レア・グルーヴのディスク・ガイド決定版『レア・グルーヴ A to Z』の3rd Editionが発売。執筆&監修のキーマン3名に独占インタビュー!

WRITER
小川充

――最後になりますが、本を作るきっかけだったり、レア・グルーヴにハマるきっかけだったり、皆さんにとって思い入れの深いレコードをお持ちいただきました。それぞれ紹介をお願いします。


Lonnie Smith / Think! (1968)

B.V.J.:正統派のジャズじゃなく、いわゆるオルガン・ジャズと呼ばれるもので、レア・グルーヴというのとは若干ニュアンスが違うけれど、それまでロックに始まってソウルやファンクを聴いてきた僕にとって、ジャズ寄りの音楽にハマるきっかっけとなったレコードです。1990年くらいと思いますが、ピーター・バラカンさんのコンピでこの中の「Slouchin’」を知って、一発で気に入ってアルバムを探しました。最初に買ったブルーノートのレコードでもあります。


Parliament / Osmium (1970)

B.V.J.:レコード収集ということにハマるきっかけになったレコードです。あるときPファンクが好きになって、ファンカデリックとかPファンク系のレコードをいろいろ集めているうちに、どうもそこらの店じゃ普通に買えないレコードがあるということがわかって、それがこれでした。当時は輸入盤店や中古のレコード屋も少ない時代で、あるとき某レコード店の放出で出るというニュースを聞いて、僕以外にも何名か並んで店のオープンを待ったけど、結局そのときはほかの人に取られて買えなくて(泣)。その後だいぶ経ってから買えましたけど、これを機会にレコード屋でオリジナル盤を買うということにのめり込んでいきました。そうやってレコードを集めるうちに、レア・グルーヴへとハマっていったわけです。


Oneness Of Juju / African Rhythms (1975)

尾川:昔も今も僕はレア・グルーヴと言えばこれですね。ワンネス・オブ・ジュジュも、その前身のジュジュも全く知らなかったとき、何かのコンピで「African Rhythms」を聴いて「何てカッコいいんだろう」と思い、そのイメージがずっと今でも続いてます。このアルバムから教えられたことは多くて、ファースト・プレスとセカンド・プレスがあるという話から、ジュジュからワンネス・オブ・ジュジュへの変遷だとかを知って、そうした具合にレコードにまつわる話やミュージシャンの繋がりなどを追うきっかけも作ってくれました。


Archie Shepp / Attica Blues (1972)

尾川:特別に好きなレア・グルーヴのアルバムということではないですが、早い段階でレア・グルーヴとスピリチュアル・ジャズの両方に通じる作品であることを知らせてくれたアルバムですね。最初に「Attica Blues」を聴いたときは「何てファンキーな曲なんだ」と思い、それからしばらく経って「Quiet Dawn」を聴いて、今度は「何て美しくてスピリチュアルな曲なんだ」と気づき、それからまたしばらくして「Blues For Brother George Jackson」を聴いて、「何て重厚でカッコいい曲なんだ」と感じるという具合に、聴くたびに異なる発見がありました。レア・グルーヴから入って、スピリチュアル・ジャズやフリー・ジャズへの人脈を広げてくれたレコードでもあります。


Gary Bartz / The Shadow Do! (1975)

橋本:僕にとってレア・グルーヴへのきっかけとなったレコードです。僕はもともとロックを聴いていて、それからダンス・ミュージックやヒップホップを聴くようになったのですが、当時好きだったア・トライブ・コールド・クエストが、このアルバムの中の「Gentle Smiles」をサンプリングしたということで知りました。当時ほかにウェルドン・アーヴィンやミニー・リパートンなどもネタ元ということで知って、最初は再発盤から買っていました。でも、ミニー・リパートンとかはオリジナル盤も安かったので、試しに買って聴いてみたら、盤がペラペラの薄い再発盤とは比べものにならないくらい音がよくて。当時ゲイリー・バーツのこれもそれほど高くはなくて、ジャケットの質感や音質もいいし、オリジナル盤を買いました。それからですね、オリジナル盤にこだわるようになったのは。


Mighty Ryeders / Help Us Spread The Message (1978)

橋本:これぞレア・グルーヴという代名詞的なレコードですが、僕の盤は『レア・グルーヴ A to Z』の初版が出る直前に買ったもので、正真正銘のオリジナルとなるプロモ盤です。レコードを買い始めた頃は、まさか将来自分がこういったレア盤を買うとは思ってもいなかったのですが、これに出会ったときは「今後こういったレコードはますます入手困難になるのでは?」という時期にもきていたので、思い切って買いました。当時ちょうど10万円で買いましたが、今考えると随分安く買えたんだなぁ、と。そういった頑張った自分を思い出させるレコードですね。

書籍
レア・グルーヴ A to Z[3rd Edition]

定価:本体3,000円+税
著者:RARE 33 inc.(監修)
仕様:A5判/376ページ
発売日:2018年12月20日
ISBN:978-4-8456-3335-7
https://www.rittor-music.co.jp/product/detail/3118317103/

レア・グルーヴの入口から最深部まで
1200枚のレコードをオールカラーで掲載!

2009年に初版を発行し、2013年に“完全版”をリリースした『レア・グルーヴ A to Z』でしたが、知られざるグルーヴの沼はまだまだ深く、ついに2度目の改訂を行なうことになりました。前回1000枚を数えた掲載盤は、さらに20%増量の1200枚。手にしやすい基本盤からほとんど知られていない幻級の作品まで網羅し、よりレア・グルーヴ事典としての強度を増しました。そして今回の目玉は“Ultimate Vinyl Collection”と題し巻頭に配された、超弩級のレア盤のレコード・グラビア。現物を目にすることが困難なタイトルや同一作品で複数のジャケットが存在するタイトルを、美麗な写真で紹介していきます。

《CONTENTS》
◎Ultimate Vinyl Collection:25枚の究極のレア盤をフィーチャーしたレコード・グラビア
◎Disc Review:前版より200枚増えた1200枚。ニュー・ディスカヴァリーも多数!
◎The Strange World Of Rare Vinyl:深く入り込むと遭遇するレア盤の不思議を徹底調査

By 小川充
Photos by Daisuke Urano
撮影協力 ディスクユニオン渋谷ジャズ/レアグルーヴ館、Cafe&Dinerスタジオ

世界中のレコードを、その手の中に
  • Google Playでアプリをダウンロード
  • App Storeからアプリをダウンロード

関連記事


新着記事

すべての記事をdig!