島田翼(PRIZMAX)インタビュー ~PERSONAL BUYER

WRITER
濱安紹子

ダンスボーカルユニット・PRIZMAXのパフォーマーという以外にDJ、あるいはレコード収集家という肩書きを持つ島田翼さん。ファンの方なら既にご存知かもしれませんが、彼のレコードへの情熱は並大抵のものじゃありません。そのことが良く伝わるであろう今回のインタビュー、ぜひご一読のほど!

——パーソナルバイヤーの印象を教えてください。
アナログなんだけど、新しくて面白いサービスですよね。僕自身も昔、音楽的な影響を受けた先輩から曲を教えてもらったり、CDを貸してもらったりしてきてたんですけど、音楽のシェアの仕方としてはそういう感覚にちょっと近いのかなと。

——DJとしても活動されていますが、レコードを聴くようになったそもそものきっかけは?
昔習っていたHIPHOPのダンスがきっかけです。レッスン中に掛かってた気になる曲を、「これ何て曲ですか?」ってダンスの先生に聞いてチェックしてたんですよ。その流れでHIPHOPに興味を持つようになり、7inchのブレイクスを2枚使いする、みたいな特有のカルチャーにも憧れましたね。だけど当時の僕は中学生でお金もなかったので、お小遣い握りしめて中古レコード屋へ行って、100円位の安いレコードを買い漁る日々でした(笑)。

——レコードの魅力とは、ズバリ何でしょうか?
“所有感”ですかね。データ音源でDJすることだってできるんですけど、音楽がオンライン上で共有・消費されていく時代に、それをレコードとして所有することでより有り難みを感じるし、いつどこで買ったとか記憶としても残るじゃないですか。時間を掛けて音楽を聴くっていう体験はレコードならではの貴重なもの。それに、ジャケットを目で楽しめるっていうのも魅力的ですよね。

——普段はどうやって音楽を聞いたり、探したりしていますか?
レコードはもちろん聴いていますが、移動中とかはサブスクやラジオを聴いています。山下達郎さんのラジオ番組(『サンデー・ソングブック』TOKYO-FM系 全国38局ネットで毎週日曜オンエア)は毎週聴いていますよ。曲を探す時はレコード屋へ足を運んで、という感じですね。テクニーク(パーソナルバイヤーの運営にも携わっている渋谷の老舗レコードショップ)の情報はネットでも毎日チェックしているし。昔から時間さえあればレコ屋に通うのが習慣だったんで、行かないと落ち着かないんですよ(笑)。気に入ったのがなければ買わなくてもいいんです。そこに行って音楽を探しに行くっていう時間が僕にとってはすごく大切。あと、知らない曲の調べ方も結構アナログかも。例えば、イベントやバーとかで気になる曲が掛かってたら、掛けている人に直接聞いちゃう。SHAZAMとかアプリはあんまり使わない方かもしれません。

——確かにアナログですね!
それでは、本日持って来ていただいた選りすぐりのレコード3枚をご紹介ください。

■J Dilla『Donuts』

僕にとってすごく大切なアルバム。HIPHOPってある意味、「これぞHIPHOP!」みたいな良くも悪くも型にハマっている音楽っていうイメージがあって。ある時期の僕はそこにのめり込んでしまったために、音楽的な視野が狭くなってたんですね。その時に出会ったのがこれ! サンプリングとか、曲作りの手法としてはすごくHIPHOPなんだけど、とにかく実験的なんですよ。J Dillaはこの作品をリリースした3日後に病気で亡くなってしまうんですが、死を覚悟した人間が最後にやり遂げた実験作なんだと思って聴いてると、死生観を問われているような気がして……。一方で、HIPHOPってこんなにフリーフォームなものでいいんだって認識させてくれたのもこの作品。これをきっかけにビートミュージックに興味を持つようになりました。僕の音楽性を広げてくれた1枚とも言えます。めちゃくちゃ影響受けました!

■山下達郎『 It's A Poppin' Time』

前々から欲しかったアルバムで、最近ちょうど京都のTORADRA RECORD(中古レコード屋)で見つけて、即買いした1枚。ちょっと高かったんですけどね。これ、不思議なことに1曲目と最後の曲だけスタジオ録音なんだけど、それ以外は全部ライブバージョンなんです。僕は元々ライブ盤が好きなんですが、これに収録されたライブ音源はスタジオ録音じゃないかって位の高クオリティ。だけどライブならではの臨場感もあってとにかく圧巻なんですよ。参加しているメンバーもめちゃくちゃ豪華です。

■UNKNOWN『HOSTOM 003』

これはもうDJなら誰でも知ってるんじゃないかなという定番で……(いやいやいや……という周囲のツッコミに遮られる)……あれ、違いますかね(笑)。ジャンルでいうと、“ミニマルハウス”にカテゴライズされると思うんですが、アップリフティングなグルーヴが走ったり転がったりしてる感じすごく好きで。今でもDJで掛けている曲だし、この1枚をきっかけに自分の音楽性がさらに広がった感じがします。だけど面白いのが、ハウス系のレコードって、これもそうだけどアーティストの名前すらわからないっていう代物が多いんですよ。最初見た時は謎しかなかった(笑)。でも、この実態がなんだか分からないけど曲だけで勝負して評価される感じって、実は音楽として一番素直で純粋なことなのかなって思うんです。誰々の作品だからっていう先入観が何もないわけですし。ジャケットに関しても同じ。まっさらな白盤にスタンプ1個押してあるだけだったり……、いや。なんならジャケットすらないことだってあるっていう。まあ、それでも平気で買っちゃうんですけどね。

——バリエーションに富んだ3枚ですね。ちなみに、ルーツ的なところで言うとやはりHIPHOPになるんですか?
音楽を自発的に聴くようになったのはHIPHOPですが、もっと遡ると、親父が聴いていたディスコとかダンスクラシックの影響もありますね。幼稚園の頃から、マイケルの『OFF THE WALL』とかが車の中で掛かっていました、しかもカセットテープで(笑)。乗ってた車がボロかったんで、ラジオかカセットしか聴けなかった気がします。そんな原体験がありつつ、ダンスを通して90年代のHIPHOP、特にニュースクールにハマって……って流れです。当時、周りにもダンスやってHIPHOPを聴いてた連中はいましたけど、僕の掘り方は結構異常だったので、中々付いてきてくれるヤツはいませんでしたね。

——……なんか分かる気がします(笑)。ちなみに今回、パーソナルバイヤーとしてはどんな曲を選ぶ予定ですか?
自分がアナログで聴きたい曲や、影響を受けてきた音楽。あとは、例えば遊びに行った女の子の家にポンと置いてあったら、「え! このコ、こんなの聴いてるの!?」って個人的にテンションがブチ上がってしまうレコードなんかも選びたいなと思っています(笑)。

——楽しみにしています! それでは最後に、今後の予定などをお知らせください。
個人では、9月13日に青山Zeroでパーティーをオーガナイズします。5月に僕のバースデーパーティを主催し、4時間のDJセットを行ったんですが、その場にいたみんながハッピーな気持ちで音楽を楽しめた空間になったんじゃないかなと思っています。でも、今回のパーティーに関しては、あえて詳細を明かさないようにしているんです。ゲストとして誰かを迎えるかもしれないし、僕の1人セットになるかもしれない、その場に来ないと分からないサプライズなイベントにしたいなと。アングラ・レコードマニア的なアイデアだと思いますよ(笑)。僕が主にプレイする音楽はメジャーとは言い難いものばかりですが、青山ZEROの最高なサウンドシステムに身を委ねればきっと、ピュアな音楽体験と楽しめるはず!

また、PRIZMAXとしては、年末12月29日に豊洲PITでのワンマンライブが決まりました! その時はもちろんレコードマニアな一面は隠して、ダンス&ボーカルユニットのメンバーとしてきっちりパフォーマンスします(笑)。4月に新体制でリスタートしたPRIZMAXの未来を感じさせられるようなライブにしたいと思っています。

申込者へのプレゼント用のメッセージカードも記入してもらいました。

(※本記事は2019年8月に、PERSONAL BUYERのサイトにて公開されたものです。)

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【NEWS】新ゲストバイヤーに島田翼(PRIZMAX)の参加が決定!!

島田翼(PRIZMAX)

島田翼(PRIZMAX)
神奈川県・横浜市出身。フランス人を祖父にもつクォーター。ミャンマーを中心とした海外での人気も高い国際派ダンス&ボーカルユニット・PRIZMAXのパフォーマーとして活躍中。

https://www.prizmax.tokyo/

インタビュー:濱安紹子
写真:則常智宏

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