OORUTAICHIインタビュー

WRITER
中村悠介

目眩くエキセントリックな音楽性が広く知られているのはもちろん、近年はパートナーのYTAMO(ウタモ)とのデュオ、ゆうきで全国各地に出演。地域の小さな夏祭りにも登場するそう。今回お話をおうかがいするのは音楽家のOORITAICHIさん。彼のレコード観とはどんなもの? 京都と奈良の県境にほど近い彼の自宅兼スタジオにおじゃましました。

――OORUTAICHIさんが初めてのレコードを聴いたのはいつです?
家で親父が聴いてたジャズとか、それが最初ですね。そのときはレコードを意識していたわけじゃないですけど。音楽に興味を持ち始めてからは親父のレコード棚を見たりしてましたね。

――それはいつの頃です?
中学生くらいのときですね。ジャズは難しそう、と思いながらも聴いたりしていましたね。

――自分の意志で始めてレコードを買ったのは?
高校生のときですね。とにかく掘りたいというか、たくさん聴きたくて、レコードもCDも関係なく買っていましたね。アメ村にすごく通ってて、タイムボムとかでUSインディーの7インチとか中古レコードをよく買ってました。いちばん最初に買ったレコードはちょっと覚えてないですけど。

――レコードを買い始めたのはどんなきっかけです?
大学生になってクラブとかに行きだして、自分でDJまがいのことをしてみたり。レコードが面白いと思ったのはそれからですね。あと大友(良英)さんがレコードを使ってたじゃないですか。

――ターンテーブルを楽器としてノイズを出したり、ですね。
そうですね。そんなことを自分でもやってみたり。あとはサンプラーを手に入れてからはヒップホップのようにサンプリングしてみたり。レコードでいろんなことをしてましたね。

――当時いろんなことにレコードを使ったのはなぜだったと考えます?
やっぱり(レコードに)触れるっていうところがすごく大きかったんだと思いますね。直接触ってミックスをしたりBPMを繋げるとか、そういう面白さ。レコードの音質が、っていうのはあんまり関係なかったですね。

――音に直接触れられるような?
そうですね。そのころはレゲエをよく聴いてたんですけど、モノとして7インチも好きでしたね。レコードから、やたら匂いがするなとか。

――ジャマイカンな匂い?
すごいチーズっぽい匂い(笑)とか。オーガスタス・パブロのレコードがやたら匂い強くて(笑)

――さすが大御所(笑)
思い返せば、タイムボムやキングコングに行ったりしていたころは、いろんなレコードを探す楽しみがありましたよね。

――中古だと特にそうですよね。
お店で見つけて手に取る、その興奮具合はやっぱりCDとは違いますよね。見つけた感、というか。アメ村では主に中古レコードを買ってましたけど、ジャケ買いですね。自分の聴くものを広げたいというのがあって。

――今はどんなときにレコード店に行かれますか?
自分の音源を卸に行ったときに買うことが多いですね。奈良のTHROAT RECORDSだったり。あそこは品揃えも面白くて。

――ライブで全国のいろんな場所に行ったときなんかも?
そうですね。地元のひとに教えてもらって行くことは多いですね。

――今はどんなレコードを買います?
民族音楽、だけじゃないんですけど古い音楽を買うようにしてますね。

――過去の未知なるものを求めて?
それもありますけど、とりあえず持っておこう、残しておきたい、という気持ちですね。CDでもいいんですけど、レコードで持っておきたいという気持ちが強いかな。

――それはなぜでしょう?
なぜでしょうね。買う瞬間もそうだし、モノとして手に取って、家に帰ってちゃんと聴く、みたいな気分になるからかな。姿勢というか。CDだと車で聴いて終わりみたいになることも多いです。

――現在のレコードを聴くシチュエーションは?
ちゃんと聴こうとして聴く、という感じですね。制作のヒントを見つけるためだったりもします。

――モノ感、匂い、それ以外にレコードの良さをあらためてどう捉えています?
レコードにはCDには入ってない、なにかが入ってるんじゃないか?(笑)と。そういう希望も込めてますね。あと12インチ文化というか、ジャケットが無いもの、そこで掻き立てられるものはありますよね。タイトルもなにも書いていないテストプレスみたいなものも売られてたりしますし。

――謎のレコードは気になりますよね。では現在、音楽への接し方がいろいろある中で、レコードで音楽を聴くことをおすすめするならどんなところを?
音質の違いを比べてみるのは面白いかなと思いますね。(同じ作品でも自分の中に)入ってくる印象がすごく変わると思うんです。自分がどんな音質に反応するのか? それを知れるかもしれないし。

――自身の作品がレコードになる感覚はどんなものです? CDとはまた違う感覚はあります?
そうですね。レコードになって良かったな、という曲もあるし、この曲はレコードには合わないな、と思うこともあるし。

――その違いはどんなところです?
レコードをカッティングする際に、あまりに高い周波数の音は削らないといけないことがあって。パソコンで作ったものだと無限に入れられたりするけど、そこを削ると曲の印象が変わってしまったりするんですね。でも逆に、それで音がまとまって良くなるときもあるんですけど。

――デジタルで作ったものをアナログ化する、というプロセスがそうさせてしまう、と。レコードの音質については?
やっぱり単純に音が太いし、それと音の奥行きが違いますね。デジタルだと全部前に音が出ているような印象なんですけど、アナログだと奥行きがあるというか3Dになるというか。でも、いい音を考えると、音質に作り手の意図が見えるものがいいと思いますし、それがその曲に合っているのが、いい音だと思いますね。

――なるほど。ちなみにここは山がすぐそばですが爆音でレコードを聴いてみたりも?
たまにありますね。あと、作っている曲をミックスしてるときなんかはけっこう大きい音が出ているかもしれないです。そういうときにもレコードが良くて。作ってる音と自分のレコードを聴き比べてみるということはありますね。

後編:アナログならではの思い入れがあるレコードをご紹介

OORUTAICHI

OORUTAICHI
音楽家。1999年より活動開始。電子トラックに“非言語”の言葉をのせるスタイル等のソロを始め、YTAMO(ウタモ)との二人組、ゆうきでも活動中。過去にはバンド、ウリチパン郡やユニット、おばけじゃーなどでも活躍。現在、楽曲提供の他、舞台音楽や出演などジャンルを超え幅広く活動する。自身でレーベルokimi recordsを運営。奈良県出身。

取材:中村悠介(IN/SECTS)
写真:中村寛史

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