和田唱 インタビュー

WRITER
ジョー横溝

――先ずはレコードの所有枚数から教えてください。
「ざっとですが、700枚ぐらいだと思います」

――最初に買ったレコードは?
「洋楽に興味を持ち始めた頃、最初に大好きになったのはマイケル・ジャクソンで、マイケルの『バッド』がリアルタイムで初めて買った新譜だったんですけど、あの時はレコードもカセットもCDもあった過渡期だったんです。そういう意味で僕がレコードと本当に親しんでいたのは子供時代で、完全にヒーローものレコードでした。僕が好きだったのは戦隊ものです。電子戦隊デンジマン、太陽戦隊サンバルカンとかの主題歌ですよね。新番組が始まると主題歌のシングルが出るのでそれを下北のレコード屋さんで親父に買ってもらってました。多分デンジマンが最初に買ってもらったレコードだと思う」

――和田さんというとビートルズなどのレア盤を持っているイメージがあるんですが、その入り口はやはりビートルズ?
「そうですね。でも、僕が初めてCDでビートルズをちゃんと聴いたのは親父が買ってきてくれた、駅で千円3枚組で売っているパチもんのやつだったんですよ」

――(笑)!
「80年代終わりから家のオーディオもCDに移行したんですが、親父が当時から『CDはジャケットが小さくてつまんないんだよな』ってよく言ってたんですよ。たしかにレコードはジャケットも大きくてかわいいけど、CDは音が劣化しないっていう触れ込みで登場したんです。ところが、そのCD最強説も徐々に違うんじゃないかっていう流れになってきて。10数年前に、実はレコードの方がいいんじゃないかって思うようになったんです。
で、具体的に僕がレコードにまた戻っていくきっかけになったのは、ビートルズのレコードです。理由はビートルズはレコードで聴く前提で音源を作っているんだと。だからレコードの方がビートルズが意図した音に近いんじゃないのかなって単純に思ったからです。『レコードで聴かなきゃダメかもしれない』って」

――正解ですね。
「更に、ビートルズの面々はミックスの時にモノラルミックスのレコーディングしか立ち会ってなかったっていう話を聞いたんです。でもその当時CDになっていた最初の4枚だけはモノラル仕様でしたけど、残りは全部ステレオでした。だから『ラバー・ソウル』も『リボルバー』も『サージェント・ペパーズ』も本当はモノラルがいいんじゃないかっていう説があって。それでモノラルが聴きたいってことになってそこを突き詰めていくと、とにかくビートルズはオリジナルの最初のUKプレスのモノラル盤を買うしかないってことになったんです。
で、どうせなら昔のスピーカーとかアンプで聴いた方がより正解だろうということになり、eBayやヤフオクで安いものをそろえましたね。でも、オークションで買った安いオーディオは修理しないとダメだったしりして『結局金かかってんじゃねーかよ』みたいな感じでした(笑)。そんな感じでレコードとオーディオは同時進行でハマっていった感じです。ビートルズのUKファーストプレスのモノ盤も買えるものから揃えていきました。」

――その中の1枚ですね、『ラバー・ソウル』は。
「はい。これはeBayで購入したUKファーストプレス、モノラルです。音もすごく濃厚でいいんですけど、何がいいってジャケットの印刷がいいんですよ。日本版や復刻ものと比べると写真のきめ細かさが全然違うんです。で、聞き方として正しいのは、モノラルはもともとスピーカーひとつで聴かれてたものなので、アンプのLRを片一方にして片っぽのスピーカーで聴くとより『こういうことだったんだ!』っていうのがわかるんです。その分ちょっと音量上げてね。モノラル針、スピーカー片方、音量を上げ、それを座って嗜むわけです。で、ワインですかね、やっぱり」

――ビールではなく?(笑)。
「最初はビールです(笑)。途中からワインです」

――(笑)。音の分離はどうですか?
「鮮明っていうわけじゃないんですけど、ちゃんと完成されてるんですよ。あとドラムがちゃんと聴こえますね。『She Loves You』のシングル盤なんてめちゃめちゃドラムの迫力があるんですよ。当時ロックンロールが騒がしい音楽で、不良の音楽だと言われていた理由がよくわかりますね」

――何故『ラバー・ソウル』を?
「何故『ラバー・ソウル』を持ってきたかって言うと、ビートルズのアルバムの中で何が一番好きだって聞かれた時に『リボルバー』って言っときゃ正解だ、みたいな風潮があって腹立ってくるからです!」

――ハハハハ(爆笑)!
「ジョージ・マーティンがビートルズの一番好きなアルバムとして『リボルバー』を挙げているので、ビートルズプロデューサー公認ナンバー1アルバム『リボルバー』なんです。だから『サージェント・ペパーズ』よりも『リボルバー』がいい説が定説としてあって。僕も『リボルバー』大好きですけど、総合点で『ラバー・ソウル』です。ジャケットも含めてね『ラバー・ソウル』です!!!」

――その力強さからむしろ心の揺れを感じますが(笑)。
「そうそう(笑)。常に揺れてます(笑)。でもこのアルバムで初めてジャケットにザ・ビートルズって書いてないんです。これが当時の彼らの自信です。だって『僕らの顔でわかるでしょ』ってことですよね。なので僕も自信を持って『ラバー・ソウル』です!!」

――次の1枚お願いします。
「実はレコードで一番聴いているのはジャズです。ビートルズにハマり、ファーストプレスとか言っときながらもやっぱり高いので、ファーストプレスにこだわっていたのはビートルズくらいです。いろんな音楽を聴きたいのでCDで持ってない安いレコードを漁るわけです。で、どうせ安いしジャズもかっこつけてちょっと聴いてみようと思っていたらこの有名なジャケット『ウォーキン』がパッと目に入って、安いので買ったら、俺が勝手に思いこんでいた難解な”歌ものじゃないジャズ”のイメージを壊してくれる作品でした。
ということで、ジャズにハマるきっかけのレコードなので、これは感謝を込めて後々手に入れたファーストプレスです。見てくださいよ、この年期!本当は白なんですが経年変化で完全にクリーム色になっています」

――いいですね。
「何がいいってこの頃、つまり50年代ってレコーディング技術が一旦完成の域に入っているわけですよ。で、この後60年代にロックの時代が来るんですけど、ロック黎明期なのでエレキベースの録音がまだ全然うまくできないわけでよ。特に60年代のロックってエレクトリックベースの音が小さいです。ちゃんと録れてないんですよ。低音もあんまり出てないし。それに対して50年代はウッドベースの録り方が一旦完成の域に入っているので、60年代ロックを聴いた後に50年代のジャズを聴くと全然ジャズの方が迫力あるんですよ。ボトムが半端ないです。ある程度大きなスピーカーで聴くと半端ないですね。もうワインですよ(笑)」

――(笑)。次の1枚お願いします。
「僕はジャズも歌ものは元々好きだったんです。で、歌もの好きとしては、シナトラはレコードで持ってなきゃいけません。シナトラはいわゆる流行歌手だったのでレコードがいっぱいあるんですよ、世の中に。だからファーストプレスがめちゃ安いです。シナトラのファーストプレス安いです!eBayで買った方がいいですよ(笑)」

――(笑)。ファーストプレスを手軽に買うならシナトラだと!
「はい。素晴らしいんです。『Swing Easy!』と『Songs for Young Lovers』というアルバムですが、この2枚、もともとは10インチのLPで出てるんですよ。LPはもともと10インチだったので。SPからLPの時代になって最初のうちは10インチなんです。で、中を見ると「Long Play」とちゃんと書いてある。LPの歴史の始まりを感じてもらえます」

――素敵です。
「あと、10インチなので片面に4曲くらいしか入ってないのでCD化する時にちょっと短いぞっていうことで、CDだとこの2作品が収録された2in1のCDになってるわけですよ!だからジャケットも合わせ技なんです。一瞬『Swing Easy!』のジャケットなんですけど、確か右下に小さく『Songs for Young Lovers』のジャケがモノクロで入っているんです」

――それはデザインの冒涜ですね。
「冒涜です!オリジナル盤だと写真も鮮明で綺麗なんですよ。これ聴きなからワインですよ。ふくよかな時間が味わえるわけですよ」

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和田唱(わだ・しょう)

和田唱(わだ・しょう)
1975年東京生まれ。トライセラトップスのボーカル、ギター、作詞作曲も担当。ポジティブなリリックとリフを基調とした楽曲、良質なメロディセンスとライブで培った圧倒的な演奏力が、国内屈指の3ピースロックバンドとして大きく評価をされている。
SMAP、藤井フミヤ、松たか子、Kis-My-Ft2、SCANDALなどへの作品提供も多数。

<和田唱_楽曲提供リスト>
野宮真貴 "YOU ARE MY STAR" 作詞・作曲/和田唱・演奏/TRICERATOPS
松たか子"水溜まりの向こう" 作詞・作曲/和田唱・演奏/TRICERATOPS
松たか子 "惑星" 和田唱 作詞・作曲・演奏/和田唱(ギターソロ、コーラス)
SPARKS GO GO "ハートのショップ" 作詞・作曲/和田唱 演奏/和田唱(ギター・コーラス)
藤井フミヤ "キメゼリフ" 作詞・作曲/和田唱・演奏/TRICERATOPS
藤井フミヤ "ネオン" 作詞・作曲和田唱 演奏/和田唱(ギター・ベース・コーラス)
土岐麻子 "Perfect You" 作曲・編曲/和田唱 演奏/和田唱(ギター・ピアノ)
ゆず "第九のベンさん"(TRICERATOPS&ゆずによる演奏・コーラス)
SCANDAL "ピンヒールサーファー" 作詞・作曲・編曲/和田唱
山下智久 "原始的じゃナイト 〜アナログ ラブ〜" 作詞/和田唱
Kis-My-Ft2 "SNOW DOMEの約束" 作詞/和田唱
SMAP "ココカラ" 作詞・作曲/和田唱
SMAP "藍色のGANG" 作詞・作曲・編曲/和田唱 演奏/TRICERATOPS
宮沢和史&TRICERATOPS “氷のブルー” 作詞・作曲/和田唱
QUATTRO FORMAGGI(桜井和寿&TRICERATOPS) ”STAND BY ME” 作詞・作曲・編曲/桜井和寿&和田唱

TRICERATOPS OFFICIAL WEB SITE
http://triceratops.net/
MORE INFORMATION : TRINITY ARTIST INC. OHMORI
090-3521-3500 ohmori@trinity-artist.com

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