DJ Evil Deeインタビュー

WRITER
Yayoi Kawahito

ニューヨーク・ブルックリン出身のDJ Evil Dee(DJ イーヴィル・D)は、90年代全盛期であったイーストコースト・ヒップホップ界の重鎮DJ兼プロデューサーとして名を知られている。彼の実兄Mr. Waltと共に活動しているDa Beatminerzは低音の効いたギンギンの土臭いビートが特徴的で、ヒップホップ・クラシックとして数多くの作品を残し、MCのBuckshotと5 FTと共にユニットを組んだBlack Moonに関しては知らないヘッズはいないであろう。そんなヒップホップ・レジェンドのベースメント(スタジオ)に、DONUTS MAGAZINE編集部が大潜入! Evil Deeから、過去のプロデュース作品を始め、レコード愛に関して多くを語ってもらった。

――Da Beatminerzで数々の曲をプロデュースしていますが、初めて自分達のプロデュースした曲をレコードで聴いた時の感想を教えてください。
もちろん、興奮したよ! 自分達の曲がリリースされて、沢山の人達に聴いて貰えることはすごく嬉しかった。制作の際には、何人もの人達と一緒に仕事をして、25年間音楽を作り続けているけど、今でも誰かが俺たちの作った音楽を好きで聴いてくれている事にはすごく興奮している。毎日感謝の気持ちを忘れないようにしてるよ。

――最初にプロデュースし、アナログ盤をリリースしたのはいつですか?
Finstaの「Finsta Baby」(1992年)だよ。

Da Beatminerzの名前で出した最初の曲は、Ultramagnetic MC's の「Poppa Large」。プロデュースは元々Da BeatminerzオリジナルメンバーだったAaroy Lylesと、Ike LeeなんだけどIkeがその時、初めてサンプラーの使い方を教えてくれたんだ。彼らからループの技術を教わって、「Poppa Large」をDa Beatminerz名義で出したんだ。

――ちなみに、最近サンプリングした曲は何ですか?
それは勿論、秘密だよ(笑)。

――そうですよね……。皆が知りたいけど、難しいですよね。
今サンプリングしている曲のほとんどが、今年リリースするBlack Moonの新しいアルバムの曲だからね。今回のアルバムでも勿論、数々の名曲をサンプリングしているよ! 多分、レコード好きな皆が聴いたら「あっ!この曲でサンプリングしてる曲、俺もレコード持ってる」ってなるような曲ばかり使っている。以前DJ MUROに貰った7インチのヴァイナルがあるんだけど、これ絶対に何かに使おと思っていて、実は今回のアルバムにやっと放り込めたんだ。全体的に土臭いサンプリングの音を使っていて、マジで格好良い感じに仕上がってる! 次の作品は、本当ハッピーに思っているよ。これで最後のアルバムになるかもしれないし。

――Black Moonの次のアルバムは、いつリリース予定ですか?
今年の秋頃に出す予定。レコーディングはほとんど終わっていて、後はミックスするだけなんだ。ミキシングスタジオには、アナログギアが設備されていて、テープでミックスするかもしれない。他にも10月19日には『Enta Da Stage』のリリース周年パーティーもあるし、色々と今後の動きに向けて準備中さ。

――次のアルバムは、アナログ盤のリリース予定はありますか?
時代もストリーミングが主流だし、毎回リリースする時に7インチを出すべきかとか色々考えたりはする。でも、間違いなく次のBlack Moonアルバムに関しては、アナログ盤を出すつもりでいるよ!

――最近のアーティストがヒップホップのサンプリングをしているのについては、どう思いますか?
若いアーティスト達がそういう風に、自由に音楽を出来るスペースがあるのは良いと思うよ。ただサンプリングすべき楽曲をサンプリングしていないと感じているから、ちょっと残念に思っている。サンプリングは、ヒップホップの大事な要素だからね。ヒップホップの原点は、ただ楽曲のかっこいいパートを切って、繋げて、ループすれば良いって訳では無い。最近流行りのトラップ・ヒップホップとかクールなのかもしれないし、同じ様に見えるかもしれないけど、俺の好みでは無いかな。それと俺はリリックも大事だと思うから、何をラップしているかも考慮するね。

――楽曲制作の上で、何が一番大切だと思いますか?
現代はネットが主流で、昔みたいにビートメーカーとアーティストが直接面と向かって楽曲制作について話合う機会も少なくなってきていると思う。俺が作ったトラックだから使ってよ!っていう単純な作業ではないよね。やっぱり楽曲制作の上で、どういう方向に一曲を作り上げていくかっていうコミュニケーションはとても大事だと思う。俺はオールドスクールだからね。今、制作中のアルバムに関しても、携わっているアーティスト、プロデューサー達の全員が同じ方向に進む様にアイデアを共有する様に心がけている。

――どれくらいの時間を、このベースメントで過ごすんですか?
自分達のレコードコレクションに夢中になって、沢山の時間をここで過ごしたよ。今でも一日中、この地下にいる事もあるし、レコードを買った時なんか一週間近くここに居座ったりするよ。

――では、お気に入りのレコードを教えてください。
Criminology - Raekwon feat Ghost face Killah

この曲は、パーティーでかける時に良く使う。DJする際に絶妙な間を作るのが好きで、俺はいつもオンビートとオフビートをプレイ中に使い分けるんだ。この曲は逆にYo!っていう感じで、フロアの皆の期待をいい意味で裏切る時に放り込むんだ。

Goodie Mob - Cell Therapy

これはマジでヤバいレコードだよ。過去に使いまくって、壊した事のある思い出の1枚。Goodie Mobのビートは常にカッコイイ。Organized Noizeのビートとか凄く渋いし、Netfliexで『The Art of Organized Noize』を見た時は、本当にテンションが上がった。彼らは本当に最高だね!

Woo Hah!! Got You All In Check - Busta Rhymes

このレコードも大好きだ。ほら!レコードにマークしてるでしょ。この曲をカッティングするのがとても好きなんだ。

――お気に入りの曲は常に変わりますか?
正直DJ的に、お気に入りの曲は気分で変わる。その瞬間に自分が何をしているかにもかなり左右されるし。「このレコードのこれがあれでこうで、めちゃくちゃヤバイんだよ!」って言っても、次の瞬間には気が変わる時がある(笑)。後は、ヒップホップ・プロデューサーとしてヒップホップは勿論だけど、色んなジャンルの音楽を聴くよ。

次ページ:DJ Evil Deeインタビュー(後編)

DJ Evil Dee

DJ Evil Dee
ニューヨーク・ブルックリン出身のヒップホップDJ兼プロデューサー。Black Moonのヒットアルバム『Enta Da Stage』でのプロダクションワークの成功、Smif & Wessunのクラシックアルバム『Dah Shining』のプロデュースにより、多くの人々に支持され、現在では全盛期のヒップホップ・シーンの第一人者として世界中にファンを抱える。自身の所属するクルーBlack Moonを始め、Boot Camp Clik、Smif-N-Wessun、Afu-Ra、Black Star、Eminem、Flipmode Squad、M.O.P.、De La Soul、Mic Geronimo、O.C.等、数々の著名アーティスト達のヒット曲を手掛けている。90年代HOT97での功績を生かし、現在は実兄Mr.Waltと自身のでラジオ局Da Beat Minerz Radioで定期的に活動している。

Photos by Still1

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