今のミュージシャンを輝かせる音楽を記録した作品。松浦俊夫の審美眼

WRITER
リバイナル編集部

松浦俊夫のリアルな現場。アイデアの源とは!?

――松浦さんはDJは、過去の曲と最新の音楽を上手く選曲に取り込まれている印象です。どういった考えで選曲していますか?
再生メディアはなんであれ、今、このアーティストに恋をしていて、それを今かけたい。という気持ちなんです。今日ここでは何を聴かせたいか、核になっているものを決めるのが一番大事で、そこに全てをかけていくやり方かな。ざっくりとレコードバックに新譜も旧譜も全部まとめて放り込むという感じですね。アナログオンリーだったのが、CDを差し込みはじめて、そのうちコンピューターも入れたり、今はハードディスクを入れたり。

――最近の現場での思い出はありますか?
2017年の「Worldwide Festival」では、サン・ラ・アーケストラの演奏の前にDJでした。ライブの前にラテンで踊らせたかったけれど、失敗するとそれは最大のハズしにしなるかもしれない(笑)。でも、結果その場で踊るだけじゃなくステージにもお客さんが上がって踊ってくれたんですよね。そこで選んだのが「Fantasy」のラテンバージョンでした。

――ラテンの使い方が松浦さんのDJの魅力でもありますよね。その辺りをもう少し伺いたいです。
このときは、前後のバンドの音との整合性をとった選曲をしつつ、このポイントで、というタイミングを狙ってラテンをかければ間違いなく盛り上がるという確信がありました。ダンスをしかける音楽として、ラテンはすごく強い存在だろうとかねてから思っていました。U.F.O.のラファエル・セバーグがラテンに拘りをもっていた影響もありましたし。ダンスということを意識して考えると、4つ打ちという選択肢と、ラテンの選択肢が見えてきますね。ひねりを加えたアプローチがラテン。あと、ブレイクポイントが来るまで、ラテン的要素は一切入れないということ。突然ラテンになった時こそ生まれる楽しさは格別です。

――2016年「Worldwide Festival」のJapan Dayで、ニューヨリカン・ソウル「I Am The Black Gold Of The Sun」の4ヒーローリミックスが、想像以上に盛り上がったというエピソードも伺いました。
この曲って、原曲のもっている良さもありながら、当時の4ヒーローのプロダクションの面白さがありますよね。ドラムンベースだけでなく、生音の良さもある。ソウルフルで心地よく楽しい前半と、ストイックにビートで夢中になっている後半。この後半をラテンに置き換えたらどうかな? 楽しくなるじゃないかなというのが、本作「I Am The Black Gold Of The Sun」のアレンジ構想のきっかけです。

――ガラッとラテンになったときの楽しさ。まさにこの曲は、先ほどのDJスタイルが反映されているわけですね。
ラテン的要素がない、むしろロック的なギターを前半で入れましたしね。この作品でDJ感を活かせたかなと思うんです。それを今演ってくれるのは、ボーカルのダイメ・アロセナありき、とイメージができていたこともありましたし。そんなDJ的なトラックが12インチで先行カットされて、イギリスでも早々にソールドアウトになっている状況はとても嬉しいですね。

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松浦俊夫

松浦俊夫
1990年、United Future Organization (U.F.O.)を結成。5作のフルアルバムを世界32ヶ国で発表し高い評価を得る。2002年のソロ転向後も国内外のクラブやフェスティバルでDJとして活躍。またイベントのプロデュースやファッション・ブランドなどの音楽監修を手掛ける。2013年、現在進行形のジャズを発信するプロジェクトHEXを始動させ、Blue Note Recordsからアルバム『HEX』をリリース。2018年3月、イギリスの若手ミュージシャンらをフィーチャーした新プロジェクト、TOSHIO MATSUURA GROUPのアルバムをワールドワイド・リリースした。 InterFM897 “TOKYO MOON” (毎週水曜17:00)、Gilles Peterson’s Worldwide FM “WW TOKYO” (第1&3月曜19:00) 好評オンエア中。

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