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今年10月上旬、東京、大阪など全国4カ所を回るツアー『Stones Throw Japan Tour 2018』のためにLAから来日した、共にStones Throwの所属アーティストであるJ.Rocc(Jロック)とKnxwledge(ノレッジ)。片や世界屈指のターンテーブリスト・クルー、The Beat Junkiesの一員としても活躍するJ.Roccと、Anderson .PaakとのユニットであるNxWorries(ノーウォーリーズ)などプロデューサーとしての注目度も非常に高いKnxwledgeだが、レコードディガーとしても知られる彼らのツアー中のお楽しみといえば、もちろん各地のレコード屋巡り。そこで彼らの東京滞在中のタイミングで、渋谷・宇田川町での彼らのレコードショッピングに同行した。
まず、彼らと待ち合わせたのはHMV record shop 渋谷だが、リイシュー(再発)盤などを中心に、すでに買い物を終えたばかりの様子。休みなく、続いて向かったのは、HMV record shop 渋谷から歩いてすぐの距離にあるレコファン渋谷BEAM店だ。ワンフロアに様々なジャンルのレコードが揃っている同店だが、彼らはこの広い店内の商品構成を熟知しているようで、アニメやサントラ、日本人アーティストの作品を中心にディグ。同行していたStones Throwのスタッフや、我々取材チームに対して、時折レコードジャケットに書かれている日本語の意味を尋ねたりしながら、初めて目にするレコードでも積極的にキープしていく。そして、最後はディスクユニオン渋谷 Jazz/Rare Groove館に寄って、こちらもディスコやファンク、ジャズなど中古盤から新譜、リイシュー盤までくまなく漁って、本日のレコード屋巡りは終了。数十枚のレコードを抱えたまま、近くのカフェにて二人に話を聞いた。
――今回の日本での滞在中で、どのくらいレコードを買いましたか?
J.Rocc(以下、J):トータルで幾らかは分からないけど、結構買ったよ。だいたい10店舗くらいのレコード屋を回っていて、一軒でだいたい2万円づつっていう感じかな。
――レコファンでのディグを見ていた感じでは、Knxwledgeは安いレコードもたくさん買っていましたね。
Knxwledge(以下、K):リリースされた年代によるけども、限られた予算の中でレコードを沢山買いたいから、どうしても安いものを買ってしまう。高いレコードを買うこともあるけど、そういう買い物はリスクが付き物だからね。
J:けど、そうやって安く買ったレコードで作ったビートで、大金を稼ぐっていうのがプロデューサーの醍醐味とも言えるね。
――東京では良い買い物が出来きましたか?
J:もちろん。東京のレコードショップはいつも素晴らしいね。アメリカでは決して見ることがないようなレコードがたくさんある。今は日本のジャズやR&Bのリイシュー盤がいろいろ出ていて、そういうレコードが買えるのが嬉しいね。もちろん、アメリカのレコードに関しては日本のほうが高いけども、今は日本のレコードを買うのがメインになっているよ。
K:俺も買うのは日本のレコードだけ。もしアメリカのアーティストのレコードを買うとしても、日本でプレスした日本盤を買うようにしてるんだ。特に日本のレコードのジャケットカバーを見ると興奮する。アーティストを知っていても、知らなくても、その背景にあるカルチャーとか全てが好きなんだ。
――レコファンに行った時、真っ先にアニメのコーナーに行っていたのを見て、少し驚きました。
J:レコファンはあの辺りのコーナーが好きなんだ。アニメの奥には日本の男性アーティストや女性アーティストのコーナーがあって、オンラインで自分のウォントリストを確認しながら、そのリストにある日本のアーティストの作品がどこにあるかを探したりしている。
――日本のアーティストで好きなのは誰でしょうか?
J:『SPACY』のアーティスト……、そうそう、山下達郎。彼はドープだよ。
K:俺はアニメのサントラとかが好きだから、大野雄二だね。
――日本のレコードを買うのはやはりビートを作るのが目的でしょうか?
K:そうだね。チョップしたり、あとは効果音的に使ったり。実は日本のサントラからも沢山、ビートを作ってるんだ。
J:サンプルもするけど、実は日本のレコードだけでミックスを作りたいと思っていて。今はまだ日本のレコードはクレーツで3箱分くらいしか持ってないけど、今、さらにコレクションを増やしているところなんだ。
――今日、一緒に回った3つのレコード屋さんを比較すると?
J:HMVは日本のアーティストやそれ以外も含めてリイシューのレコードが買えるのが嬉しいね。レコファンはどんなジャンルのものでもあるし、値段も安い。それに、昔ながらのレコード屋さんらしいのも良い。例えば、他のレコード屋みたいに「Dam-Funkがプレイ!」とかそういうポップとかは一切無いし、レコードの内容に関する情報がほとんど書いてないけども、だからこそもっとディグしたいっていう気持ちになる。視聴は出来ないけど、カバーを見て判断して、これは多分、どういうサウンドかな?っていうのを想像するんだ。
J.Rocc & Knxwledge
J.Rocc
1992年にターンテーブリスト集団Beat Junkiesを立ち上げ、西海岸きってのダイナミックでファンキーなパフォーマンスで世界中に熱狂的なファンを持つDJ。2000年にStones Throwのクルーに加入後、Jaylib(Madlib+J.Dilla)やBlackstar(Mos Def+Talib Kweli)のライブDJも担当。2016年からはDr.DreとApple Musicのラジオ番組のレジデントDJにも就任。音楽への貪欲な探究心+ターンテーブリストとしてのスキルで、正にワン・アンド・オンリーなDJスタイルを確立している。
Knxwledge
ニュージャージー出身、現在はLAを拠点に活動するプロデューサー/ビートメーカー。LAのビートシーンで注目を集め、2015年にStones Throwからデビューアルバム『Hud Dreems』をリリース。2016年にはAnderson .Paakとのコラボユニット: NxWorriesのアルバム『Yes Lawd!』をリリース。これまで、Kendrick Lamar、Joey Bada$$、Earl Sweatshirtなどの楽曲もプロデュースし、新世代のビート・シーンを牽引するカリスマとして注目されている。
Text & phots by Kiwamu Omae