ブームはヒップホップなどが引っ張っていて、そうしたサークルを中心に日本国内で盛り上がっていた印象でしたが、今のブームは海外のお客さんが多く入ってきています。それとここ数年は20代の若いお客さんも増えてきて、もともとのレコード好きな国内のコレクターやDJのお客様にプラスして、それらふたつの新しい購買層がFACE RECORDSを支えてくれています。昔と今では客層がガラっと変わったと言えます。海外のお客さん向けには店頭で「Tax Free」のポップを目立つように提示しています。

――海外のお客さんはどのような情報をもとにして来店されるのでしょうか?
堀込:アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアのお客さんが多いのですが、それぞれ地元で人気のあるDJのSoundCloudやMixcloud、DJチャート、SNS、口コミなどからレコードの情報を集めているようですね。中にはそうした口コミ情報をリスト化している人もいるみたいです。昨今の和モノ・ブームの影響も大きいですし、また国内盤のロックやジャズのレコードを探している人も多いです。昔から日本の帯付のロックなどは人気が高かったのですが、今は和モノが注目される状態です。中国などアジア圏のお客さんには、スリー・ブラインド・マイスなど和ジャズが人気ですね。

――日本のお客さんも昔とは買うレコードが変わってきているのでしょうか?
堀込:若いお客さんは大学生くらいの方なのですが、実際に話を聞くと自分の好きなバンドがアナログ盤を出したということで買いに来る人も多いですね。そういった中にはプレーヤーを持っていない人もいたりします。親の影響でレコードを聴いてみたり、自分と同年代のDJの影響でという人もいますが、昔みたいにDJになりたいからレコードを買うという人ばかりではないですね。だから、ヒップホップやクラブ系のレコードを探すより、ロックやポップスなどを探している人が増えているのではないでしょうか。DJ文化よりもバンド文化からのアプローチが強まっているように感じます。

――そうした購買層の変化に対応して、品揃えも変化してきているのでしょうか?
堀込:もともと新譜は扱っていなかったのですが、RECORD STORE DAYなどイベントのときには新譜も仕入れるようになりましたね。2011年以前はブラック・ミュージック専門店を打ち出していたので、アメリカなど海外での買付も行なっていたのですが、それ以降は国内での買取がメインとなっていきました。レア・グルーヴのブームが下降していき、それと入れ替わるように和モノのブームが浮上してきて、海外のお客さんも含めて国内盤の需要が高まってきたこととリンクしています。はっぴいえんどや細野晴臣さんなどの作品が買取に多く持ち込まれるようになって、そうしたものに改めて目を向けてみたところ、アメリカのソウルとかファンクに通じるところも見い出せて、それを店頭に出し始めたらジワジワと売れるようになってきたというところです。

次ページ:FACE RECORDSインタビュー(後編)

FACE RECORDS

FACE RECORDS
住所:東京都渋谷区宇田川町10-2
電話:03-3462-5696
営業時間:13:00~20:00
定休日:無休
HP:http://www.facerecords.com/

by 小川充
photos by 浦野大輔

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