社長(SOIL&”PIMP”SESSIONS)インタビュー ~PERSONAL BUYER

WRITER
濱安紹子

SOIL&”PIMP”SESSIONSのアジテーターを務める傍ら、DJやコンポーザーとしても活躍する社長さん。どうやら以前からパーソナルバイヤーをご存知だったようで、「そろそろオファーが来るかと思っていた」という嬉しいお言葉を頂戴しました。配信サイトに表示されるサジェッションで曲を探す、というのが主流とされる昨今ですが、今も昔も、学校の外で音楽を教えてくれる“先生”、あるいはメンターのような存在に世界を広げてもらった音楽フリークが多いのも事実。何を隠そう、社長さんもその1人です。自宅にあったドーナツ盤に始まり、紆余曲折を経てメンターと呼ぶべき存在に出会い、道を開いていったその音楽的遍歴を、彼が選んだ名盤とともに辿っていきたいと思います。

——パーソナルバイヤーのサイトはご覧頂けました?
実は以前ネットでたまたまサイトを見掛けてて、今回お声掛け頂く前から知っていたんですよ。初めてみた時から気になってました。イン○タの広告なんかにもちょくちょく出てたので、僕自身ターゲット層にハマってるんでしょうね(笑)。よく見たら知り合いのミュージシャンも出てたんで、「そろそろ僕にもオファー来るんじゃないかな」と思ってたタイミングでの今回でした。

——シンクロしましたね(笑)。既にご存知だったとは光栄です! どんな印象を持ちましたか?
僕がレコードを買い始めたのは高校の頃だったんですが、当時は音楽の情報源ってまだまだ少なかったんですよね。音楽の探し方といえば主に2つ。1つはコンピレーションアルバムから探す方法で、2つ目はレコードのお店の方に聞くっていうシンプルな方法です。でも、そういう探し方って最近はあんまりないんじゃないかな。オンラインで曲を買うのが当たり前の今、誰かに薦めてもらって未知の音楽に出会う機会って減ってる気がします。パーソナルバイヤーのように、好きなアーティストにオススメしてもらって曲に出会う方法は、音楽の出会い方としてはすごく健全で純粋だし、すごく良いサービスだなと思いました。

——ありがとうございます! ちなみに、レコードを買うようになったきっかけは何でしたか?
親のレコードが家にあったので、小さい頃から身近な存在ではありました。自分でもこっそり掛けて聴いてましたし。よく覚えてるのは親父が持ってたStevie Wonderと、たのきんトリオのレコード。自分で買うようにきっかけで言えば、クラブカルチャーというかDJのカルチャーとの出会いっていうのが大きかったですね。DJがクラブでレコードをプレイするって行為に憧れて、自分もDJになりました。15〜16歳の頃です。通ってた学校にも同じような趣味の仲間がいたので、よくレコードの貸し借りをしていました。

——レコードの魅力とは?
いっぱいありますよね。音の柔らかさというのもひとつ。でもそれって、デジタル音源が出てきたからこそ気づけたことでもあります。聴き比べてみるとレコードの音って明らかに違うんですよ。あとは、ジャケットの魅力というのも重要な要素です。

——普段、どうやって音楽を聴いたり探したりしていますか?
移動中は、僕と繋がりの深いGilles Petersonが主催するラジオ番組『Worldwide FM』を垂れ流して聴いてます。『BBC Radio 6 Music』(同じくGilles主催)もよく聴くかな。その他も、『Boiler Room』だったり『NTS Radio』だったり、インターネットラジオを良く利用していますね。情報が溢れている世の中で良い音楽と出会うには、信頼できるパーソナリティのキュレーションってすごく大事。好きなDJやミュージシャンが発信する情報を受け取ることで、良質な音楽に触れられています。サブスクも一応登録はしているんだけど、あまり利用してない状態ですね。CDは聴きますよ。良いと思える音楽と出会ったらCD買うし、サンプルCDなんかも頂くしね。車の中で聴くことが多いかな。

——では、お気に入りのレコード3枚をご紹介ください。

■本多俊之『OPA! COM DEUS』

ぜひ色々な人に聴いて頂きたい作品。B面に「LAMENT」という曲が入っているんですが、これが本当に良い曲なんですよ! タイトルを見てわかるように全部ポルトガル語。ブラジリアンなサウンドで、ブラジルのアーティストもフィーチャーしています。このアルバムが作られた78年は僕が生まれた年なんですけど、この年代のレコードってかなりツボなのが多いんですよ。プレイヤーのスキルもすごく高いし、積極的に海外へも進出している。それに、僕の好きなブラジルのフィールやサウンドを取り入れた作品が多いのも特徴かもしれません。

■MILTON NASCIMENTO『MILTON』

ブラジル繋がりでこちら。このアルバムに入っている「Cravo E Canela」という曲が特にお気に入りです。これはもうね、なんというか……とにかくシンプルに大好きなんですよ(笑)。切ないし高揚感もあるし、今だにDJでよく掛けてますね。この「Cravo E Canela」って変拍子の曲なんだけど、四つ打ち系のアッパーなセットの中にポイっと入れても不思議とマッチするんです。変拍子の曲としては特殊な部類に入るのかもしれないけど、DJツールとしては最高ですね。そして、Herbie Hancock、Toninho Horta、Wayne Shorter(SAX)、Roberto Silva、Hugo Fattoruso……何と言ってもバンドメンバーが凄い!

■The Har You Percussion Group『Welcome to the Party』

DJや僕と近しい方面の音楽が好きな方の間では、すごく有名な名盤じゃないでしょうか。印象的なジャケットは、後にYoung Disciplesの「Get Yourself Together」で、ジャケット・サンプリングされたことでも知られています。僕の師匠でもあるGilles Petersonのレーベル<Taling Loud>のジャケットデザイナー・Swiftyが、この”ジャケットをサンプリングする”という手法を使って制作しています。ACID JAZZのアイコン的なジャケットにもなった1枚と言えるでしょうね。僕が持っているのはリイシュー盤だけど、オリジナルはすごく高価で。買ったのは20年くらい前かな。掛けすぎてノイズが入ってしまい、買い直したくらいヘビロテな作品。タイトル曲の「Welcome to the Party」は今でも良く掛けていますね。こちらはブラジリアンというかラテン。タイトルの通り、かなりテンション高めのチューンです。パーカッション乱れ打ち!ピアノ弾きまくり!! とにかくカッコイイ!!!

——全て南米色の強い作品ですね。ちなみに、ご自身のルーツとなったのはどのような音楽ですか?
親が聴いてたっていうのもありますが、Stevie Wonderの影響は大きいかもしれません。小学校の頃かな。当時一番聴いてたのは『Songs in the Key of Life』ですね。始めはそこに入ってた「sir duke」が好きだったんですが、後に「Another Star」にハマりまして。これがかなりパーカッショナブルでラテン色の強いんですよ。あのグルーヴ感みたいなものは、今自分が好きな音楽の方向性に通じる気がします。

……とは言え、Stevie以降も音楽の趣向は度々変わっています。中学に入った頃にはGuns N' Rosesのコピーバンドやってましたし(笑)。その時はベースを弾いていました。Metallicaもよく聴いてたな。そういうロックの要素もやっぱり好きだな、と最近改めて思うようになりましたね。そこからPublic Enemyとか聴き出して、HIPHOPの影響も受けるんですが、ジャズの曲をサンプリングしている作品なんかを掘っているうちに、ACID JAZZに出会うわけです。ACID JAZZってレアグルーヴやファンク、ソウルのエッセンスがリバイバルされている音楽なんですが、そこもひっくるめてハマりましたね。そして、前述の<Takin' Loud>に出会い、U.F.O.(United Future Organization)に出会い、今に至るという感じ。Gillesは今も昔も僕の音楽の先生だし、U.F.O.は僕の人生を決定付けた存在と言っても過言じゃありません。彼らに合わなかったら今の僕はないかもしれませんね。

——そういう音楽遍歴を辿って来られたんですね。しかし、ガンズのコピーバンドでベースをやってたとは意外!そんな社長さんが今回、パーソナルバイヤーとして選ぶのはどんなレコードでしょうか?
僕、DJ始めて20数年くらい経つんですよね。なので、というわけじゃないですが、20年聴いても飽きない曲を選びたいなと思っています。一過性ではなく長く愛されている普遍的な良さを持つ名盤、そして将来そうなるであろう新しい音楽も入れたいですね。あとは、普段DJでよく掛ける曲も。選盤リストを眺めていると、「こんな曲もあるんだ」とか「これは入れないといけないヤツだな」っていうのがチラホラ……というか、いっぱいあって悩んでいます(笑)。楽しみしていてください!

——ありがとうございました! 楽しみにしています。

<今後の活動予定>(※)
SOIL&"PIMP"SESSIONSとして、以下のライブの開催が予定されています。詳細はHPにてご確認ください。
・9/14(土)「SOIL&"PIMP"SESSIONS × LIQUIDROOM 15th ANNIVERSARY “SQUIDROW”」@東京・恵比寿リキッドルーム
・9/15(日)「たとえばボクが踊ったら、#003」@大阪・服部緑地野外音楽堂
・9/29(日)「THE SOLAR BUDOKAN 2019」@岐阜・中津川公園内特設ステージ・中津川
・10/5(土)「THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL 2019」@鹿児島県鹿児島市・桜島多目的広場&溶岩グラウンド

申込者へのプレゼント用メッセージカードも記入してもらいました。

(※本記事は2019年9月に、PERSONAL BUYERのサイトにて公開されたものです。)

▼PERSONAL BUYERの詳細はこちらをご覧ください
【NEWS】新ゲストバイヤーに社長(SOIL&”PIMP”SESSIONS)の参加が決定!!

社長(SOIL&”PIMP”SESSIONS)

社長(SOIL&”PIMP”SESSIONS)
SOIL&"PIMP"SESSIONSのアジテーター。ジャズの枠組みを超えたパンキッシュでエネルギーに満ち溢れたパフォーマンスは世界中で高い評価を受け、数多のビッグフェスティバルに出演中。また、社長のもう1つの顔であるDJは、96年より活動を開始。ジャズを軸にしながらジャンルの壁を超えた選曲で、高揚感に包まれたフロアを演出している。 近年では様々なアーティストへの楽曲提供やリミックスを行うなど、作曲者・プロデューサーとしての能力も評価されている。さらに今年7月に地元福井にて初開催された「ONE PARK FESTIVAL」の音楽顧問を務めた。

http://www.jvcmusic.co.jp/soilpimp/

インタビュー:濱安紹子
写真:則常智宏
撮影協力:veronique
東京都港区南青山5-12-3NOIRビルB1F

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