grooveman spot インタビュー

WRITER
Hiroyuki Ichinoki

――じゃあ人生を変えた盤として今回選んだものはどれも今でも聴くんですか?
そうですね。

Gangstarr『Hard To Earn』

基本的に暗くても明るくても気持ちいい音楽が好きなんですけど、曲作り始める時期にギャングスターとかピート・ロックとかDITC周りとか、ネタ感、ループ感のある音楽にハマって、とりあえず一瞬のカッコいいループを探せばいいんだみたいな(笑)。中でもこのアルバムは革新的で、特に「Mass Appeal」なんて、一瞬を繰り返してなんでこんなグルーヴになるんだろうって。言わばミニマルテクノ聴いてるのと変わらないし、テンポ90(BPM)ぐらいにして四つ打ちでテクノっぽいのやったらどうなるんだろうと思って僕も結構作ったりしてましたけど、今ではそれが当たり前になってて、そういうヒップホップも最近多いですよね。今のヒップホップで808使わないでトラップやってる人達って、結構この辺の時代のヒップホップっぽいやつが多いと思います。

grooveman spot a.k.a DJ KOU-G『ETERNAL DEVELOPMENT』

人生変わった一枚って言ったらやっぱりこれ。ちゃんとスタジオ入って、一曲一曲パーツごとにコンソールで調整するっていう、人生で一番やりたかったことをやってるんですよ。今は中々出来ないけど、そういった意味でもこれは挑戦だったし、CDっていうよりレコードを作ることが先でやってましたね。基本はヒップホップとダウンテンポですけど、初めての経験もいっぱいあって、海外のアーティストともやったし、クロスオーバーした四つ打ちの曲やJ・ディラに捧げた曲、ブロークンビーツみたいな曲も歌モノもある。いろいろやりたいっていう花はもう咲き始めてるんですよね。

一十三十一「PARK SUITE」

テーマがあるアルバムのシリーズに何曲か参加させてもらってるんですけど、これは『Snowbank Social Club』っていうアルバムに入ってる曲。人生で初めて歌のメロも作曲したんで、すごい思い入れあるし、これで歌モノの自信がつきました。いろんな音楽を常に聴いてると、ビート聴いてても一小節ごとにいろんなメロディが降ってくるんですよ(笑)。「こういうサンプリングネタ欲しいな」と思うのと同じで。それをシンセで弾いたりヴォコーダーで録ってみたりして作曲したら、採用してくれて。作曲をやり始める転機になった曲だし、歌も怖くなくなりましたね。一十三十一さんに感謝です。

Michael Jackson『Dangerous』

テディ・ライリーの中でも、僕の人生で一番初めの大きい衝撃だった仕事です。楽曲制作で行き詰まった時に聴くんですけど、ずっと身体に残ってるんで、ある意味思い出す感じですかね。部分的にメロディを全く無視してるような作風でもあるところが面白い。メロディが気持ちよくて、テクノみたいにも感じるし、ファンクでもあるし、ヒップホップでもあるし、なんか不思議なんですよね、テディ・ライリーの曲って。この翌年にボビー・ブラウンが出す『Bobby』もほとんどテディ・ライリーの仕事なんですけど、その差もすごくて、同じ脳ミソで全然違うものが出来るんだっていうのが自分の中にも流れてます。

――改めて今、音楽にはどんな気持ちで向かってます?
いつしか好きなジャンルも音楽もすごい増えて、それを自然と作ってみようって感じでやってたんですけど、こういうDJってオファーもしづらいですよね(笑)。それで悩んだ時もあったんですけど、仙台に帰って、僕みたいにいろんな音楽が同じぐらい好きな人は世の中にいるだろうなっていう方にシフトして。そこから『Runnin’ Pizza』(11年)を皮切りにいろんなものをやり始めて、ZEN-LA-ROCKのプロデュースでニュージャックスウィングみたいのやったりとか、一十三十一さんのアルバムの楽曲提供とか歌モノに振り切ったりしてるのと同時期に、自分の曲では濃いヒップホップやったりみたいな(笑)。今はいいなと思ったものは全部トライしたい。

――今後の方向性についてはどのように考えてます?
プレイヤーと一緒に曲作ることってあんまりやってきてないんで、バンドの人達と曲を作ってみたいなっていうのは常々思ってます。あとは自分の作った曲をアレンジをしてもらいたいなとか、アーティストで一緒に曲作りたい最新のラッパーとかヴォーカリストもいっぱいいるんで、そういう人達ともやってみたいし。とりあえずどんな形でも気持ちいいなって曲が出来ればいいですね。

grooveman Spot

grooveman Spot
DJ / ビートメイカー / プロデューサー。1993年からのクラブDJとしてキャリアスタート。ヒップホップ、ソウル、ファンク、ジャズ、ハウス、テクノ、和物、シティポップなど育んできた音楽的経験をターンテーブルから発信し、自身の作品にも落とし込んでいる。2012年東日本大震災を機に出身地である仙台に居を移し、地元ローカルで緩くも非常にユニークな活動を続ける。grooveman Spot以外にも、MC U-ZipplainとのユニットENBULLや、sauce81とのユニット77 KARAT GOLDとしても活動している。

By Hiroyuki Ichinoki
Photos by Daisuke Urano

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