高橋健介(LUCKY TAPES)インタビュー ~ PERSONAL BUYER

WRITER
濱安紹子

今一番レコードで聴いてみたいお気に入りのレコード3枚を、なんとインタビュー当日に購入してきてくれたLUCKY TAPESのギタリスト・高橋健介さん。丁寧に封を開けながらエピソードを語る姿が印象的でした。長らくレコードの魅力に惹かれながらも、とある事情によりこれまでレコードを集めることができなかったという高橋さん。これまで明かされることのなかった、その切実かつ意外過ぎる理由とは?

——パーソナルバイヤーの印象はいかがでしたか?
僕が憧れているような大物ミュージシャンの方もたくさん参加されていて、自分にご縁のあるお話だと思っていなかったのでオファーを頂けてありがたいなと。面白いサービスだと思いますし、どんなレコードを選んだのか気になるミュージシャンの方もいるので、僕自身ユーザーとして興味津々です。

——レコードは集めているんですか?
僕はCD世代なので、レコードを買い始めたのは大人になってからですね。ペトロールズのヴォーカル兼ギタリスト・長岡亮介さんのソロ作品が最初の1枚。レコードでしか販売してない作品だったので、レコードで買う以外の選択肢はありませんでした。当時はプレイヤーを持ってなかったから飾っていただけなんですけどね。レコードで聴きたいっていうよりも、モノとして作品を所有したいって感覚に近かったです。その後、安いプレイヤーを買ってようやく聴くことができ、それ以降レコードを集めたいという欲求が高まるんですが、実家にある僕の部屋が狭すぎてその願いは叶いませんでした(笑)。3畳半しかなかったのでとにかく置き場所がなくて……。

——切実な理由ですね(笑)。
どうしても欲しいレコードを厳選しまくって買う、場所を取らない7インチのレコードを優先して買う、みたいなそういう買い方をしていましたね……っていやこれ、普通にめっちゃ恥ずかしい理由じゃないですか(笑)。まあ、そんなわけでレコードに対する憧れは半端じゃなかったと思います。今は実家から引っ越して部屋が広くなったんで、やっと気兼ねなくレコードを買えるようになりました!

——レコードの魅力はどんなところだと思いますか?
まず大きいってのがいいですよね。大きいジャケットで見ると、アートワークの細かい部分まで楽しめるし、芸術性がより伝わると思います。CD、ましてやサブスクの小さな画面だと、細かいデザインまで目に入ってこないし、そんなにじっくり見ることもないですよね。ジャケットが大きいことによってこれまで見えなかったものが見え、1枚の絵として楽しめるっていうのも魅力だなと。あと、思うんですが、サブスクが主流になったことで、レコードやCDで聴いていた時よりもアルバム全体を通して聴く機会が少なくなった気がしませんか?

——そうですね。曲単位で聴いている傾向が強い気がします。
アーティストってアルバムの曲順をすごく気にしてるんですよ。例えば曲と曲の合間で切れ目がなかったり、敢えて前曲の余韻を残してマスタリングしている曲もあって、そういうのってアルバム通して聴かないと伝わりませんよね。曲単位で聴いてしまうと、曲が切り替わる間の0.5秒とか1秒とか一瞬の間が聴けない。それってすごくもったいないことだなと思うんですよ。昔、レコードしかなかった時代って、きっとA面/B面に分けることすらも想定して曲順を考えたりしたんじゃないでしょうか。

例えば10曲入りのアルバムで裏・表で5曲ずつ振り分けるとしたら、どういう繋がりを持たせようとか、そんなところにまで気を配ってたのかなと。曲を簡単にスキップできないレコードは、必然的にアルバムを通して楽しむ機会が多いと思うので、アートワークと同じく、こんな音が入ってたんだとかこんな意図があったんだとか、そういうサブスクで聴いた時には気づかなかったものを発見できる気がします。音が良いのはもちろんだし色々な意味でレコードで作品を買う、というのが僕にとっての理想。欲しいレコードがあり過ぎてまだまだ全然買えてないし、CDやデータで持ってるお気に入りを全部レコードで買い直してたら破産しちゃうので、あくまで理想ですけど(笑)。あ、あとこれは僕だけかもしれませんが、レコードで買うと作品のタイトルとかアーティスト名を忘れにくいっていう利点もありますね。ジャケットで視覚的に作品を覚えていたりすることもあるし。

——普段はどうやって音楽を聴いているんですか?
音楽を聴くのも曲をリサーチするのもサブスクがメインですね。CD屋さんにも全然行かなくなりました。買ったりもらったりしてCDを手に入れたとしても、封を開けず読み込むこともせずサブスクで聴いてることが多いかも。CDのパッケージを開ける必要性がなくなってきて、だったら汚さずに綺麗な状態で持っていた方がいいじゃんっていう発想になってきちゃって。サブスクやネットで何でも聴けてしまう時代なので、モノとして所有したいとか良い音で聴きたいとか、そういう特別な理由や愛着がないとCDやレコードを買うことはあまりない気がします。ミュージシャンらしからぬ感じですけど(笑)。

——昨今、CDに触ったことすらない世代というのも出てきてるらしいですね。
今の中高生とか、きっとそうなんでしょうね。すごい世代だなあ。僕はCDがメインでしたが、カセットテープやMDも利用していましたよ。ちなみに、両親はレコード世代なんですが、父も母も地元が離れていたので、一緒に暮らす家、つまり僕の実家なんですが、そこにはレコードを持ってこなかったみたいで、プレイヤーすらありませんでした。どちらもあまり音楽を日常的に聴くタイプではなく、好きなアーティストのベスト盤のみをCDで持っているようなタイプ。家で掛かるのはABBA・QUEEN・The Beatles・Carpentersの4択でした(笑)。

——じゃあ、必然的に高橋さんもその4組の音楽的影響は幼少期に受けている?
根底には絶対あると思いますよ。そのせいなのかはわかりませんが、昔から聴きやすい大衆的な音楽が好きですね。ちなみに、最初に好きになったギタリストはCharさん。僕が読んでいたギターの教則本に載っていたんですよ。Eric ClaptonとかJeff Beckとか、Charさんがメディアで語っていた好きなアーティストを辿っていって好きな音楽の幅を広げていきました。高校に入って軽音部でバンドやるようになってからは、先輩から教えてもらう音楽やタワレコの視聴機で色々なジャンルの音楽を知り、その影響を受けるようになります。当時はパンクとかも好きでしたね。あとは、JamiroquaiやThe Brand New Heavies、Donny Hathawayとかにハマって、ソウルやアシッドジャズに傾倒した時期もあります。

——バンドメンバーと好きな音楽は似ているんですか?
厳密に言うとみんなそれぞれ違うんですが、重なる部分はすごく多いですよ。グッドメロディが好きっていうのは全メンバーに共通していることかもしれません。やっぱり好みの差が多少あっても、共通点とか似た部分がなければバンドを続けていくのは難しいでしょうね。

——ではここで、本日買ってきて頂いたばかりという3枚のレコードをご紹介ください!

■PJ Morton『GUMBO UNPLUGGED』

聴くだけでテンションの上がるソウルフルなライブアルバム。全て生で一発録りしているんです。PJ MortonはMaroon 5のキーボーディストでもあるんですが、もとはコテコテのR&Bの人でグルーヴがすごいんですよ。YouTubeにあがってるライブ映像を観ただけでも相当アガるので、これをレコードの音圧で聴いたらすごいことになるんだろうなと、ずっと気になっていました。帰って聴くのが楽しみです! あと、レコードって中ジャケにプレイヤーの名前が書いてあったりするじゃないですか。「こんな人が弾いてたんだ」みたいな発見があるのもいいですよね。ジャケも良いし、おそらく自宅に飾っちゃうやつだと思います。

■Tom Misch『Geography』

Tom Mischは作り手としてはもちろんですが、ギターもすごいので、ギタリストとしてこれは持っとかなきゃと思って(笑)。彼はどちらかという宅録系のアーティストで、これは先ほど紹介したPJ Mortonのフルバンドのライブ盤とは対極的な作品なんですが、彼の音をレコードで聴いたらどんな音がするのか興味がありました。じっくりレコードで味わうことでTom Mischがこの作品を作った意図や、作品に入れた隠し味みたいなのも知れるんじゃないかなと。そして、このジャケット、よくよく見ると不思議なアートワークですよね。顔にも見えるしそうじゃないようにも見えてくる。……面白いなあ。サブスクで見たときは気に留めなかったんですけどね。

■Father John Misty『Pure Comedy』

一昨年フジロックに彼が出演した時も、昨年の単独公演も観に行きました。これは1人で家にいて自分と向き合ったり、音にハマりたいって思ってた時にずっと聴いていた作品なので、レコードの音で改めてじっくり堪能したいなと思っていました。ちょうど、『Virtual Gravity』(LUCKY TAPESが2017年にリリースしたアルバム)の制作時期に繰り返し聴いてたアルバムなので、知らず知らずのうち作品にも何かしらの影響が出ているかもしれません。この絵本みたいなジャケット、それに中ジャケもいいですね。よく見るとすごく細かく色々なものが描かれてます。

——今回、パーソナルバイヤーとしてピックアップしてくださったのはどんなレコードですか? ネタバレしない程度に教えてください。
LUCKY TAPESの音楽性にもリンクするような、どちらかというとソウルとかR&Bとかブラックミュージック寄りの作品が多いかもしれません。僕自身のルーツミュージックでもあるし、LUCKY TAPESのベースにもなっているような音楽と言えるのかも。ネットにもサブスクにも上がってないような某大御所のライブバージョンのレコードとかも入ってるし、ギターが痺れるって作品、僕自身もレコードで聴いたことない、けど絶対間違いないって名作も入ってますよ。あと……あ、あんま言っちゃうとアレですよね(笑)。

——ですね(笑)。選盤を楽しみにしています。本日はありがとうございました!

申込者へのプレゼント用メッセージカードを書いて頂きました。

<リリース情報>
■2020年4月
新曲配信リリース予定


<公演情報>
■LUCKY TAPES「HALL #2」
東京 6月1日(月)
六本木EX THEATER
ゲスト:TBA
OPEN 18:30 / START 19:30 1F:ALL STANDING スタンド/バルコニー:指定席
前売¥4,300 税込み(ドリンク代別途必要)
問)ぴあ(P:-)、ローソン(L:)、e+ (プレ:/ 12:00 – / 18:00)、LINE TICKET
☎ 03-3444-6751(SMASH) smash-jpn.com

大阪 6月4日(木)
BIGCAT
ゲスト:Tempalay
OPEN 18:30 / START 19:30 ALL STANDING
前売¥4,300 税込み(ドリンク代別途必要)
ぴあ(P:-)、ローソン(L:)、e+ (プレ:/ 12:00 – / 18:00)
☎ 06-6882-1224 (GREENS) greens-corp.co.jp

チケット発売日 2月8日(土)
*未就学児童の入場不可、小学生以上は要チケット

オフィシャル先行URL
https://w.pia.jp/t/luckytapes-hall/
1月21日(火)17:00~1月26日(日)23:59

※本記事は2020年2月に、PERSONAL BUYERのサイトにて公開されたものです。

▼PERSONAL BUYERの詳細はこちらをご覧ください
【NEWS】新ゲストバイヤーに高橋健介(LUCKY TAPES)の参加が決定!!

高橋健介(LUCKY TAPES)

高橋健介(LUCKY TAPES)
LUCKY TAPESギター担当。
高橋海、田口恵人、高橋健介の3人組。2015年にデビュー・アルバム『The SHOW』をリリース。翌2016年にシングル「MOON」をリリースし、同年全国公開された映画『オオカミ少女と黒王子』(主演:二階堂ふみ)には挿入歌として新曲2曲を提供。
7月には、共同プロデューサーにtoeの美濃隆章氏を迎えた2ndアルバム『Cigarette & Alcohol』をリリースし、フジロック・フェスティバルへも出演。ホーン・セクションや女性コーラス、パーカッションなどを加えた総勢9名のライブ・パフォーマンスも各方面より高い評価を集めている。 2017年9月にEP『Virtual Gravity』をリリースし、そのリリース・ツアーでは全国各地ソールドアウトが続出。 2018年5月にメジャー・デビューEP『22』を、そして10月には待望のメジャー・デビュー・アルバム『dressing』をリリース。

http://luckytapes.com/

インタビュー:濱安紹子
写真:則常智宏

<撮影協力>
Aoyama ZERO
東京都渋谷区渋谷2丁目9-13
http://aoyama-zero.com/

世界中のレコードを、その手の中に
  • Google Playでアプリをダウンロード
  • App Storeからアプリをダウンロード

関連記事


新着記事

すべての記事をdig!