mabanuaインタビュー/レコードとの思い出・最新作『Blurred』について語る

WRITER
小川充

――最初に買ったヒップホップのレコードは何ですか?
最初に聴くようになったヒップホップのアーティストはアレステッド・ディヴェロップメントでしたね。高校に入ってバンドもやっていたので、そうした生バンドでやるヒップホップというのが入りやすかったんだと思います。だから、もうタイトルは覚えてませんが、アレステッドの何かが最初に買ったヒップホップのレコードでしたね。ダンス・ミュージック全般では、当時16、17才の時にDJも始めて、ダフト・パンクの「One More Time」を2枚使いするために北浦和のディスク・ユニオンに買いにいったのですが、それがDJで使うために買った最初のレコードですね。そして、その頃CDとかでヒップホップは買っていましたが、DJ的に12インチで買った最初のヒップホップのレコードが、スラム・ヴィレッジの「Tainted」(2002年)です。その前にダフト・パンクとスラム・ヴィレッジがカップリングされたレコードが出てたりして、そういうところからスラム・ヴィレッジを聴くようになり、そこからJディラや「Tainted」で歌ってるドウェレにも興味を持つようになったりと。

――それ以外に当時よく聴いたヒップホップ・アーティストはいますか?
ザ・ルーツとか、もう少し後でア・トライブ・コールド・クエストとか、サー・ラー・クリエイティヴ・パートナーズとか、マッドリブとか。やっぱりバンド色の強い音や、サンプリングもジャズとかの生音を使ったものが好きでしたね。デ・ラ・ソウルとかウー・タン・クランとか、一般のいわゆる王道のヒップホップはあまり通ってきてないんですよ。あと、僕はUSものよりもヨーロッパの音のイメージが強いねと言われることがあるのですが、そういったことも関係するのか、アシッド・ジャズとかも聴いてました。ブラン・ニュー・ヘヴィーズやジャミロクワイとか。そう言えば、ブラン・ニュー・ヘヴィーズもUSのヒップホップ・アーティストとコラボをしてましたね。今はロバート・グラスパーなどがジャズとヒップホップをミックスしていますが、この頃もまた違った形でジャズとヒップホップのミックスがあり、もっとシンプルでストレートなビートでやっていたんじゃないかなと思いますね。僕としてはそうしたものの方がよりしっくりくると言うか。

――ザ・ルーツもジャズ色の強いヒップホップ・バンドで、クエストラヴのドラムとか影響を受けたりしたのですか?
ええ、影響を受けまくって、ここ4、5年くらいは逆にクエストラヴからどう離れるか、というのが自分の中にはありますね(笑)。一時クリス・デイヴの方向性に行きかけたときもあったのですが、これは自分とは違うなと思って、すぐ離れました。そうした点でクエストラヴは17、18才の頃から聴いてきているので、なかなか離れるのが大変です(笑)。よくインタビューとかでクリス・デイヴとかの影響について訊かれますが、自分ではそうしたものはあまりなくて、むしろクエストラヴだったり、アレステッドのドラムだったりとかの方が影響が強いですね。

――その頃のヒップホップから、ジャズ、ファンク、ソウルとか、サンプリング・ソースとなった昔の音も聴くようになっていったのですか?
ええ、たとえばメイズもそうした流れで聴くようになったアーティストです。当時はディアンジェロとかのネオ・ソウルも流行っていて、そうした中でアンジー・ストーンとアンソニー・ハミルトンが共演したライヴのDVDを観たことがあって、その中で最後の方でメイズの「Before I Let Go」をカヴァーしてるんですね。最初はそれがカヴァーだとは知らなくて、ただ「スゲー、カッコいい曲だな」と思ったわけですが。その後、その元曲がメイズというアーティストだとわかり、それからメイズのレコードも幾つか買っていきました。この『Silky Soul』(1989年)もそうした一枚です。

――そうして聴いていったレコードで、トラックメイクするのに参考にしたり、またはミュージシャンとして刺激を受けたりしたものなどはありますか?
ミュージシャン目線でいくと、ドラマーのバーナード・パーディーとかスティーヴ・ジョーダンの演奏しているものは参考になりましたね。同じドラマーではスティーヴ・ガッドやデニス・チェンバースのような、正確無比なテクニックを誇るミュージシャンに憧れる人が多いのですが、僕の場合はパーディーのようにテクよりも独特の味やグルーヴのある人に惹かれましたね。アレステッドの『The Heroes Of The Harvest』にもモロにスティーヴ・ジョーダンぽいドラムの曲があって、そうしたものはいろいろ研究しましたね。

――日本人のアーティストの作品で印象に残っているものはありますか?
井上陽水さんのファンで、20代前半の頃はよくライヴにも行ってたのですが、ドラマーの山木秀夫さんが好きで、山本さんが参加しているものをいつもチェックしていて、井上陽水さんの作品やライヴもそうなんです。陽水さんの歌や歌詞と、山木さんのドラムの関わり合い方とか、とても勉強になったと思います。他にもっと後になりますが、ベタなところで今井美樹さんの『Pride』とか。この中の「Last Junction」という曲のベース・ラインとドラムとか、凄い好きでしたね。

――mabanuaさんはソロやOVALLの作品でも幾つかアナログ盤でリリースしていますね。
ええ、たとえばこれはOVALLのアルバムの『In TRANSIT』(2017年)から、今年になってカットした7インチです。「Winter Lights」はOrigami Productionsの仲間であるMichale Kaneko君が作詞した曲で、「Open Your Eyes」はボビー・コールドウェルのカヴァーです。この曲はいろいろな人がカヴァーしてますが、前にメンバーの中でそれについて話していた時、その数ある中でもドウェレのカヴァーが一番いいねということになって。OVALLのメンバー、特にShingo Suzukiがドウェレを大好きで、まあ3人を結束させたとも言える曲です。そのドウェレ・ヴァージョンからインスパイアされたカヴァーで、僕らもこれは7インチで絶対に出したいねと思っていたんです。OVALLの「Superlover」とカップリングされたlaidbookの「Resurrection」もそうで、こちらはコモンのカヴァーですが、「Open Your Eyes」にしろ「Resurrection」にしろ、ヒップホップ好きなバンドならみんな一度はカヴァーしてる曲ですよね。他に僕がアナログで出したものだと、BudamunkyとのコラボのGreen Butterや、OVALLとGagleのコラボがありますね。

――実際にレコードのカッティングなどに立ち会われたことはありますか?
以前、東洋化成に行ったことがあって、特にこちらから注文を出すことは無かったのですが、そうしたカッティングの過程を見させてもらいました。ああいった感じでレコードが作られていくのを見て、音楽を制作する者としても「もっと、シャキッとしてやっていかなくちゃ」と思いましたね。配信だけの曲と、きちんとアナログ盤を作る曲とでは、やはり取り組む気持ちも変わってくるというか。

――先日、新しいアルバムの『Blurred』もリリースされましたが、こちらはどんな作品になっていますか?
今まで作ったアルバムの中で、もっとも苦労した作品と言えるんじゃないでしょうか。作るのが辛かったと言うか(笑)。同時にもっともチャレンジしたアルバムでもあります。チャレンジの中で一番大きいのは、日本語の歌をやっていることですね。今までさんざん英語の歌をやってきて、そろそろ日本語でやっても面白いんじゃないかと。最初は気楽な気持ちで入ったのですが、いざやってみると凄く難しくて・・・。リリックもほとんど自分で書いてますが、日本語の歌が乗ることにより、トラックも今までの感じとは変わってきた部分がありますね。周りからも日本語の歌をやったんだと驚かれることが多かったですが、自分としては英語の歌だと、ただお洒落な感じで終わってしまったりすることもあって、そんなところでもどかしさもあったのですが、いつかやりたいなと思っていたんです。


なんとDONUTS MAGAZINE読者にサイン入りレコードのプレゼントを用意して頂きました!

Ovall「Supalover / Laidbook「Resurrection」 7インチレコード 1名様

応募期間:2018年10月20日(土)〜11月9日(金)23:59
応募方法:応募は、(1)Twitterまたは(2)Facebookから行っていただけます。
(1)Twitterによる応募方法
REVINYLの公式アカウントをフォローして、本記事関連の投稿をRT!その後DMで応募したいアイテムをお伝えください。
(2)Facebookによる応募方法
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応募締め切りは、11月9日(金)まで。(当選発表は11月16日(金)を予定)
当選者へのみそれぞれDMまたはメッセンジャーにてご連絡させていただきます。

mabanua

mabanua
ドラマー以外にビートメイカー、プロデューサー、シンガーとして活躍。
バンドOVALLと並行して、2008年からmabanua名義でソロとしても活動をスタート。
ブラック・ミュージックのフィルターを通しながらもジャンルに捉われないアプローチで全ての楽器を自ら演奏し、国内外のアーティストとコラボして作り上げたアルバムが世界各国で話題に。
多数のCM楽曲、映画、ドラマ、アニメの劇伴を担当するなど多彩な活躍をみせる。
先日サード・アルバム『Blurred』をリリース。好評を博している。
http://mabanua.com/

by 小川充
Photos by Daisuke Urano

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