SHINCO(スチャダラパー) インタビュー

WRITER
中村悠介(IN/SECTS)


今回ご登場いただくのはSHINCOさん。ご存知、結成30年を迎えたスチャダラパーのDJ/トラックメイカーで、ソロとしては昨年末に突如みうらじゅん&SHINCOとしてコラボ曲を発表したり、な展開も。そんなスウィンギン師匠にレコードについておうかがいしましょう。


ーーこんにちは。いきなりですがSHINCOさんは通販でレコード買ったりされます?
あんまりないかな。海外から通販だと1ポンドのレコードに送料4,800円、とかもあるし。誰も欲しがらないようなレコードなんだけど、それに送料を払わないといけないのか?ってのがね。だから、ほぼほぼ渋谷で(レコードを)買うのは昔から変わってないかな。

ーーSHINCOさんが最初は買ったレコードはなんです?
最初は「およげ!たいやきくん」。それが欲しくてコロムビアのてんとう虫のプレイヤーを買ってもらったくらい。身銭を切って買ったのは「想い出のサマーナイト」かな。映画『グリース』のサントラの。テーマじゃないんだけど、その曲が妙に好きでね。聴きたかったんだよね。

ーーそれはいつの頃です?
小2かな。お小遣いでね。まだ近所にレコード屋がある時代だね。お兄さんたちはフィンガー5とか買ってた。

ーー振り返ると、その当振レコードというメディアをどう捉えていました?
うーん。昔はレコードかテープしかメディアがなかったから、良いも悪いもないというか。

ーーではCD登場した際に違和感ありました?
CDが出てきたのが高2か高3くらいかな。CDに馴染むまでに3、4年はかかったのは覚えてる。でも実家に住んでた当時はレコードプレーヤーって各部屋になかったし、そんな気さくなもんじゃないっていうか。だからテープに録って自分の部屋でじっくり聴く、っていうことをやってたかな。

ーーひとりでじっくり聴くためにわざわざ録る、と当時、聴いていたものをレコードであらためて買い直すことはあります?
いちおうレコードでも買っとくか、っていうのはあるけどね。まぁでも、高校卒業してからは、今みたいなレコードを楽器とするような職業に就いたので。そのあたりから、ちょっと聴くっていうことの感覚が変わったかも

ーーどう感覚が変わったんです?
音楽の聴き方がまったく変わったよね。ジャンル関係なく、もうなんでもいいっていうか。ダセーものの方が面白いっていうか。だから系統立てて音楽を聴いてきたひととは話が合わないなぁとか自分はすげえテキトーだなと思うよね



ーー(テクニクスの)ターンテーブルは最初に(兄の)ANIさんが持ち込んだんですよね。ラブホテルのバイト代で買ったという。
そう。それが高2くらい。だから、それ以降まともに音楽聴いてない感じがする。なにかを作ってみんなをビックリさせてやろうとばかり考えてて。

ーーそれは制作目線での“聴く”というかスチャダラパー結成当初に『太陽にほえろ!』をトラックに使用したり、というようなことです? あのアイデアはSHINCOさん
あれは3人のムードで決まったかな。でも当時は、他のひとが(自分たちとは違って)すげえ高いレゲエのレコードとか(サンプリングで)使ってるな…とか思ってたけどね(笑)

ーーこれからDJされる際にセラートだったり、PCを使用しようとか思います?
レコードは重いし体力的にもそろそろそっちへ行かないと、とは思ってるけどね。アレは楽しそうだよね。

ーーSHINCOさんのDJバッグの中身はだいたい決まってます?
なにがあるか分からないから、いろいろ持っていくけど。CDを持っていけばなんとかなるかな。

ーーなにかあるとき、とは?
あ、思ってたのと違う!って。こんなEDMパーティーとは聞いてなかった!みたいな。わざわざ重いレコード持ってきても1曲もハマる曲がない!って焦ることはありますよ。ニルヴァーナ、持ってきたらよかった!とか。

ーーニルヴァーナ?
持ってないけどね。けっこうファッション系のパーティーだと、なにかあるときがある。まぁ自分は守備範囲が狭いからね、特殊な方かも。もう自分はこういうめんどくさいヤツなんです、って開き直るしかない!(笑)



ーーDJすること自体は好きです?
好きだね。でもまぁ日々勉強ですよ。

ーーあらためてレコードならではの良さをどう考えます?
うーん。やっぱ針が中央に向かって、音楽が進んでいくのが見えるところ。音楽の進み方をコントロールできるってとこかな。

ーー直接、触れてコントロールすることができる、というような。
そうだね。特にヒップホップのDJはそうだと思う。

ーースクラッチしたり、と。考えてみたら革命ですよね、直接レコードに触るって。
ショックだったけどね。だから(ヒップホップ以降は)音楽の聴き方が根本から変わったというのはあるね。

ーー今、DJでスクラッチすることは?
昔はしてたけど、今も必要とあらばやりますよ。見て!って感じじゃないけど。

ーー他にレコードならではの良さを考えると、どんなことが浮かびます?
昔はレアグルーヴとかのドラムソロを探してたりしたけど、不思議な目利きっていうか、聴かなくても(レコードの)溝を見るとブレイクが見える、とかもあるでしょ。

ーー不思議な目利き
聴かなくても(レコードの)溝を見るとブレイクが見える、とかもあるでしょ。

ーー溝が削れてちょっと色が変わってたり?
そういうアタリの付け方ができるのも面白いよね。まぁ、そんな聴き方ばっかしてるから音楽に詳しくないんだけど(笑)。でも、あらためてDJにとっていい音楽メディアはなにか?って考えると、CDがいいのかもしれないな、とは思うけどね。細かいジャンルに関しては、の話だけど。というのもCDは雑に扱ってもなんとかなる、っていう。まあでも、そういう意味ではいちばんなんとかなるのはレコードなのか。重いけど。



ーーそういえば、なんですが以前ソロ作品としてM.I.B.(Megro Incredible Beats)名義で12インチをシスコから発表されていましたよね。あの続きはどうなりました?
あー。うん…。

ーーこれからソロ作品を制作する予定はあります? ぜひお願いします!「Steamed Towel」(『The 9th Sense』収録)のような名インストを!ぜひお願いします!
(小さい声で)7インチは作りたいけど。

ーー声が小さくなりました。
あんまりね、大きな声で言うとね。やれ!ってケツ蹴られるからね。でも7インチは何枚か出したいな。

ーーなぜ7インチで?
1曲が3、4分で終わるのがいいかな、と。しみじみ聴いてもらえる。あれがいいじゃないですか? アイドルの好きな曲を7インチでなんべんも聴いたりとか。そういうの、いいじゃないですか。

ーー考えてみれば、あの大きさで基本2曲っていうのは贅沢ですよね。
ね? わざわざ1曲をかける、っていうひと手間もいい。だから今、よく7インチが作られているのは分かるな。

ーーソロとしての内容は、例えばブレイクビーツ的なものか、もしくはこの前のみうらじゅんさんとの「君のSince」のようなコラボレーションか。その7インチで目指すのはどのような音楽です?
インストで聞き流せるようなものがいいかな。癖になるひとは癖になればいいな、っていうような聞き流せるような音楽かな。

ーー聞き流せる音楽?
例えば(大阪の)味園(ユニバース)の楽屋って昔の古いチラシがいっぱい貼ってあるじゃん? あれ何年くらいのものだろう。70年代かな、ああいう状況で流れてるインストというか。なんとなくかかってる音楽というか。

ーーキャバレーでハコバンが演奏するような。ユルいラウンジ・ミュージックという感じでしょうか。
ああいう(ハコバンが)徹する、って感じがいいよね。好き。聞き流されるような音楽。自分はそういう音楽を、しっかり聴いてるんだけど。主張のない音楽。それでいて洗練されたアレンジ。しみじみ良いなぁ~とかは思うけどね。

ーー期待してます ところでSHINCOさんは持っているレコードを売ったりされます
売ったことはないけど、そろそろシェイプアップしないと、とは思ってる。もう売っていこう、と。キャパオーバーなんで。ANIくんは完全にデータ化したんで俺のレコードが邪魔になってるっていう。ほんとクソみたいなレコードばっかだけど。

ーー全部で何枚くらいあります?
もうキモい(くらいある)から数えてない!

 

後編はSHINCOさんによるレコード紹介をお送りします。

SHINCO(スチャダラパー)

SHINCO(スチャダラパー)
ラップグループ、スチャダラパーのDJ/トラックメイカー。1988年にMCのBose、MC(&イキフン)のANIとともにスチャダラパーを結成(初期はナイチョロ亀井も在籍)、1990年に『スチャダラ大作戦』でデビュー。1970年生まれ。神奈川県川崎市出身。
http://www.schadaraparr.net

取材:中村悠介(IN/SECTS)
撮影:西光祐輔

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