ピーター・バラカン インタビュー

WRITER
ジョー横溝

初めて買ったレコードのお話から、ロンドンでのレコード店店員時代のこと、そしてお気に入りのレコードや最近買ったレコードのお話など・・・、それから間もなく開催される主催イベント、<Live Magic! >のお話まで。音楽&レコードを愛するピーター・バラカンさんからいろいろ伺いました!

――現在のレコード所有枚数は?
「レコード用のキューブの箱の数で考えると、だいたい3000枚くらいだと思います。内容的にはCD以前のもの、つまり、80年代半ばくらいまでのものが圧倒的に多いです」

――最初に買ったレコードは覚えていますか?
「シングルです。タイトルは…ちょっと恥ずかしいから言いたくないんだけど (笑) 、クリフ・リチャードのバラードもの。まだ9歳の時です」

――何故そのレコードを?
「うちにレコードプレーヤーが入ってきたのがその頃で、その時に流行っていたんでしょうね…。ただ、流行りというのもまだわかんない歳ですからね、9歳って」

――でもラジオで聴いて知っていた?
「でしょうね。他にレコードを知る方法がなかったですからね、その頃は。その次に買ったのがシャドウズの4曲入りのEPです。「Apache」 と「F・B・I」と「Man of Mystery」と「The Stranger」 の4曲入り。数年前に番組のリスナーがこの話を知ってて、わざわざオリジナルのイギリス版を見つけてプレゼントしてくれたんですよ、誕生日かなにかで」

――レコードを買い始めた当時のレコードマーケットの様子はどんな感じでした?
「当時はロンドンに住んでましたが、どこにでもレコード店はありましたね。商店街があればだいたいレコード店はあった感じです。ただレコードを買い始めた頃は子供なので、お金もないから、もうラジオをいっぱい聴いてどうしても欲しいものはお金を貯めて買ってましたよ。なので、誕生日とかクリスマスにはレコード券をくれるようにいつもお願いしていました。下手なものを貰うよりもレコード券を貰う方が自分で好きなレコードを買えるので(笑)。12、3歳からずっとそういうふうにしていたのですが、ビートルズをきっかけにレコードに大きくのめり込みましたね」

――そう言えば、ロンドン時代にレコード屋さんで働いていたことがあると聞いたことがありますが…。
「日本に来る直前に1年足らずですが、レコード屋さんの店員をやりました。9歳からレコードを随分聴いて持っていましたし、レーベルの細かいところをよく見ていましたから、いろんな豆知識がいっぱいあって、レコード店の店員には結構向いていたと思います」

――確かに!
「お客さんって、買うものを決めてる人はもちろんいますけど、3人に1人はカウンターに来て「なんか最近面白いのない?」とか、なんとなくレコードが買いたいっていうだけなんですよ。そうすると「これいいですよ」って推薦したりとか、そういうことは随分していましたね」

――今のバラカンさんの片鱗が(笑)!因みにその時に推薦していたレコード、覚えてます?
「73年~74年ですから、僕の好みでプッシュするとアイズリー・ブラザーズやマーヴィン・ゲイやクール&ザ・ギャングとかでしたね。でも、当時売れているものはレコード会社から25枚入りの箱単位で送られてきて、その箱をカウンターの下に置いてて…当時でいうとエルトン・ジョンの『Goodbye Yellow Brick Road』とかロクシー・ミュージックの『Stranded』とかデイヴィッド・ボウイの『Pin Ups』とか、そういうのは黙ってても売れてましたから」

――バラカンさん自身が仕入れをしたりは?
「最終的に店長になって仕入れを僕がやることになって、僕がどうしょうもないと思ってるものをどんどん返品させて、代わりにもうちょっといいものを仕入れるようにはしたんだけど、そのあと数ヶ月で日本に来ちゃったので、長期的ではなかったです」

――最近の話に飛びますが、最近のアナログの収穫は?
「ついこの前、Discogsで初めてレコード買いました。それがビル・ウィザーズのカーネギーホールのライヴ音源。10月21日、22日に開催される僕が監修するライヴ・イベント<Live Magic! >でThe New Stewというジャムバンドが集まった凄いグループが来るんですけど、それをライヴでまるまる再現するんですよ。番組でアナログでかけたいと思って。なかなか今売ってないからDiscogsで見たら<Music On Vinyl>という復刻シリーズで、2枚組みほぼ新品で3000円くらいで買えたのが先日届きました」

――今レコードの買い方ってどんな感じなんですか?
「最近レコードを掘りに行く時間があんまりないから、ネットで買うことのほうが多いですね」

――では、ダウンロード、CD、レコードの棲み分けはどんな風に?
「仕事のことも考えるとやっぱりCDが便利で一番多いです。ただ、最近ダウンロードというか、データで聴くことも増えています。そんな中で、アナログは音がいい。あとはジャケットですよね。聴きながらジャケットを見るというのはやっぱり楽しい。暇じゃないとできないですけど(笑)」

――では、バラカンさんが選ぶベスト・ジャケット・レコードは?
「写真ものが好きですね。『The Best of Muddy Waters』とか『What's Going on』とかドニー・ハサウェイの『LIVE』とか、ああいう写真のアップの個性的な感じのジャケットがいいかもなぁ…」

――その中からベストな1枚を挙げるとすると?
「難しいなぁ…。あっ! ジャコ・パストリアスの最初のソロアルバム! あのモノクロの。あの顔の表情が素晴らしいね。うん、あれがいい! 」

――レコードをもう何年買ってることになるんですか?
「9歳から今66歳だから…、57年ですね」

――データではなくモノですから、そこには思い出があるんじゃないかなと思うんですけど。
「だから捨てられない(笑)」

――一番の想い出のレコードを挙げるとしたら?
「なんだろうな? 発売日に買った『Layla』かな」

――また何故?
「北ロンドンに友達が住んでいて、週末彼の車でどこかに出かけることになり、車に乗ってちょっと走ったところにレコード屋があって通りかかった時に『ちょっと待って! 今日エリック・クラプトンの『Layla』が出るから、あるかどうかちょっと見に行こうよ』と言ってお店に入って買ったのを覚えています。エルプというレーザーターンテーブルを作ってる会社の方にその『Layla』を聴いてもらったら、ビックリするほど音がすごいって言うんです。僕は聴き比べたことがないからわからないけど、僕が買った『レイラ』は第1プレスであることは確かです。発売日に買ったので。だから音がいいんですね。ある意味それはちょっと貴重かもしれない」

――なるほど。さて、先ほどお話にも出ました、<Live Magic! >が近づいてきましたね。
「はい。10月21日、22日の2日間、恵比寿ガーデンホールで開催します。今年で4回目。出演者もアメリカ、中東、アジア、日本と、かなり国際的な顔ぶれになっています。レコードの話で言うと、この<Live Magic! >に毎回出演してくれている濱口祐自の未発表曲が4曲入った7インチEPの限定盤を会場で販売します」

――濱口さんの音こそアナログで聴きたいですよね。
「彼は和歌山県のほぼ最南端の勝浦に住んでいて、その自宅でMD録音するんですよ。本人がMDをすごく好きで。そのMDマスターを久保田麻琴さんにマスタリングしてもらったものが今回発売になります。しかも、ジャケットもかっこよくて、麻琴さんも「コレかっこいいね」と言ってくれたので、ライヴ同様楽しみにしてください」

※レコードの写真は全てピーター・バラカンさんの私物です。

■プロフィール
ピーター・バラカン
1951年8月20日ロンドン生まれ1973年、ロンドン大学日本語学科卒業。1974年に来日し、シンコー・ミュージック国際部入社。著作権関係の仕事に従事。1980年、同退社。このころから執筆活動、ラジオ番組への出演などを開始、また1980年から1986年までイエロー・マジック・オーケストラ、後に個々のメンバーの海外コーディネーションを担当。1984年、TBS-TV「ザ・ポッパーズMTV」というミュージック・ヴィデオ番組の司会を担当、以降3年半続く。1988年、10月からTBS-TV で「CBSドキュメント」(アメリカCBS制作番組60 Minutesを主な素材とする、社会問題を扱ったドキュメンタリー番組)の司会を担当。音楽番組以外では初めてのレギュラー番組。 2010年4月からTBS系列のニュース専門チャンネル「ニュースバード」に移籍、番組名も「CBS 60ミニッツ」に変更。 2014年3月終了。1986年から完全に独立し、放送番組の制作、出演を中心に活動中。
http://peterbarakan.net/

『Peter Barakan's LIVE MAGIC! 2017』
2017年10月21日(土)、10月22日(日)
会場:東京都 恵比寿ガーデンプレイス、ザ・ガーデンルーム

10月21日出演:
Soulive
The New Stew
The Renaissance(小原礼&屋敷豪太) feat. 西慎嗣
Playing For Change
濱口祐自
民謡クルセイダーズ
トリプルファイヤー
The Steve McQueens
The Flowerpot Men

10月22日出演:
Omar Sosa & Seckou Keita feat. Gustavo Ovalles
We Banjo 3
The New Stew
Myahk Song Book - 與那城美和・松永誠剛
濱口祐自
Quarter To Africa
Robert Ellis
BimBamBoom Acoustic Special Band

料金:1日券12,000円 2日間通し券21,000円

オフィシャルサイト:http://www.livemagic.jp/

写真:徳田貴大

世界中のレコードを、その手の中に
  • Google Playでアプリをダウンロード
  • App Storeからアプリをダウンロード

関連記事


新着記事

すべての記事をdig!