KEN ISHII インタビュー 鳴り止まないビート

WRITER
Mika Anami

<Ken Ishii’s Record Picks>

――一番大切で思い入れのあるレコードを3枚教えてください。


Goldenes Spielzeug Gold Gold Gold by Deutsch Amerikanische Freundschaft [Virgin]

KI) テクノやハウスを好きになる前に一番好きになったバンド。高校生の頃に好きだったバンドで、もう解散してたんですけどね。はじめこの盤を見つけた時は、12インチのシングルのレアもので、新宿の中古屋で6千円くらいして。中古なのに。あの頃お金もなく買えなくてずっと欲しいなーって思ってたら、2000年くらいにモントリオールかトロントかでふらって入った中古レコード屋でたまたまNEW WAVEのところを見てたらカナダドルで何と$4.90で見つけたんです。日本で6千円で売ってたのが、カナダドルで5ドル以下なの。それって300円くらいの話でしょう?捨ててある様なもの。「やった!」って買いました。だから17歳の時から欲しかったものを、15年後にやっとスゴイ良い値段で買えた、と。

――じゃあ、ここに貼ってある値段は本当に大事ですね。
KI) そう、これが重要なの。これは絶対に取りたくない。4.90カナダドル。


E2-E4 by Manuel Gottsching [Racket]

KI) これもハウスを好きになってから、やはり初期のハウスミュージックを聴いていて。今のハウスミュージックと違ってすごく実験的なものが多かったんですけど、結構ここからサンプリングして作った曲とかが世界的にスゴいヒットしたんですよ。これは1980-81年くらいのレコードなんだけれども、いわゆるジャーマン・サイケデリックのギタリストがエレクトロニクスを取り入れて作った曲で、片面一曲ずつ30分、30分。同じビートの上にギターのソロを永遠に乗っけてるっていう内容。まず、ヴァイナルでアルバムが片面一曲づつなんてあの時見たことなかったし、あと音楽的にどこまでもリピートをしているっていう。。というのも、ハウスミュージック自体、最初出て来た時は普通の人なら「何でこんな同じことばっかりずっと繰り返しているんだろう?」って思ったと思うんだけど、繰り返してもせいぜい5分とか6分でしょう?これなんか30分だから(笑)「世の中にはやっぱスゴい人がいるんだな」って。今では、僕だけじゃなくて、自分世代のテクノアーティストなら例外なく全員聴いてるんじゃないかっていう、それぐらいのクラッシックな一枚ですね。


The Beginning by Rhythim Is Rhythim [Transmat/KoolKat]

KI) 3枚目はデリック・メイの曲です。一応これがUK盤。イギリスのレーベルからヨーロッパ用に出版されていたもの。UK盤の12インチってみんなこうで、スリーブに入ってるだけなんです。アメリカ版も持っていて、内容は大体同じなんですど、好きなものは全部買う、というか。彼はこのRHYTHIM IS RHYTHIMっていう名前をメインで使っていて、これも90年くらいのもので最近は全然レコードを作っていません。彼のDJはワン・アンド・オンリーのスタイルで彼独特の音であり、誰が行っても楽しめる。影響力はデカイんだけど、彼しかあれをできる人はいないっていう。だから彼がDJしたら、やはり納得がいくと思います。

ハウスはシカゴ発祥なんですけれど、デトロイトも近いから結構DJとかが行き来していました。たまたまデトロイトの人間はそれにもうちょっとエレクトロニック強めが好きな人の方が多かった、あるいは、その頃デトロイトで有名DJだったホアン・アトキンス(デリック・メイの先輩)がいわばインフルエンサーみたいな感じでいて、でこういう方向で、ってことになった様です。シカゴはもうちょっとソウルフルでGhetto Houseな感じが強かったりするんですけど、デトロイトはもうちょっと音楽的に洗練されたものが作られていました。

――ご自分のスターと演奏するってどうですか?
KI) もう緊張します。この辺は本当にもう手も届かないレベルって思ってて、時代もそうだったし。だから、単純に嬉しいというか。自分で会いに行けないんですよね、本当にリスペクトの対象のアーティストって。だから、周りに「行け行け!」って言われて、「あーヨロシク。。」みたいな感じになって。(笑)そこらへんが日本人っぽいところでもあり。

Deutsch Amerikanische Freundschaft (D.A.F.)の二人が再結成した時に埼玉スーパーアリーナの日本の大きいテクノイベントで一緒にプレイしたことがあります。バックステージで挨拶して。マニュエル・ゲッチングもドイツ人のおじいさんなんですけど、ライブしに来た時に一緒にサポートでやってくれと言われて、もう95年くらいだったかな?一緒に演って。

デリック・メイは自分が大学生の時に初めて日本に来てその時にデモテープを持って渡しに行きました。しばらくしたら一応返事が来て。なんか哲学的な「音楽が常に君とあるように。」みたいなそういうメッセージだけ送られて来ました(笑)。それ以来の付き合いというか、世界中でいろんなイベントで一緒になったりして、時間があったら一緒に食事したりとか、昔はお互い若かったから色々遊びに連れて行ってもらったりとかしましたね。

――あの時デモをもらった事をデリックは覚えてますか?
KI) 覚えていますよ。厳密に言えば、そんなもの日本でもらえると思ってなかったから、っていうのもあるし。その時の日本のプロモーターにちゃんと返事書いてあげなよって言われて、言われたからやったらしいんですよ。まあ、覚えてるって(笑)。丁度大学出てからアーティストとしてレコード出すようになって、比較的にポンポンと上手く行ったんですけど、そのベルギーのレーベルからもデリックは出していたんです。だから、そういうところで一緒だったし、その時から色々付き合いがありました。日本には、本当に先輩っていなくて。。テクノもなかったし、周りで作っている人もいなかったから、自分がファーストジェネレーションみたいな感じかな。だから唯一、デリックは自分が先輩だと思える一人です。いわゆる日本的な意味での先輩。一緒だと、俺もやっぱ大人しくなるし、デリックが何たらかんたら言ってると、ああ、そうっすねー。みたいな感じに俺はデリックの前ではなっちゃいます。下手するともう30年近く知ってる人です。

――最後に2019年のご活動についてお聞かせください。
KI) さっきもチラッと触れましたが、13年ぶりにKEN ISHII 名義のオリジナル・アルバムをリリースします。音の方はほぼ出来上がっていて、いまどういう風に出そうかなどもろもろプラン中です。それ以外には単発のEPや他のアーティストへのリミックスがいくつかのレーベルから出ることが決まっています。それとコラボレーションは良い刺激になるし積極的に続けて行きたいですね。ツアーも年明けからオーストラリア、そしてヨーロッパはほぼ毎月、2019年後半はアメリカに行きつつ、国内でも今まで通りプレイしたいと思っています。

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応募締め切りは、2019年3月29日(金)まで。(当選発表は4月5日(金)を予定)
当選者へのみそれぞれDMまたはメッセンジャーにてご連絡させていただきます。

ケンイシイ

ケンイシイ
アーティスト、DJ、プロデューサー、リミキサーとして幅広く活動し、1年の半分近い時間をヨーロッパ、アジア、北/南アメリカ、オセアニア等、海外でのDJで過ごす。‘93年、ベルギーのレーベル「R&S」からデビュー。イギリス音楽誌「NME」のテクノチャートでNo.1を獲得、’96年には「JellyTones」からのシングル「Extra」のビデオクリップ(映画「AKIRA」の作画監督/森本晃司監督作品)が、イギリスの “MTV DANCE VIDEO OF THE YEAR” を受賞。’98年、長野オリンピックのインターナショナル版テーマソングを作曲・プロデュースし、世界70カ国以上でオンエア。2000年アメリカのニュース週刊誌「Newsweek」で表紙を飾る。’04年、スペイン・イビサ島で開催のダンス・ミュージック界最高峰 “DJ AWARDS” で BEST TECHNO DJ を受賞し、名実共に世界一を獲得。’05年には「愛・地球博」で日本政府が主催する瀬戸日本館の音楽を担当。一昨年は NINTENDO SWITCH Presentation に出演。全世界配信され、数百万人の人達がDJセットを目の当たりにした。更にはベルギーで行われている世界最高峰のビッグフェスティバル「Tomorrowland」に出演も果たす。今年は13年振りとなるオリジナルアルバムをリリースするなど様々なプロジェクトを予定している。
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