7インチレコードを使ったDJプレイで世界的にも最も知られる日本人DJ KOCO a.k.a. SHIMOKITA氏にインタビュー

WRITER
Kiwamu Omae

ヒップホップシーンを中心に、ここ2、3年ほどで世界的にも最も知られる日本人DJとなったDJ KOCO a.k.a. SHIMOKITA。もし、DJ KOCOのことをまだ知らない人がいれば、彼のインスタグラムのアカウント(@djkocoakashimokita)をぜひ覗いてみて欲しい。7インチレコードを使った彼の神業とも言えるプレイを収めた動画に世界中のヒップホップファンや名だたるDJ、プロデューサーがコメントを寄せ、世界トップレベルのDJとしての惜しみない賛辞を送っている。すでに海外にも何度も招聘され、今後、ますますワールドワイドな存在になるであろうDJ KOCOだが、今の彼を作り上げた街である下北沢にて、彼のトレードマークである7インチレコードでのプレイを中心に貴重なインタビューを行なった。

――まずはDJを始めたきっかけを教えてください。
地元の香川県から大学に通うために東京に出てきて、DJを始めたのはこっちに来てからですね。もともとはDJっていうよりも、単にレコードを買うのが好きで。クラブにはよく遊びに行ってたんですけど、レコードを集めているオタクがDJをしているっていう感じでした。それで好きにやってたら、いつの間にかこうなっちゃいました(笑)。

――ちなみにDJネームにある、<SHIMOKITA>というのはどこから?
昔、渋谷にトゥー・スリー・レコードっていうレコード屋があって。そこで『どこに住んでるの?』って聞かれて、『下北(下北沢)に住んでます』って答えたら、次に行った時に「お前、下北に住んでるから、“シモキタ”ね」って。周りの人もそう呼ぶようになったので、ミックステープを出す時にDJ KOCO a.k.a. SHIMOKITAって名乗るようになりました。

――今の7インチレコードでプレイするスタイルは、どのように始まったんでしょうか?
東北の震災(2011年の東日本大震災)がきっかけですね。あの時に部屋のレコード棚が倒れてしまって。それで、棚をちょっと低くしたんですけど、そしたら部屋に置けるレコードの量が少なくなってしまって。けど、7インチだったら部屋に置けるかな?って思ったのが、一つの理由ですね。もう一つは、それまで12インチシングルでDJをやっていたんですけど、プレイしている時のドキドキ感が無くなってきていて。7インチだとより難しいから、チャレンジしてみようって。7インチを極めるまでやろうっていう気持ちで始めました。

――7インチレコードのプレイで、影響を受けたというか、参考にしたDJは誰ですか?
キッド・カプリが7インチでやっている映像を観たり。あとはロッキン・ロブとか、ダイアモンド・Dとかですね。例えばトリックだったり、12インチで出来るようなことは、何となく分かったんですけど。けど、ニードルドロップ(注:レコードのプレイしたい位置に針を落とす技術)だけは全く意味が分からなくて。「なんで、あんなに正確に出来るだろう?」って。今となってはコツも掴んできたし、何となく分かるんですけど、あれは結構、衝撃でしたね。

――7インチレコードでプレイする上での難しさって何でしょうか?
僕は7インチと12インチとでは、DJのやり方が全然違っていて。同じようにレコードを触るとすぐに針が飛ぶから、ソフトタッチで。なるべくバックスピンもしないで、ニードルドロップで戻す。あとはかっちり2枚使いのルーティンをするのは難しいから、ヘッドフォンでモニターしながら、その場で二枚使いみたいなのが多いですね。だから、現場で初めてやる2枚使いとかもよくあります。

――個人的にKOCO君のプレイで凄いと思うのは、プレイごとに毎回結構違うことをやっているところで。
まず一番大事なのは、僕自身が楽しみたいんですよね。だから、毎回同じようなことをやるんではなくて、違うことをやりたいなって。出来不出来は、その日によって違いますけど、まずは楽しむことですね。

――実際、プレイ中も本当に楽しそうにやってますよね。
自分の好きな曲しかかけていないので(笑)。

――例えば定番の曲をプレイしたとしても、他のDJとは全くかけ方が違うというか。7インチだからっていうのもあると思いますが、同じ曲をかけても他のDJとは全く違うように聴こえる気がする。グルーヴ感の違いなのかもしれないけど、それは何なのかな?って。
そう言ってもらえるのは嬉しいですね。僕が一番好きなDJって僕自身なんですよ。もちろん自分が好きな曲をかけているからっていうのもあるんですけど、選曲だけじゃなくて、その時の意外性とかも結構大事で。現場ってその日限りのものですからね。事前にある程度は組んでいくんですけど、途中でひっちゃかめっちゃかになったとしても、それが面白いのかなって思います。

――それは、その場のハプニングも楽しむくらいの感じで?
そうですね。ラベルが見えなくて、間違えて逆の面をプレイしちゃったり。でも、「意外とこっちのバージョンも良いな」って、そこからいつもかけているバージョンに戻したら、また違った感じになるから、お客さんもすごく盛り上がって、「結構良いじゃん!」って。そういうのは結構あったりしますね。そのプレイを覚えておいて、他でもやったりして。

――レコードについて伺いたいのですが、レコード屋にはほぼ毎日行っている感じですか?
はい。そのためにここ(下北沢)に住んでるので(笑)。新譜でLPとかも買いますけど、中古で買うのは7インチばかりです。よく行くのはディスクユニオンとJET SETですね。フラッシュ・ディスク・ランチは昔、バイトをしていたこともあって、今もたまに行ってます。

――ここ数年は、再発とかも含めて7インチのリリースがすごく増えていますよね。
もともと7インチが存在していなかった曲が、7インチで出たりするのは嬉しいですね。

――それこそ、KOCO君がセレクトとエディットをした、ヒップホップクラシックの7インチも出てたりしていますが、やっぱり、あれは自分がかけたい曲をセレクトしたんでしょうか?
そうですね。かなりマニアックだけども、ゴーサインを出してくれて。「絶対に売れないっすよ」って言ったんですけど、「それでも良いです」って言ってもらって。あれをやらせていただけるって、本当にありがたいですね。

――まだまだ、この曲を7インチで欲しいというものは沢山ありますか?
いっぱいありますけど、無いものは無いので。結局、選択肢が限られているから、その中から選ぶっていうのが面白いのかもしれません。もちろん、今は再発とか出てきて、チョイスの幅は多くはなってきているんですけどね。

――中古盤を掘っていて、「こんなのも7インチあるんだ?」っていうのも結構ありますか?
それもありましたね。US盤は無いけど、ヨーロッパ盤ではあるとか。あるいはヨーロッパ盤も無いと思ったら、ブラジル盤だけあったとか。謎すぎて、何が何だか分からないんですけど(笑)。

――たまにインスタに出てくる、ヒップホップのジャマイカプレスっていうのは、あれは何なんでしょうか?
あれはブート(海賊盤)ですね。ジャマイカで流行っていたアメリカのアーティストの曲を、自分達がプレイしたいからって、ジャマイカ人が勝手に作っていたやつで。2000年前後の曲が多いんですけど、ジャマイカでヒットした曲が中心で、ぶっちゃけジェイ・ZとR・ケリーが半端なく多い(笑)。7インチでその辺りのヒップホップって正規盤がないので、必然的にそういうブートを探すようになって。昔はレゲエのレコード屋さんダンスホールの百円コーナーに沢山あったんですよ。お店の人にも「こんなのいるの?」って言われるくらいで(笑)。当時は誰も探してなかったから、安くて買ってたんですけど、今はみんな、それに気付いちゃったから。海外の人も探すようになって、値段も上がってしまって、全然買えなくなりましたね。

後編:現場で2枚使いしている、お気に入りの7インチレコード3点ご紹介

KOCO a.k.a. SHIMOKITA

KOCO a.k.a. SHIMOKITA
世界のVINYL DIGGERをも唸らせる選曲と、バトルDJにも引けを取らないパーフォーマンス性・技量を併せ持ち、ライブ感120%のそのPLAYは常にオーディエン スを魅了する。FUNK、SOUL、DISCO、REGGAEなど様々なジャンルをHIP HOP的な解釈、手法で操る45's DJ。

Text & Photos by Kiwamu Omae
撮影協力 ディスクユニオン下北沢店

世界中のレコードを、その手の中に
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