STUTS インタビュー ~PERSONAL BUYER

WRITER
濱安紹子

MPCを巧みに操るビートメーカー/トラックメーカーとしてその名を知られ、様々なアーティストとのコラボレーションや楽曲提供も行うSTUTS(スタッツ)さん。近年では星野源さんやYUKIさんの作品に参加したり、CM楽曲を手がけたり。ジャンルの枠を超え幅広い層の心を掴んでいる気鋭のアーティストです。

お小遣いでターンテーブルを買ったのは中学3年生の頃。中学・高校時代を過ごした鹿児島で人知れずHIPHOPの世界にのめりこんでいった少年に芽生えたのは、ラップをしてみたいという想いでした。しかし、ラップを乗せるためのビートを作るうち、いつしかビートメイキングの魅力に取り憑かれてしまいます。そんな彼の転機となったのは2013年、大学の卒業旅行で訪れたNY・ハーレムでのゲリラライブ。MPCのパフォーマンスで通りすがりの現地人を驚嘆させたこの時の動画は、STUTSさんの存在を世に知らしめることに一役買いました。中学・高校時代は自分と同じようなHIPHOPラヴァーが周囲にいなかったため、「いつも1人で掘って1人で聴いて、割と孤独な感じで楽しんでいました(笑)」と語るSTUTSさんに、音楽とレコードにまつわるお話を伺ってみました。

——パーソナルバイヤーの印象を教えてください。
買いたいレコードが分からない人にとって良いサービスだと思いますし、好きなアーティストがオススメするレコードを買えるっていう面でも面白いサービスですよね。アナログでっていうのがまた素敵です!

——STUTSさんは普段、どうやって音楽を探しているんですか?
友人と情報交換することが多いですね。だけど、YouTubeとかサブスクも利用していますし、レコード屋で視聴して買うこともあるし、ジャケ買いすることも。色々なパターンがあります。あと、サンプリングされている元ネタを探すうちに良い曲に出会うことも多いですね。HIPHOPならではの曲の探し方と言えるのかもしれませんね。サンプリング元を辿って広げていったことで音楽の幅を広げることができたし、70年代などの古い音楽の良さを知ることができました。何でもネットで調べられるし、いつでもどこでも音楽が聴けるし便利な時代ですよね。

——レコードとの出会いはいつ、どのようなものだったんですか?
中3くらいの時にお年玉で安いターンテーブルを買って、それからレコードを聴くようになりました。僕が中学生の頃は、やっぱりHIPHOP=レコードみたいなイメージがまだあったんですよ。見よう見まねでスクラッチに挑戦してみた時期もありました。その当時HIPHOP好きだった人にとっては、レコードで音楽を楽しむってごく自然な行為だったように思います。

——HIPHOPにハマったきっかけは? 当時、学校とか周囲でも流行っていたんですか?
最初のきっかけは小6か中1の頃。RIP SLIMEとかエミネムとかが流行ってて、僕も含め周りのクラスメイトたちもよく聴いてたんですが、そういうところからガッツリとHIPHOPにハマっていったのは僕だけでしたね。いつも1人で掘って1人で聴いてって、割と孤独な感じで楽しんでいました(笑)。中学・高校時代は鹿児島にいて、今はもう潰れてしまったんですが、当時「エコーチャンバー」というレコ屋があったんですよ。そこの店員の方にオススメの曲やアーティストを色々と教えてもらいました。その方は当時唯一、僕に音楽を教えてくれる存在でしたね。

——そこから曲を作るようになったのはどういう経緯だったんですか?
高校生になって、ラップをやろうと思ってMPCでビートを作り始めたんです。そしたら結局、音作りの方にハマってしまって……、という流れです。高校生の頃は文化祭でライブを披露するくらいしかできませんでしたが、その後、大学入学のために上京して東京のクラブシーンと出会ったことでさらに活動が広がりました。人前でMPCのパフォーマスを行うようになり、ラッパーやダンサーとセッションしたりもしていましたね。昔からのアーティスト仲間の中にはクラブで出会った人たちが多いです。

——影響を受けたのはどんなアーティストですか?
いっぱいい過ぎて誰を挙げようか迷うところですが、曲を作り始めたときに影響を受けたのはやっぱりHIPHOPのプロデューサーやアーティストです。90年代ならA Tribe Called Quest、Pete Rockとか、DJ Premier、J Dillaとか。2000年代だったらPharrell Williams、Just Blazeとか。最近はジャンルや新旧問わず色んな人から影響を受けています。

——大学卒業後には、HIPHOPが誕生した聖地・NYでゲリラ的にMPCのストリートライブを行なっていますよね。
卒業旅行で訪れたんですけど、思いつきで突発的にライブを行うことになったので、MPCを稼働させるための発電機を探すのに苦労しましたね。ハーレムの路上で行ったんですが、現地の人が立ち止まって聴いてくれたり、話しかけたりしてくれるのが嬉しかったです。中にはビートに合わせてラップしてくれた方もいて。あの経験は自分にとって色々なきっかけになりました。NY在住の知り合いがライブの様子を撮影してくれていたんですが、その動画をたくさんの方が観てくれて、それを機に色々な方との繋がりができました。

——それでは、持参して頂いたレコード3枚をご紹介ください。

■Pharside『Labcabincalifornia』

高校生の頃、すごく好きでよく聴いてたアルバム。それに初めてレコードで買った作品でもあります。僕の好きなJ Dilla、Diamond Dなどをプロデューサーに迎えた超名盤なんですが、カラーバイナルなところが可愛いいんですよね。しかも赤・青の二色二枚組! レコードを持ってるだけでテンションが上がります。

■サディスティック・ミカ・バンド『黒船』

初めて聴いたとき素晴らしすぎて涙が出ました。サディスティック・ミカ・バンドは日本ロックの黎明期を築いた、70年代を代表するバンドだから聴いた方がいいってずっとおすすめされてて、買ってみたのが大学1年くらいの時。アルバム全体の流れとグルーヴが最高です。これもまたレコードで持っていたくなる作品ですね。

■STEVE ARRINGTON『Steve Arrington's Hall Of Fame / I』

SLAVEっていうバンドのヴォーカルだったSTEVE ARRINGTONのソロ作。温かさと気持ち悪い心地良さみたいなものが感じられる作品というか。基本的にはメロウなムードが溢れる曲ばかりなんですが、サラッと聴ける感じではなくて、変な要素が多いアルバムだと思います。ジャケットも独特だし(笑)。でも、その変な感じがとても好きです。特に「Last Nite/Nite Before」という、聴いてるととろけてしまいそうな感じの曲がすごく好き。

——STUTSさんにとってレコードの魅力ってどういうものですか?
最近、レコード針を変えたことで自分の中のレコード熱が高まっていて、やっぱりレコードっていいなと再認識していたところです。レコード特有のノイズも好きですし、A面・B面で盤を裏返す作業も好きなんですよね。そういう風に途中で一旦リセットして聴くものって他にないじゃないですか。CDやデジタルの音楽は、自分の好きなタイミングでボタンを押したりクリックするだけで曲を飛ばせるし、流し聞きもできますけど、レコードはどうしても一手間掛かってしまう。でも、だからこそ作品にきちんと向き合える気がするし、同じ作品でもレコードで再生するのと、その他のデバイスで聴くのでは印象が全然違います。あと、古い音楽はレコードで再生することを前提に作られているので、アーティストの意図に沿った音を堪能できるのはやっぱりレコードということになりますよね。

——ご自身の作品の中にもアナログ盤でリリースしたものがありますよね。
そうなんです。アナログ盤を切るというのは夢というか、僕のやりたかったことのひとつなのすごく嬉しかったし感慨深いものがありましたね。

——今回、パーソナルバイヤーとしてどんなレコードをピックアップくださる予定ですか?
リスト拝見しましたが、色々なジャンルの曲が新旧問わず入っていますよね。何を選ぶかすごく迷うところですが、シンプルに自分が好きな作品を選びたいなと。まあ、自ずとHIPHOPなどブラックミュージック系のものが多くなる気はしますね。最近の新しい音楽もすごく面白くてよく聴いているので、古いものと新しいもの満遍なくピックアップできたらいいなと思います。

——ありがとうございます! 選盤を楽しみにしています。
では、最後に今後の活動予定やお知らせを教えてください。

色々新しい楽曲を作っている最中ですので、是非チェックしてみてください。また、ライブにもぜひ遊びに来て頂きたいです!

以下、今後のライブスケジュール
2019年12月1日(日)
SPACE SHOWER TV 30TH ANNIVERSARY SWEET LOVE SHOWER 2019 Bay Area @ 新木場スタジオコースト
2020年1月30日(木)
STUTS One Man Show “90 Degrees”  @ WWW X

申込者へのプレゼント用メッセージカードを記入してもらいました。

※本記事は2019年11月に、PERSONAL BUYERのサイトにて公開されたものです。

▼PERSONAL BUYERの詳細はこちらをご覧ください
【NEWS】新ゲストバイヤーに STUTSの参加が決定!!

STUTS

STUTS
1989年生まれのトラックメーカー/MPC Player。
2013年2月、ニューヨーク・ハーレム地区の路上でMPCライブを敢行。オーディエンスが踊り出す動画をYouTubeで公開して話題になる。MPC Playerとして都内を中心にライブ活動を行う傍ら、ジャンルを問わず様々なアーティストよりトラック制作、リミックスの依頼を受けるようになる。
2016年4月、縁のあるアーティストをゲストに迎えて制作した1stアルバム『Pushin’』を発表し、ロングセールスを記録。
2017年6月、Alfred Beach Sandalとのコラボレーション作品『ABS+STUTS』を発表。
現在は自身の作品制作、ライブと並行して数多くのプロデュース、コラボレーションやCM楽曲制作を行っている。
2018年9月、国内外のアーティストをゲストに迎えて制作した2ndアルバム『Eutopia』を発表。

http://stutsbeats.com/

インタビュー:濱安紹子
写真:守谷賢一郎(JAMANDFIX / REALROCKDESIGN)

世界中のレコードを、その手の中に
  • Google Playでアプリをダウンロード
  • App Storeからアプリをダウンロード

関連記事


新着記事

すべての記事をdig!