テクニクス復活の功労者であり、SL-1200MK7の開発にも深く携わった上松泰直氏に独占インタビュー!

WRITER
Kiwamu Omae

DJにとっては世界標準とも言えるターンテーブルの名機SL-1200シリーズ。1972年に発売された第一号機から着実に進化を続けながら、2010年にパナソニック(旧・松下電器産業)のハイファイオーディオ・ブランドであるテクニクス(Technics)が休止したことによって、SL-1200シリーズも世界中のDJに惜しまれながらも販売終了となった。しかし、2015年にはテクニクスが復活を果たし、そして、ついに今年5月にはSL-1200シリーズを継承するDJ用ターンテーブルの新モデル、SL-1200MK7が発売されるという。そこで、テクニクス復活の功労者であり、今回のSL-1200MK7の開発にも深く携わったパナソニック株式会社・テクニクス担当の上松泰直氏に話を伺った。

――まずは上松さんがテクニクスに携わるまでの経緯を教えてください。
1991年に松下電器産業(現・パナソニック)に入社をしまして。もともと、テクニクスというブランドが好きで松下に入ったのですが、最初はビデオ事業部に配属されて。1994年にオーディオ事業部に異動して、テクニクス担当になり、商品企画ですとか、販促宣伝や広報といったあらゆる業務を担当させてもらいました。

――その当時は、オーディオ事業部自体はどのような状況だったのでしょうか?
ハイファイオーディオ全体の業績は下がっていましたけど、93、4年くらいから、クラブシーンが盛り上がっている時期だったので、SL-1200シリーズの販売はかなり伸びていました。日本の中にクラブが乱立していて、社内の認識も、ターンテーブルはオーディオファンだけではなくて、DJが買うものだという風に変わっていきました。僕らもほとんど週末は、どこかのクラブに行って、DJへのプロモーションや、新しい商品をクラブへ持っていって、DJに触ってもらい、アンケートを取ったりっていうことをしていました。朝、気が付いたら、クラブのソファーで寝てるみたいなこともしょっちゅうでした(笑)。

――改めてSL-1200シリーズの進化の歴史を簡単に教えてください。
一番最初にニューヨークでクール・ハークとかがDJで使い始めたのは、SL-1100(1971年発売)やSL-1200(1972年発売)だったんですけど。当時、70年代中頃に、うちのエンジニアが渡米して、いわゆる昔のディスコでどう使われているかというのを視察に行って。ハイファイとしてのクオリティを保ちながらDJがもっと使い易くするように、改善するべきじゃないか?!っていうことで、改良を加えられて誕生したのがSL-1200MK2(1979年発売)です。

――SL-1100やSL-1200をDJが使い始めたというのは、ターンテーブルの回転方式が、従来のベルトドライブではなくダイレクトドライブ方式だったからですよね?
そうですね。ダイレクトドライブはテクニクスでSP-10(1970年発売)で世界に先駆けて取り入れたもので。このDD(ダイレクトドライブ)モーターの発明が、DJっていうものを生み出したと言っても、過言ではないかもしれません。それから、あとはアームの形もですね。カーブがあることで、溝をしっかりとトレースして音の情報を読み取ることが出来る。また、針も飛びにくくなるので、それもDJに使われた理由だと思います。

――SL-1200からSL-1200MK2になって、改良のポイントはどこですか?
ディスコで大音量で鳴らすと、針飛びやハウリングが起きやすくなるので、まず振動を抑えるためにインシュレータを変えました。あとピッチコントローラーが、SL-1200のは小さいツマミだったんですけど、操作しやすいように、大きく、スタイド式にして。他にも、暗いところで操作出来るように、針先の照明を付けたり、誤って電源を切らないように、電源スイッチを回転式に変えたり。SL1200からSL-1200MK2で劇的に大きく変わって、今ではこのデザインがDJ用のターンテーブルのアイコンみたいになっていますよね。DJのための楽器としての形が、ここである程度確立されて。あとはSL-1200MK3では色が黒になったり、シリーズ200万台突破記念で日本国内で5千台限定の24金のメッキを使ったSL-1200LTDを作ったり。それから、DJに向けた細かい仕様の改良で、ピッチコントローラーを、より細かい調整が出来るように、真ん中にカチってクリックがあったのを廃止したり、カートリッジ用のシェルスタンドを付けたり。SL-1200MK5では音質や仕様も含めて内部の改善も行ないました。

次ページ : SL-1200シリーズことや、今回発売されるSL-1200MK7について

Text & photos by Kiwamu Omae

世界中のレコードを、その手の中に
  • Google Playでアプリをダウンロード
  • App Storeからアプリをダウンロード

関連記事


新着記事

すべての記事をdig!