DJ KRUSHの人生を変えたレコード

WRITER
大前 至

日本のヒップホップシーンの黎明期から活動を開始し、ソロアーティストとして1994年リリースの1stアルバム『KRUSH』や翌年リリースの2ndアルバム『Strictly Turntablized』によって、インストゥルメンタルのヒップホップという新たなジャンルを開拓し、日本国内のみならず世界中の音楽ファンから常に高い評価を受けてきた、DJ KRUSH。そんな彼に、今年3月リリースの通算11枚目となるニューアルバム『Cosmic Yard』や、彼自身の人生を変えたレコードなど、さまざまな話を伺った。

――最初にアルバム『Cosmic Yard』について聞きたいのですが、まずこのアルバムタイトルの意味は?
これまでのアルバムはずっと地球からのテーマだったから、今回はちょっと普段目を向けてない、宇宙目線でいこうって。けど、そこまでデカすぎる宇宙ではなくて、全体を見るよりも、クローズアップした感じで、隕石に近づくみたいな。アルバムもそのイメージで作っていって。質感は昔の映画『ブレードランナー』的な、ちょっと近未来的なアジアンテイストが入っていて、ザラザラしている感じのをやりたいなって。

――前作『軌跡』は日本語ラップがメインでしたが、今回は全曲インストですね。
『軌跡』はMCが乗るっていう部分で、彼らがスイマーだったけど、今回は自分の泳ぎ方をみんなに改めて見てもらいたいなっていう感じで。あと、やっぱり、インストが自分の原点なので、基本に戻ってみようって。

――先ほどのアジアンテイストっていう言葉とも繋がりますが、今回はゲストアーティスト4人中3人が日本人で。その中でも、過去にも共演したトランペッターの近藤等則さん、尺八奏者の森田柊山さんのお二人を再び招いたのは?
近藤さんとは、海外でも『記憶』(1996年リリースの2人の共作アルバム)が良いって言ってくれている人が大勢いて。こうやって年数が経って、お互いに何を積み重ねてきたのか、今、改めて音で知りたかった。森田さんに関しては、『寂』でも一緒にやったけども、僕の中ではまだ終わってなくて。もっとドラマティックな展開をつけたり、空気感を出してやりたいなって。さらに、そこに近藤さんをぶつけたら面白いなと。

――もうひとりの日本人参加者でギタリストの渥美幸裕さん、それからオランダ人アーティストのBinkbeatsも含めて、ゲスト4人ともすごく職人っぽい感じがしますね。
言われてみれば、そうかもしれない(笑)。みんな、突き詰めるタイプ。僕も昔は地下足袋履いて職人やってましたからね。親父もペンキ屋で、家内のお父さんも親方だったし。そういう人を惹きつけちゃうのかな?

――オールインストで、まさにKRUSHさんならではのサウンドのアルバムになりましたね。
今回はやっぱりブレイクビーツ。質感もちょっとクリアではないし、ビットが下がったような、ちょっとジリジリしてる音で。周りと同じようなことをしてもしょうがないし、今、こういう感じの流れはないから、ちょっと良いかなって。

 

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DJ KRUSH

DJ KRUSH
サウンドクリエーター/DJ。選曲・ミキシングに於いて抜群のセンスを持ち、サウンドプロダクションに於ける才能が、海外のクラブシーンでも高く評価されている。1992年からソロ活動を精力的に行い、日本で初めてターンテーブルを楽器として操るDJとして注目を浴びる。1994年に1stアルバム『KRUSH』をリリースし、現在までに10枚のソロ・アルバムと1枚のMIXアルバム、2枚のセルフリミックスアルバムをリリース。ソロ作品はいずれも国内外の様々なチャートの上位にランクイン。現在も年間、約30カ所以上のワールドツアーを敢行している。地域を越えて、多岐に渡り高い評価を得続けるインターナショナル・アーティスト。

取材・文:大前 至
写真:則常 智宏

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