HEATWAVE 山口洋さんのお宅訪問インタビュー

WRITER
ジョー横溝

HEATWAVE 山口洋さんのお宅訪問インタビュー後編

     

――前編に続き、山口さんの自宅にお邪魔して、想い出のレコードを教えてもらっています。続いての想い出のレコードは?
「初めて会った憧れの人がソフト・マシーンのメンバーでもあったケヴィン・エアーズ。俺22歳の時、地元でラジオ番組をやってたんだけど、その番組に来てくれたの。で、俺人にサインとかもらわないんだけど、これだけはしてもらって」

――これは忘れられない1枚ですね。
「そうだね。しかもケヴィン・エアーズは2013年には亡くなってしまったし。彼はものすごい才能があるんだけどすぐ諦めちゃう人でね。ロバート・ワイアットとも昔一緒にやってたんだけどすぐエスケープするんだよね(笑)。でね、俺、一生懸命インタヴューしたんだけど、つまんなそうに足の裏を掻いてたなぁ(笑)。今の俺だったらもっと会話できるけど、『なぜ音楽はじめたんですか?』みたいなことしか聞けないじゃん、含蓄ねえし、英語だし」

――これはライブアルバムなんですね?
「うん。ロンドンでのライヴ音源なんだけど、邦題がすさまじいタイトルで、『悪魔の申し子たち~その歴史的集会より』っていう(笑)。ニコ、ケヴィン・エアーズ、ロバート・ワイアットがまだドラム叩いてるし、ジョン・ケール、マイク・オールドフィールド、オリー・ハルソール、イーノが参加してる。すごいでしょ?まぁこのレコードは捨てられないんだよね」

――折角、自宅にお邪魔してるので、もっとレコード見せてください(笑)!
「はいはい(笑)。俺ハンク・ウィリアムズがめちゃくちゃ好きで。ハンク・ウィリアムズだったら24時間聴いてられるくらい、なぜか好きで。このベスト盤もティーンのころに買ったアルバムだね。ちなみにハンク・ウィリアムズの話で日本ロック界で盛り上がったのはCHABOさんだけ。CHABOさん『ハンク・ウィリアウムズが好きなのか!?』って言ってハンクの自伝くれたもん、俺に」

――そしてヴァン・モリソンのレコードも見えますね。
「音楽的に本当に俺を変えたのはこのヴァン・モリソンの『アストラル・ウィークス』と前編で紹介したルーリードの『ブルー・マスク』だよね。この2つを混ぜ合わせたような音楽がやりたかったんだと思う」

――さて、改めて、アナログの魅力って何だと思いますか?まずは聴く側とし魅力から教えてください。
「車の中でレコードは聴けないでしょ。で、疲れて家に帰ってきて、一人の時間においしい酒を入れて、レコードに針落として、ソファーに座ってレコードを聴く。この世の至福の時間だよね。やっぱり音楽が好きだからさ。あとは俺、コレクターではないから、結構扱いが雑だから傷もついてて、前編で紹介したビートルズの『Let It Be』だと傷の箇所まで俺は記憶してるから。ここで音が飛ぶなとか。そもそも昔の曲って聴いた瞬間に彼女とデートした砂浜の足の感触まで思い出すじゃん。レコードだとそれがもうちょっと濃ゆいような感じだよね。で、そのレコード盤の中にあるものってCDには絶対ないよね。あとはレコードは曲飛ばせないとか、ひっくり返さなきゃいけないとか、そういうのも魅力だし。一番幸せなのは、ソファーでレコード聴きながら…気が付いたら針がプス、プス、プス、プス…ってA面終わってて、落ちてた、俺?みたいな」

――至福の時ですね。
「うん。あとさ、佐藤タイジがやってる<SOLAR BUDOKAN>のPASSだけは俺捨てられなくてね、キッチンのところに掛けてあるの。なぜ捨てられないのか俺もわからないけど、なんかあのPASSを置いておくとそういう想いがいろんなことをつないでいくんだと思うのね。レコードも所有して、たまに聴いたりするのはそういう感覚に似てるんじゃないのかな。人の想いがいろんなことをつないでいく感はやっぱりCDにはないかな。そんなのも含めてアナログが家にあると幸せな気持ちになるんだよね」

――わかります。では、ミュージシャンとしてつまり音を届ける側としてのレコードはどんな存在ですか?
「アナログでものすごく出したいけど、アナログで出すと値段が高くなっちゃうのと、アナログで出すためにはマスターの作り方とかも変えなきゃダメだから。だから去年の12月に出したHEATWAVEの『Your Songs』ではそこまで余裕がなかったけど、次の作品ではやるかも。やっぱり俺は自分がアナログでのリリースで間に合った最後のタイプだから。アナログで3〜4枚出してるんだけど、初めて自分の音楽がアナログになって、針落として、自分の曲が出てきた時の感動、それとラジオから初めて自分の曲を聴いた感動はね、震えたもん。身体にイナズマ走ったもん、『おーー!!』って(笑)」

――想像に難くないです。
「CDの時はなんの感動もなかった。でも自分の作品のアナログとラジオで初めて自分の曲を聴いた時は本当にうれしかった。だからこの2つはやっぱり、自分は送り手になりたいとは思ってたけど、なれるっていう保証はどこにもなかったから、やっぱり忘れられないよね」

自宅屋上テラスからの夕焼けを眺める山口洋さんとジョー横溝

世界中のレコードを、その手の中に
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