山崎まさよし インタビュー ~PERSONAL BUYER 

WRITER
濱安紹子

「レコードは楽器。例えばバイオリンみたいなもの」
そう語るのは、間もなくデビュー25周年を迎えるシンガーソングライター・山崎まさよしさん。

物心がついた時から慣れ親しんできたレコードは、自宅でほろ酔いの時に気分を上げてくれる最高のツール……だったはずが、最近は状況が一変してきた様子の山崎さん。レコードにまつわる話からプライベートな裏話まで、様々なお話を伺うことができました。山崎さんの人柄が伝わってくるユニークなエピソードが満載です。

——まずは、パーソナルバイヤーの印象を教えてください。
買った人は届くまで何が当たるか分からないっていう、ガチャガチャ的な面白さがあるんですね。まあ、でもレコードのジャケ買いも似たようなものなのかも。聴くまでどんな曲が入ってるかわからないわけですから。中身が分からないっていうスリリングさを味わえるっていうのも、ある種の醍醐味なのかもしれません。

——レコードは普段から聴かれるんですか?
普段はラジオをつけっ放しにしてるくらいであまり音楽を聴かないんですが、家でレコードを聴くことはあります。ターンテーブルがリビングに置いてあって、お酒飲んで気分がノッてきたらレコードを引っ張り出して針を落とすんですけど、あんまり大きい音で聴いてると嫁さんが怒るから、最近はちょっと遠慮がちに聴いてます(笑)。でも、アンプもMcIntoshのやつで音が良いんですよ。で、やっぱり途中で気持ち良くなってついつい音量上げてしまうんですよね。そうしてまた怒られるっていう……。特に今はリビングを子供に占領されているんで、ゆっくりレコードを聴くってことも中々できなくなりましたね。本当は、(ドラマ)『まだ結婚できない男』の阿部(寛)さんみたいに、こうやって(指揮棒を振るジェスチャーをしながら)聴きたいんですけどね。あれは独身じゃないと無理ですね、やっぱり。

——少々肩身の狭い感じでレコードを鑑賞されているんですね(笑)。ちなみに、世代的(山崎さんは1971年生まれ)にはレコードが主流だったんですか?
物心がついた時にはレコードとラジオを聴いていた気がします。実家にはレコードプレイヤーと、EP盤がいっぱいありました。当時、コンポーネントシステムの一番上にはレコードプレイヤー、下にはカセットデッキが付いてて、レコードやラジオの音をカセットにダビングするっていうのが一般的でしたね。

初めて買ったレコードはブルース・リー映画のサントラ。小学校だったか中学校だったか、その位の頃でした。カンフー映画が大好きだったんですよ。それから音楽をちゃんと聴きだしたのはレコードからCDに移り変わったくらいの時代ですね。大人になってからもレコードは聴いてましたけど、お金がなかったので中古屋とかレコードレンタル屋で売ってる安いものしか買えなくて。そしたらある日、当時のバイト先の社長さんが「若い頃集めてたレコードあげよか」って、70年代の初期あたりのレコードをどさっと譲ってくれたんです。その中には今でも大切にしているレコードもあります。

——ちなみに、ご自身の音楽的なルーツというと?
ちょうど今日もレコードを持ってきているんですけど、Robert Johnsonがそうですね。彼はあらゆる音楽のルーツでもあります。Eric Claptonのルーツでもあるだろうし、The Rolling Stonesのルーツでもある。それでもって、今日持ってきたアルバムのジャケットに関しては、レコード会社のルーツとも言える絵が描かれているんです。

——ではこの流れで、持参して頂いたレコードの紹介をお願いしてもよろしいでしょうか。

■Robert Johnson『King Of The Delta Blues Singers Vol 2』

このジャケットの絵、ミシシッピにあるホテルの一室なんですけど、黒人がリボンマイクを立ててレコーディングしてるでしょう。そして裏ジャケットを見ると、ディレクターとダイレクトカッティングしてるエンジニアがいて、どちらも白人。今まさにレコードを作っている最中の図で、このレコードがマスターになって、このマスターをもとにレコードが量産されるという流れ。レコード会社のルーツという所以はそこです。しかも歌ってるのは黒人で、それをお金に変えてるのが白人。当時のショービジネス界の縮図でもあるんですね。Robert Johnsonの作った歌は、世界中の色々なシンガーがカバーしているスタンダード。音楽的にももちろんすごいんですが、このジャケットもこの作品を彩る重要な要素なんです。

■The Beatles『LET IT BE』

これはThe Beatlesの……って、もはや説明いらないですよね。こちらは内ジャケットに、レコーディング風景とか、屋上で「Don't Let Me Down」を演奏した時の写真が入っててね、これがまたいいんですよ。でも表のジャケットに関してはおそらくですが、もうこの頃すでにバンド仲が悪かったせいか、別々に撮ってあるんですよね。メンバーと一緒に写ってないんですよ。状況的にこうせざるを得なかったのかなと思います。

ちなみにこれ、ひょっとしたら中学か高校の頃、友人のお父さんから借りパクしたものだったかもしれません……いや、してますね。もうね、返したくなくて(笑)。昔はレコードとかCDの借りパク行為が盛んでしたよね。貸してくれたご本人はもう覚えてないかもしれませんが、「大丈夫ですよ! ちゃんと今でも大事に飾ってるし活用してますから」と伝えたいです。

■Carole King『Tapestry』

これ、僕が生まれた年に発表されたアルバムなんですが、ここに収録されてる曲って全てヒットしてるんですよ。ここに、ソングライティングの基本が全て詰まっているんです。色々な人にぜひ聴いて欲しい1枚だし、このジャケットもまたすごく好き。自然光で撮ってると思うんですが、無造作な感じで飾ってないのに、中身がとにかくすごいっていうね。そして実はこれ、さっきお話したバイト先の社長さんがくれたレコードの中に入ってたやつで、日本盤のもの。日本盤ってライナーノーツが付いてるじゃないですか。僕、あれを読むのがすごく楽しみなんですが、CDだったらちょっと厳しいですね。ライナーノーツも歌詞カードも全部小さいじゃないですか。老眼には少々しんどいわけですよ(笑)。

——山崎さんにとって、ジャケットもレコードを語る上で重要なポイントなんですね。
ジャケットには物語があるんですよね。今日持ってきた3枚って、普段は額に入れて飾ってあるやつなんです。全てジャケットが気に入ってるもので、なおかつ自分が影響を受けた作品。あまり絵とか写真とか家に飾らないタイプなんですけどね。同じ事務所にいるCOILのサダさん(岡本定義さん)が僕の誕生日に、レコードを入れる額をくれたんで、せっかくだから飾ってみようって思って、今全部で6枚のレコードを自宅に飾ってます。

——ジャケットを飾れるというのもレコードの魅力ですよね。
あとはほら、何と言ってもまず音が良いじゃないですか。で、なんで音が良いのかっていうと、レコードの針ってつまり、音を拾うマイクになってますよね。それが盤の溝を読んでいくわけですが、その時にデジタルでは再生不可能な音まで拾ってくれるんですよね。レコードの音が良い理由を色々考えたことあるんですけど、つまりはそういう結論だと思います。針を落とすっていうくらいだから、重力によって音が再生されているわけなんですが、それって楽器を鳴らしてる感じに近いんですよ。例えばバイオリンみたいな楽器。針と溝が擦れ合って音を奏でてる、それってまさに楽器と同じ原理なわけで……という解釈はいかがでしょうか?

——レコードは楽器。素敵な発想ですね!
バイオリンの弦がレコード盤で弓が針ですかね。そんで、本体の木の部分がスピーカーにあたるんじゃないでしょうか、きっと。



——ちなみに今回、パーソナルバイヤーとしてどんなレコードをピックアップしてくださる予定ですか?
ブルースやルーツミュージック的なもの、長きに渡って愛されているもの、あとはジャケットが印象的なものも入れたいですね。例えば『Hotel California』(Eagles)の中ジャケ! 写ってはいけないものが写っちゃってるんですよ。こんなところに人がいるはずないってところに人がね……。そういうちょっと面白いジャケットのやつも選んでみたいし、みんなが知ってるような有名な作品も入れようと思っています。王道系の作品はジャケットのデザインもいいんですよ。聴いてもいいし飾ってもいい。

って、ここでまだレコードは楽器って話に戻るんですが、考えてみたらバイオリンもギターも、レコードと同じでフォトジェニックで絵になるから、弾いてもよし飾ってもよしですよね。……うん、僕けっこう良い例えをしたかもしれない(笑)。でもその点、CDは本当に置き場所に困りますよね。最近もう自分ではCDを買わなくなりましたが、こういう仕事してるとサンプル音源をCDでもらうことが多くて。聴かなくなったCDを一体どうしようかと、この間ちょうど知り合いとそんな話をしてたところです。僕ね、もういっそCDを全部くっつけてやろうかなと思ってるんですよ。そうすると真ん中に穴の空いた円柱ができるでしょう。それを旋盤機に掛けてバットにしたらどうだろうかと。あとは、コースターにするとか、でっかいミラーボウルにするとか、家の壁に貼り付けてみるとかね。あ、いっそ街中にあるガスタンクの全面に貼ったらどうだろう。きっととんでもないですよね、ピカピカして。…………すみません、脱線しました。

——なんて斬新な(笑)! 良い再利用の道が見つかることを願っています。本日はありがとうございました。

申込者へのプレゼント用メッセージカード、そして今回は特別にレコードプレイヤーへのサインも書いて頂きました!

<最新リリース作品>
2019年11月13日(水)発売 New Album「Quarter Note」。 「LIFE」以来、約3年ぶりとなるオリジナルアルバム「Quarter Note」をリリース! アルバムにはシングル「アイムホーム」(テレビ東京系 金曜8時のドラマ「駐在刑事」主題歌・2018年放送)、カップリング曲「Eyes On You」、近鉄TVCMとして現在放送中の「回想電車」(配信限定シングル)、そして14年ぶりに長編主演を果たした映画『影踏み』の書き下ろし主題歌「影踏み」を含む全11曲を収録。 初回限定盤にはボーナスディスクとして映画「影踏み」オリジナル・サウンドトラックを同梱した2枚組仕様。

初回盤


通常盤


<今後の予定>
「YAMAZAKI MASAYOSHI CONCERT TOUR 2019 “Quarter Note”」
2月1日(土)  群馬県 高崎芸術劇場 大劇場
2月11日(火) 宮城県 SENDAI GIGS
2月15日(土) 岐阜県 飛騨市文化交流センター
2月16日(日) 兵庫県 神戸国際会館こくさいホール
2月22日(土) 埼玉県 市民会館おおみや
2月24日(月) 福岡県 サザンクス筑後 大ホール
3月1日(日) 茨城県 龍ケ崎市文化会館 大ホール
3月8日(日) 東京都 中野サンプラザホール
3月14日(土) 大阪府 オリックス劇場
3月20日(金・祝) 兵庫県 たつの市総合文化会館 赤とんぼ文化ホール 大ホール
3月22日(日) 愛知県 名古屋市公会堂 大ホール
3月27日(金) 北海道 ZEPP Sapporo
4月4日(土) 愛媛県 しこちゅ~ホール(四国中央市市民文化ホール)
4月5日(日) 徳島県 阿南市文化会館・夢ホール
4月11日(土) 新潟県 新潟県民会館
4月12日(日) 長野県 須坂市メセナホール
5月2日(土) 三重県 シンフォニアテクノロジー響ホール伊勢(伊勢市観光文化会館)
5月5日(火・祝) 岡山県 岡山市立市民文化ホール
5月6日(水・祝) 広島県 広島NTTクレドホール
5月8日(金) 神奈川県 神奈川県民ホール

山崎まさよしOfficial HP
http://www.office-augusta.com/yama/

※本記事は2019年12月に、PERSONAL BUYERのサイトにて公開されたものです。

▼PERSONAL BUYERの詳細はこちらをご覧ください
【NEWS】新ゲストバイヤーに 山崎まさよしの参加が決定!!

山崎まさよし

山崎まさよし
1995年に「月明かりに照らされて」でデビュー。
1997年公開の主演映画『月とキャベツ』の主題歌「One more time, One more chance」がロングヒットし、ブレイク。精力的な全国ツアーを行ってきたほか、全国各地のフェス・イベントへの出演、ミュージシャンとしてのセッション参加なども数多く、音楽ファンのみならず多方面から支持を得ている。
2019年11月15日全国公開の長編映画『影踏み』(原作・横山秀夫、監督・篠原哲雄)への主演、主題歌、サウンドトラックを担当することが決定し大きな話題となった。
約3年ぶりとなるオリジナルアルバム「Quarter Note」が11月13日にリリース。

http://www.office-augusta.com/yama/

インタビュー:濱安紹子
写真:則常智宏

世界中のレコードを、その手の中に
  • Google Playでアプリをダウンロード
  • App Storeからアプリをダウンロード

関連記事


新着記事

すべての記事をdig!