田中知之(FPM)インタビュー

WRITER
ジョー横溝

DJ/プロデューサーとして国内外で活躍、
世界中でレコードを収集してきたFPM田中知之さんが登場!

 

――満を持しての田中さん登場です!今日はどんな名品・珍品レコードが飛び出すのか、もの凄く楽しみにしてきました!
「僕、非常に物持ちが良くて、最初に買ってもらったレコードが、ガメラと仮面ライダーのスプリットの7インチなんですけど、それがまだ、僕のスタジオの7インチの棚に入っているんです。更に言うと、自分で買った最初のレコードがジンギスカンの『ジンギスカン』の7インチなんですけど、それもいまだに僕はレコードバックに入れていて。ジンギスカンの『ジンギスカン』をこの51歳になってまでプレイしているとは思わなかったんですけど(笑)。しかも、僕はずっとレコードを売らずに貯めてきたんですよ。でもさすがにもう収納スペースもなくなりまして。それまでは本当にもう生涯手にしたレコードは、ほぼ売らずに持ってきたのに、5年ぐらい前に6千枚くらいは売りました」

――マックスで何枚くらい所有していたんですか?
「きちんと数えてないですけど、多分2万枚くらいはあったと思います」

――最近のコレクションの傾向は?
「実は40歳くらいになった時からモノラルのレコードにはまっています。モノラルのレコードって、今のステレオに比べて音が1チャンネルだし、例えば我々が使っているDJ用の機材でモノラルのレコードを聴くとくぐもってる音がするし、なんかイマイチ鳴りの悪いレコードっていうイメージがあったんですけど、しかるべきシステム、モノラル用のオーディオシステムで聴いたらすごい音がするってことを知ってしまったんです。それまではモノラルレコードフリークの人の蘊蓄を聴く度に『ジャズ親父、何言っとんねん』って言ってたのが自らジャズ親父になってしまったという(笑)。で、結局、決して安くないお金を使って自宅にモノラルのレコーディングの再生システムを揃えたんですけど、それでモノラルレコードを聴いたら、ものすごい音がするんですよ」

――聴かせてください!
「はい。それは次回自宅に招待しますので、その時にしかるべき機材でモノラルのレコードをお聴かせしますね。なので、今回は、さわりとして少しだけ紹介しつつ、モノラル以外のレコードも紹介しますね」

――よろしくお願いします!
「で、僕『チェット・ベイカー・シングス』っていうレコードが大好きで。言わずもがなの名盤です。オリジナルプレスは基本10インチなんです。でも、ある時にEPアルバムと言われる2枚組7インチドーナツ盤で出ていることを知って、どうしても欲しくて探して買ったのがこれ。それ以外にも10インチの2年後に再発盤がちょっとだけ曲を足して12インチで出ています。それはジャケットも変わってます。更にギターをオーバーダビングした、それの疑似ステレオ盤もあるんです。『チェット・ベイカー・シングス』に関しては再発やCDも含めて大概全部持ってますね」

――音の違いはどうですか?
「セオリーで言ったら、7インチが一番いいはずじゃないですか?ファーストプレスだし45回転の7インチだからコレが一番いいはずだなって思うんですけど、実は大したことないです」

――えっ!?
「それがモノラルの奥深いところで。中古で89年に出た再発盤で音源も次のアルバムとかから合体されている400円くらいで売ってる盤が一番いい音なんです」

――そうなんですか?
「そういうのがまたモノラルの面白さです。もしかしたら自分のシステムではそうかもしれないけど、違う人の機材だったらコレが一番なのかもしれない。そういうモノラルの深い話は次回、自宅に来ていただいて披露します。まぁモノラルのさわりとしてはこの2枚組ですかね」

――田中さんにレコードの奥深さを教えてくれた1枚でもあるという。
「そうですね。しかも内容的にもすごく好きだし、人生の中で一番聴いたアルバムかもしれないですし。そして、この『チェット・ベイカー・シングス』の7インチでプレイできること自体がなかなかDJ冥利に尽きますし。最近はもう7インチ縛りみたいなDJもするんです。建前は7インチ盤は音がいいからということにしているんですが、DJの高齢化にともないLPが重いからっていう真実が潜んでるんですけどね(笑)」

――(笑)。
「DJということで言うと、僕は映画のサントラばっかりをプレイするサウンド・インポッシブルっていうDJチームを92年頭くらいに結成して、先日25周年で久しぶりに再結成して京都の「クラブ メトロ」でパーティーやったんです。その活動のおかげで今でも映画のサントラ盤はいっぱい所有してるんですけど、そんな中で最難関のひとつと言われているレコードがここにある『スモッグ』です。コレはイタリアにDJツアーに行った時にイタリアのレコードディーラーにして有名DJみたいなヤツが僕のホテルに大切そうにハードケースに入れたレコードを何枚か持ってきた中にあったモノで、『こんなにすごいのがあるんだけど買わないか?』って言って買ったレコードです。この『スモッグ』もチェット・ベイカーが参加しています。ピエロ・ウミリアーニっていう映画音楽家と、日本のジャズファンにやたらと人気のあるヘレン・メリルっていうその三者がタッグを組んだレコードです。ちなみに、さっきディスコグス見たら盤質の悪いので日本円にして15万オーバー。盤質が良かったら20万オーバーって出てました。今ならそれだけするレコードですね」

――なかなかのお宝ですね。
「まぁお宝の1枚と言ってもいいかもしれないですね。で、めったに見れないレコードだと思って、私も当時そこそこ払って買いました。20万出して買うかはさておき。今はDiscogsを通じて苦労せずに買えちゃうのが僕は恐ろしいし、つまんない話だなって思っていて。アナログは出会い頭でしか買っちゃいけないみたいな、法律作ってほしいなって僕は思ってます」

子供の様にレコードを語る田中知之さん。
レコード話はまだまだ果てしなく続きます。後編をお楽しみに。

次ページ:田中知之さんの想い出のレコード

田中知之 (FPM)
DJ/プロデューサーとして国内外で活躍。‘97年『The Fantastic Plastic Machine』でデビュー以降、8枚のオリジナルアルバムをリリース。
リミキサーとしても、FATBOY SLIM、RIP SLYME、布袋寅泰、くるり、UNICORN、サカナクション、Howie Bなど100曲以上の作品を手掛ける。
『オースティン・パワーズ:デラックス』や『SEX AND THE CITY』への楽曲提供の他、村上隆がルイ・ヴィトンの為に手掛けた短編アニメーションの楽曲制作や、世界三大広告賞でそれぞれグランプリを受賞したユニクロのウェブコンテンツ『UNIQLOCK』の楽曲制作を担当するなど、活躍の場は多岐に渡る。
DJとしては、日本国内はすでに全都道府県を制覇、海外でも約60都市でのプレイ実績を誇り、近年でも出演イベント数は年間100本を軽く超える。
国内の有名フェスは元より、米国のコーチェラ・フェスティバルやイギリスのレディング・フェスティバルなど海外の有名フェスへの出演経験も多数。
国内外のハイブランドのパーティーDJとしても絶大な信頼を得ている。
http://www.fpmnet.com/

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