今のミュージシャンを輝かせる音楽を記録した作品。松浦俊夫の審美眼

WRITER
リバイナル編集部

イギリスの今。ジャイルスと連携した新しいシーン

――イギリスのDJシーンについて教えてください。
いわゆるクラブという場所だけじゃなく、住宅の真ん中にトータルリフレッシュメントセンターみたいなヴェニューがあって、22aのレーベルのバンドが演奏するウェアハウスパーティーみたいなものがありましたね。あと、Kay Suzukiが手がけたジャズ喫茶っぽいアプローチで話題となったロンドンのバーラウンジBrilliant Cornersで、フォー・テットとフローティング・ポインツがシークレットでB to Bやったり。様々な音楽があるけれど、そのクオリティの高さが向こうの面白さですよね。

――クラブカルチャーとミュージシャンの接近度合いはどうですか?
ジャイルスのブラウンズウッド周りはとても近いですよね。DJじゃないけど簡単にDJができる環境もあるし、お互いに高め合って影響を与えあっている感じがします。

――今作でのミュージシャンの選定ポイントはどうですか? 自分のプロジェクト(RM jazz legacy)の時に、ある曲のワンドロップのドラミングを、石若駿くんが叩いたら面白そうと思って実践したこともあり、原曲を聴いてなにかピンとくるフレーズなどがあったんでしょうか?
同じように、いちリスナーとしての発想ですね。たとえば、ロニ・サイズの「Brown Paper Bag」や「Kitty Bey」のあのドラムをユセフ・デイズが叩いたらどうだろうという、初期衝動のようなところから生まれています。

――もうひとりのドラマー、トム・スキナーは、今回のミュージックディレクターですよね?
そうなんです。彼の所属するバンド、サンズ・オブ・ケメットの新譜が今度インパルスからでますよね。イギリスのアーティスト、しかも、いわゆるストレートアヘッドでないアーティストがアメリカのインパルスから出るということが実はすごいことだと思うんです。内容は、ツインドラムで、シャバカ・ハッチングもいる。イギリスでブリティッシュ・ジャマイカンとアフリカンが渾然一体となって、そこにジャズが乗っているという感じ。日本のジャズリスナーにわかってもらえるのか?と思うくらい意外な内容ですが(笑)、でもそういうものを歴史あるジャズのレーベルから出してくるとのいうのが、今のジャズの面白さですよね。

――トムは、ジャイルス監修のコンピレーション「We Out Here」にも参加していますね。
「We Out Here」の方が、制作時期は後ですが、ああいう形でまとまったおかげで、イギリスの今を表現するとともに、当時の楽曲を今に蘇らせる際、なぜこういう人選になったかという説得力が増しました。

ここでカバーした曲を聴けばクラブ・ジャズがわかるというものではありません。それは、スポティファイなどのプレイリストを聴けばいい。だから、本作の意図を改めて言うとすれば、「今のイギリスの先鋭のミュージシャンたちとやりたいものが、ここに記録されている」。それが正解ですね。

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松浦俊夫

松浦俊夫
1990年、United Future Organization (U.F.O.)を結成。5作のフルアルバムを世界32ヶ国で発表し高い評価を得る。2002年のソロ転向後も国内外のクラブやフェスティバルでDJとして活躍。またイベントのプロデュースやファッション・ブランドなどの音楽監修を手掛ける。2013年、現在進行形のジャズを発信するプロジェクトHEXを始動させ、Blue Note Recordsからアルバム『HEX』をリリース。2018年3月、イギリスの若手ミュージシャンらをフィーチャーした新プロジェクト、TOSHIO MATSUURA GROUPのアルバムをワールドワイド・リリースした。 InterFM897 “TOKYO MOON” (毎週水曜17:00)、Gilles Peterson’s Worldwide FM “WW TOKYO” (第1&3月曜19:00) 好評オンエア中。

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