「酒とレコードと男と女」お酒とレコードを楽しめるお店を巡る(第7回)

WRITER
ジョー横溝

レコードバー 33回転


井の頭線・渋谷駅の246号側、つまりキャバクラ街の中にその店はある。しかも、店が入っている雑居ビルも完全なるキャバクラ・ビルなので、初めての人は少し勇気が必要だが、地下1階にある「33回転」は外の世界が想像できないほどお宝盤が満載のレコード・バーだ。

文字数が尽きる前に結論を書いておくと、60年代のビート系ロックが好きならば、この店は絶対に行くべし。
とにかく、60年代のビート系に関しては、貴重盤、レア盤の宝庫なのだ。
少しだけ具体的に書くと、The Beatles、The Rolling Stones、The Who、Small Facesは全アルバムをUKのオリジナル盤で揃えている。

それから、Ron Woodの実兄のArt Woodが率いたバンド、THE ARTWOODSのオリジナル盤や、PICADILLY LINE、John Lennonと縁のあるGRAPEFRUITといったサイケデリック・ポップ・バンドの名盤のオリジナル盤が普通に置いてあるマニア垂涎なお店なのである。

それだけではない、音の良さを追求しているのでシングル盤の収集も余念がない。
で、市販のシングル盤がない曲に関してはプロモ盤まで置いてある。(写真のVelvet Underground)の『SUNDY MORNING』など)

もちろんお店のオーディオもその音を楽しむ用にしっかり対応しているので、オリジナル盤の音、モノ盤の音をリアルに堪能出来る。
ちなみにレコードの総数はLP4,000枚、EP2,000枚。内訳でいうとロックが7割、残りがジャズ、映画音楽、ワールド系。なので、60年代ビート系以外も充分に楽しめる。ちなみに、店主・伊藤滋さんが好きなアメリカのバンドはThree Dog Night、Steve Miller Band、Cold Bloodでその周辺は濃く置いてある。ただし、ロックでもプログレ、メタル、ヒット曲系は置いてない。

このお店に来たら、他では聴けないお宝のレコードの曲を楽しむのはもちろんなのだが、店主・伊藤滋さんによる曲の繋ぎも楽しんで欲しいのだ。例えば、少しハードな曲が掛かっているとしよう。そこにGeorge Harrisonのリクエストが来る。普通のお店ならリクエストの順番でGeorge Harrisonを掛ける。だが、伊藤さんは曲の流れを大事にする。ハードな曲からどうやってGeorge Harrisonに辿り着くかを伊藤さんは考えながら曲をつないでゆく。あるいは、1曲をリクエストしても、その曲だけを掛けるのではなく、そのアーティストの外輪をなぞりながら曲をつないでいく。つまり客は美味しい酒を飲みながら知らぬ間に壮大なロック・ツリーを体感できるワケだ。
とは言え、伊藤さんもお酒を飲みながら、楽しみながらの選曲なので、難しく考える必要はない。ただ、あの曲とあの曲を何でつなぐのか?ジャンルだけではなく音圧まで意識して選曲するので、お酒を作りながらは不可能で、選曲に集中するためにバイトを入れている。

お店は4年前に開店。もともと飲食系のサラリーマンだった伊藤さんが、51歳で脱サラして開店したという。撮影の際に手にしてくれたのは最初に買ったオリジナル盤だというThe Who『My Generation』。オリジナル盤なので65年のレコードだ。開発が進む渋谷で60年代の音が毎晩爆音で大量に解き放ているなんて、本当に素敵な空間だ。
そして、60年代のロー・ファイな音をアナログで聴きながら飲む酒は最高に美味い。

record bar 33 1/3rpm
☆住所:渋谷区道玄坂1-6-2渋谷Five Bld.byCOAST 地下1階
☆営業時間:19時~26時
☆定休日:日曜日 祝日
☆予算:3,000円
☆音楽のジャンル:60年代、70年代のロック中心。特に60年代ビート系はお宝の山。
☆レコード数:LP4,000枚・EP2,000枚 https://www.33-1-3rpm.com/

世界中のレコードを、その手の中に
  • Google Playでアプリをダウンロード
  • App Storeからアプリをダウンロード

関連記事


新着記事

すべての記事をdig!