MELTEN/岸本亮(JABBERLOOP / fox capture plan / POLYPLUS)インタビュー ~PERSONAL BUYER

WRITER
濱安紹子

2007年にJABBERLOOPのメンバーとしてデビューして以来、fox capture planやPOLYPLUSといった音楽性の異なるバンドでも活躍しているMELTENこと、岸本亮さん。音楽好きの両親の影響で幼い頃から音楽に囲まれた生活を送り、5歳でピアノを始めたという彼は、ジャズを中心に様々なジャンルの音楽の影響を受けながら現在、ピアニスト/キーボーディストとしての活動はもちろん、作曲や楽曲提供なども行なっています。「最近、子供が生まれてから家で流す音楽の種類が変わってきた」と話すMELTENさんに、独自の視点と語り口で音楽にまつわる原体験やエピソードを語っていただきました。

なお、今回の取材場所は、グランドピアノが設置されたオーセンティックな雰囲気の「Bar音滴(おんてき)」(東京・赤坂)。インタビューの合間に1曲披露してくれた、サービス精神の塊・MELTENさんの姿も見られました。

——パーソナルバイヤーの印象を教えてください。
レコードに興味はあるけど、どういうのを買えば良いかわかんないって人にとっては、すごく親切で分かりやすいサービスですよね。好きなアーティストが紹介する音楽なら間違いないわけで、音楽の幅を広げるとても良い機会になりそうだなと。

——MELTENさん自身は、どうやって音楽を探したりしていますか?
普段よく車を運転するので運転中にラジオを聴いてます。なのでラジオで音楽を知ることが多いですね。普段はJ-WAVEとかInterFM。あと、もう放送は終了してしまってるんですけど、菊地成孔さんの『粋な夜電波』(TBSラジオ/昨年12月に終了)とかすごい好きで聴いてました。ラジオの中で「あ、これ良いな」って思う曲が見つかったら、SHAZAM(音楽認識アプリ)で曲名調べることもあるし、後々車降りた時にラジオ局のプレイリストでチェックすることも。

——SHAZAMも利用しているんですね。
そうですね。色々な場所で掛かっている曲や、イベントなどでDJが掛けてる曲の中に気になるのがあったらチェックします。SHAZAMってその曲が検索された回数が表示されるじゃないですか。あれ、見るのが結構好きで(笑)。「これ、カッコイイ曲なのに意外と検索されてないんや」みたいなのは若干気になりますね。

——では、普段の音楽の聴き方は?
最近ね、BOSSのCDプレイヤー買ったんですよ。なのでPCに取り込むことなく、そのままCDをプレイヤーで聴く機会が多いですね。車移動の時はよく聴いてますし、今も昔も変わらずCDは利用してますね。あとは、レコードももちろん聴くしサブスクも利用しています。聴き方としてはシチュエーションに合わせて様々です。

——レコードとの出会いは?
両親のレコードが実家に置いてあったんですよ。150枚くらいはあったんじゃないかな。祖父母の家にもレコードがありました。昔、ジャズピアニストのHank Jonesが来日した時、多分関西ローカルの番組かなんかだと思いますが、ジャズ喫茶で「Somethin' Else」(Cannonball Adderley)を掛けながらHank Jonesがインタビューに答えるみたいな場面があって。その時、後ろで鳴ってるプチプチした音が気になったんですよ。親父がそれを「ノイズがするのはレコードならではの味わいや」って言ってて。それからレコードの存在が気になり出しました。レコード棚から適当な盤を引っ張り出して針を落として、「おお、これがレコードのノイズか」って。そこから興味を持ち出したんです。家にはジャズのレコードが多かったので、小学校くらいの頃は家でジャズの音源を聴く機会があったんですが、そこまでがっつりと興味を持っていたわけではなく、Bill Evansって人がカッコいいなとか、村上龍の番組(TBS系列のトーク番組『Ryu's Bar 気ままにいい夜』)のオープニングで流れてたBud Powellの「クレオパトラの夢」が好きでよく聴いてた記憶があるくらい。

——そこからのMELTENさんの音楽遍歴を教えてください。
お袋がピアノの先生やってた影響もあり、僕も5歳からピアノを習ってたので、少し大きくなってからはカッコよく鍵盤を弾けるミュージシャンが好きになりました。ジャンルは問わずで、当時流行っていた洋楽ロックとかハードロックなんかも好きでした。Deep PurpleのJon Lord とか、Keith Emersonとか聴いてたんですけど、僕の中ではその延長線上にジャズピアニストの方々がいた感じ。ずっと好きなのは坂本龍一さん。大好きでよく聴いてました。あとは、20代になってからですが、影響を受けた大きさで言うとクラブミュージックですね。JAGA JAZZIST、Nuyorican Soul、MASTERS AT WORKなど、京都いた頃にやってたバンドのリーダーの影響でハウスなどのダンスミュージックに触れることが多かったです。京都繋がりということでKYOTO JAZZ MASSIVEの沖野好洋さんのイベントにもよく行っていましたしね。レコードを自分で買って聴きだしたのも割と大人になってからです。

——レコードの魅力とはどんなところだと思いますか?
レコードやカセットからMDやCDに移行した時代を経てるので、デジタル音源やサブスクが出てきた時も全然抵抗はなかったんですが、レコードってやっぱりそういうものとは全く違う別物だし、特別感があります。レコードをコレクションするのって、楽器オタクやミュージシャンが昔のビンテージ楽器を集めたくなる感覚に似てるのかも。それが他のフォーマットにはない魅力なのかもしれません。しかし、何がすごいって盤に穴や溝が掘ってある時点ですごくないですか!? 一体誰が考えたんだろうって思いますよ。

——それ言ったらCD作った人もすごいんじゃないですかね(笑)。
うん、確かに(笑)。まあ、とにかくサブスクで聴くのとは全然違う重さがあるのかなと思います。アナログならではのノイズも、音質というか音の濃さみたいなものも好きだし、古い音源の臨場感とか、リアルさをがっつりと感じられるのもアナログならでは。またもや楽器で例えてしまうんですけど……、デジタルピアノに入っている音源ってめちゃくちゃ本物に近いものなんですが、やっぱり生のピアノと比べると重みが違うんですよ。僕がレコーディングでも生にこだわって録っているのはそういう理由。レコードの音の良さってその感覚と近いのかもしれません。

——確かにデジタルとアナログの違いって、そういう楽器の違いと近しいのかもしれませんね。では、この流れで本日ご持参いただいた3枚のレコードをご紹介ください。

■Michel Legrand『Michel Legrand』

実家のレコード棚の中にもMichel Legrandのものがあってよく聴いてたんですが、10年くらい前に自分でも買いました。その頃聴いていたのはアメリカのモダンジャズとかばかりで、あまりヨーロッパのジャズとか映画音楽って聴いてこなかったので、彼の音楽は新鮮でした。しかもMichel Legrandはクラシックをルーツに持つアーティスト。僕のリスペクトする音楽家のひとりです。彼は今年の1月に亡くなられたので、去年BLUENOTEのライブで観たのが最後になりました。

■Eugen Cicero『Rokoko-Jazz』

クラシックのジャズアレンジが流行った時代がありましたよね。YouTubeでも色々なマッシュアップ作品が上がっていた時期があった気がします。これはそれよりずっと昔、75年にリリースされたものなんですが、クラブジャズっぽい要素もありつつ、クラシックをよりポップに味わえる素敵な作品。僕が持ってるのは日本盤なんですが、帯が付いているところがまた良いですよね。愛着が湧きます。

■JABBERLOOP「UGETSU」(EP)

メジャーデビューする直前に出た、僕が所属するJABBERLOOPのアナログです。Nik Westonが来日した際に、メンバーが本人にデモ音源を渡したんですよ。そしたら「うちからアナログ出さないか」という連絡がきて、彼が主宰する<Mukatsuku Records>からEPをリリースさせてもらうことになりました。当時、Gilles PetersonやJAZZANOVAのメンバーもDJとして曲を掛けてくれたようで、海外でも話題になっていたそうです。JABBERLOOPとってすごく大事な思い出深い作品になりました。

——今回、パーソナルバイヤーとしてどんなレコードをピックアップくださる予定ですか?
もちろんジャズも選ぶことになると思いますけども、昔聴いてた自分にとってのルーツミュージックとかも、ジャンルレスに入れたいなと。僕、自分の好きな音楽を自分が作る曲やバンドの曲に取り入れようとする傾向にあるんですよね。これ良いなって思ったら自分でも弾いてみたり。自分の音楽に直結し易いというか、影響を受け易い方なのかもしれません。

——ちなみに、最近はどんな音楽をよく聴いているんですか?
ジャズに関してはいわゆるオーセンティックなものから、専門家から言わせれば「こんなのジャズじゃない」って感じのちょっと変わった実験的なものまで、幅広く聴いてるんですが、最近特にKeith JarrettとかKenny Barronとか、いわゆる普通の……いや、普通って言ったらアレですけど、割と純血なジャズを家でよく聴いてるんですよ。子供ができた影響でね。

——子供ができた影響で?
子供に聴かせるんだったらこういう感じの曲が良いんじゃないかみたいな、そういう目線で家で掛ける曲を選ぶようになったんですよね。混じりっけのない良質な音楽を聴かせたいっていう、親心っていうんですかね。いや、まあおそらく考えすぎなんですけど(笑)。

あと、子供ができたこととは全く関係ないんですけど、最近個人的に戦隊モノをよく聴いてますね。改めて聴くとすごいカッコいいなーって。自分が記憶に残ってる戦隊モノとかヒーロー系って全部、総じてオープニングテーマがカッコいいっていう傾向があるんですよ。最近発見した事実です。逆に、世代的に見てるはずなのに何故かあんまり記憶にない作品は、そこまでオープニングテーマがあんまりカッコよくなかったっていう事実もね……。あ、今回選ぶレコードには、流石に戦隊モノは入ってないと思いますので悪しからず(笑)。

——(笑)。選曲楽しみにしています。ありがとうございました!

申込者へのプレゼント用メッセージカードを記入してもらいました。

<今後の活動予定>(※)

■JABBERLOOPのライブスケジュール
10/5(土)大阪・味園ユニバース
10/12(土)ブルーノート東京
11/3(日)東京・代官山UNIT

■fox capture planのライブスケジュール
10/22(火・祝)@群馬県・伊勢崎市境総合文化センター
11/12(火)ビルボードライブ東京
11/13(水)ビルボードライブ東京
11/19(火)徳島県・あわぎんホール 大会議室特設ステージ
11/20(水)神戸VARIT. with / DENIMS
12/4(水)名古屋ブルーノート
12/27(金)ビルボードライブ大阪

※本記事は2019年9月に、PERSONAL BUYERのサイトにて公開されたものです。

▼PERSONAL BUYERの詳細はこちらをご覧ください
【NEWS】新ゲストバイヤーに MELTEN/岸本亮の参加が決定!!

MELTEN/岸本亮 (JABBERLOOP / fox capture plan / POLYPLUS)

MELTEN/岸本亮 (JABBERLOOP / fox capture plan / POLYPLUS)
1983年生 京都出身 AB型
ピアニスト/キーボード奏者/作編曲家
JABBERLOOP、fox capture plan、POLYPLUSのメンバーとして世界を股にかけ活動中。
多くの栄誉ある賞を受賞し、また国内外の有名音楽フェス(フジロック、サマーソニック、東京ジャズ等)にも数多く出演。CM、ドラマ(『カルテット』、『コンフィデンスマンJP』など)、アニメ、ドキュメンタリー、映画等の音楽制作も数多く手掛ける。近年はラジオ・パーソナリティーや作詞など活動の幅を広げている。

http://www.jabberloop.com/

インタビュー:濱安紹子
写真:則常智宏

<取材協力>
Bar音滴
住所:東京都港区赤坂3-9-8 篠原ビル5階

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