Dub Store インタビュー/レゲエ・ミュージックの認知向上や数々のプロデューサーとの裏話

WRITER
Hajime Oishi

レゲエ・ミュージックをジャズやブルース、リズム&ブルースなどと同レベルの認知にまで押し上げることを目標とし、1993年に福岡で創業したDub Store。スカやロックステディ、ダブのヴィンテージなレコードを扱うだけでなく、自社レーベルからさまざまな貴重音源をリイシューしてきた同社は、世界各地のレゲエ・フリークから厚い信頼を集めている日本有数のレゲエ・ミュージック専門店だ。そんなDub Storeも今年で創業25周年。ジャマイカやロンドンに乗り込み、数々の名プロデューサー達とやりとりしてきた際の裏話から今後の展望まで、代表を務める家永直樹さんに話を伺った。

――Dub Storeが福岡でレコード通信販売業を開始したのは93年4月のことですよね。
そうだね。それまで2年間ロンドンにいたんだけど、向こうでノーザン・ソウルのDJとずいぶん知り合って、スカのレコードをだいぶ譲ってもらったんだよ。UK盤のピカピカのヤツ。Dub Storeはそれを売るところから始まったんです。

――通販を始めた当初の反響はいかがでしたか。
最初は金もなかったけど、まずはファックスを買って、レゲエ・マガジンに広告を打ったの。そうしたら100人ぐらいから『リストを送ってくれ』っていう電話がかかってきてね。リストを一斉に送ったら、到着した日から電話が鳴りっぱなし。スカのオリジナル盤を扱う店がまだほとんどなかった時代だから、反響は凄かった。

――ただ、当時はレコード販売業を本格的にやっていくんだという意識はなかった?
まったくなかった。スタジオ・ワンのミスター・ドッド(コクソン・ドッド)と出会って、「この人に認められるレゲエマンになろう」と本気で思ってからだね。

――90年代はレゲエの人気にも浮き沈みがありましたよね。売り上げに影響はありましたか。
ウチはあんまり関係なかったね。ジャマイカのブランニュー(新譜)は向こうからもたくさん入ってきたけど、現地に行くと日本でも見ないようなスカやダブのレコードがいっぱいあってね。それを日本でかけ売りすると、どんどん売れていくんだよ。そういう時代だった。

――そうやってかけ売りができるのは実店舗ならではですよね。
そうだね。実店舗を開けたばかりの時期はリイシューも新譜もまったく扱ってなくて、レアなオリジナル盤しか置いてなかった。カウンターの中に商品を置いていたから、お客さんはまず俺と話をしないといけないわけ。
「何がほしいの?」
「このレーベルのものが欲しくて」
「君にはまだ早いな」
みたいなやりとりをしていた(笑)。今でも第一線でやってるようなセレクターや後に自分でもレコード屋になったような人たちが来ていたね。

――2002年にオンライン・ショップを立ち上げましたね。
ターニングポイントはeBayだった。97年にeBayができて(註:95年にAuction Webとして設立、97年にeBayに社名変更)、これからはジャマイカ人が直接世界中のコレクターにレコードを売る時代になると思った。とりあえず自分たちでもオンライン・ショップを始めてみたわけだけど、最初は売れなくて。

――売り上げが伸びたきっかけはなんだったのでしょうか。
iモードのショッピングモールに携帯向け通販サイトを出したんだよね。そうしたらバカ売れしたんだよ。当時(2006年)はまだジャパレゲのブームが続いていたし、着うたなんかも人気があったんだよね。携帯とレゲエの親和性が高かったことが影響していたと思う。

――2004年には自社レーベルとしてDub Store Recordsをスタートします。最初のタイトルは何ですか?
アーネスト・ラングリンの『Guitar In Ernest』(1965年)っていうジャズのアルバム。自社レーベルはずっとやりたかったんだよね。世に出てないレコードもたくさん知ってたし、プロデューサーとの付き合いもあったから。レア盤の買い付けよりも「自分で売るものは自分で作らないといけない」という発想になってきてたから、自然と自社レーベルをやるようになったんだよね。

――印象深いタイトルは何ですか?
個人的に一番好きなのはやっぱりスタジオ・ワンのものだけど、最近だったらコンピレーションとして出たアストン“ファミリーマン”バレットの『Soul Constitution:Instrumentals & Dubs 1971-1982』かな。

――バニー・ウェイラーが主宰するレーベル、ソロモニックの2タイトル(『Solomonic Singles 1: Tread Along 1969-1976』『Solomonic Singles 2: Rise & Shine 1977-1986』)も素晴らしかったですね。
あれもいいね。レーベルをやろうと決心して最初に門を叩いたのは、バニー・ウェイラーだったんだよ。友人に紹介してもらって直談判したんだけど、ダメだって言われて。本人の自宅に行ったら薄暗い部屋に大きなデスクがドンとあってさ、パイプをくわえたバニー・ウェイラーがそこに座ってるわけ。目の前で無造作にパイプに詰めている、その状況のなかで「レコードを出させてくれ」って頭を下げるの(笑)。

――なかなかすごい状況ですね(笑)。
そうそう。何年もかけて本人のとこに通ってね。最後には「また来たのか!」って言われて(笑)。そこでようやくOKをもらえた。バニー・ウェイラーに限らず、契約を交わすときは必ずフェイス・トゥ・フェイス。電話やメールで済ますことはまずないね。


レコードレーベル部門や発送業務は同店舗ビル内にある複数の事務所で行っている

後編:家永さんのオススメレコードをご紹介

Dub Store Records

Dub Store Records
住所:東京都新宿区西新宿7-13-5
電話:03-3364-5251
営業時間:12:00~20:00
定休日:年末年始以外無休
HP:https://www.reggaerecord.com

By Hajime Oishi
Photos by Daisuke Urano

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