「酒とレコードと男と女」お酒とレコードを楽しめるお店を巡る(第2回)

WRITER
ジョー横溝

Grandfather's


眠らない街、若者の街、変わり続ける街・・・渋谷。
いつ行っても駅周辺はまるでお祭りのように人が溢れているが、駅からほんの3分ほど、明治通りを原宿方面に向かった古いビルの地下にある『Grandfather's』は渋谷とは思えない大人が落ちつけるミュージック・バーだ。

明治通りからビルの階段を下り『Grandfather's』の扉を開けるとそこには外の喧騒とはまるで違う空気と時間が流れている。
創業は1971年。高度成長期も、バブルも、不景気も、出逢いも、別れも、全てを包みこんできたからか、店自体から人肌の包容力を感じる。そして、その包容力の秘密の1つが、絶えることなく流れてきたレコードであることは間違いない。

店内のレコードの数は70’sロックを中心におよそ2000枚。そのレコードからの曲が絶え間なく流れるが、アルバムを垂れ流すわけではない。アルバム1枚から1曲を選曲。1曲が終わると別のアルバムからまた1曲…それが途切れることなく続く。お客さんのリクエストを受けつつ、曲の流れを大事にして、リクエストの隙間を店主の選曲が埋める仕組みだ。
僕が居た間も、70年代の名盤・ダニ・ハザウエィの『ライヴ』から「What's Going On」、ザ・ビートルズの「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」といった60’s、ライオネル・リッチーの「ユー・アー」といった80’s、ノラ・ジョーンズの「ドント・ノー・ホワイ」といった2000年代の曲と、様々な時代の名曲達が選曲されていた。しかもプレイ中のレコード・ジャケットが壁に置かれるので、そのジャケットを見るのも楽しい。因みに、音量は大き目だが、レコード、そして選曲の妙か会話も酒も心地よく弾む。

取材でお邪魔した日は水曜日の21時過ぎだったが、満席。客層は40代以上、しかも仕事帰りのサラリーマンがほとんどだが、バカ騒ぎをする者はおらず、音楽と酒と会話を楽しんでいる。

筆者もすっかり酒と音楽に夢中になっていたが、取材だったことを思い出し、レコードをまわしているマスターに「グレイトフル・デッドのレコードはないですか?」と話しかけると「デッドはないです。嫌いなので。デッドは難解だから」と即答されてしまった。そんなマスターの究極の1枚を尋ねると、キャロル・キングの『つづれおり』だと教えてくれた。マスターがこの店に入ったのが1972年。その当時、お店でかかりまくっていたのがこのアルバムで聴き込み、惚れ込んだそうだ。
お店で流れるレコードはメロウでわかり易い歌物オンリー。実験的で難しい音は流れない。でも、そのメロウな歌が渋谷という街のシェルターになり、この店と客を包み守ってきた気がする。筆者が好きなデッドがないのは寂しいが、悔しいけど、この店、またすぐに来てしまいそうである。

Grandfather's
☆住所:東京都渋谷区渋谷1-24-7渋谷フラットビル B1F
☆営業時間:17:00~翌3:00
☆定休日:日曜日、年中無休
☆予算:2500円〜
☆音楽のジャンル:70’s AOR・ソフトロック中心
☆レコード数:2000枚
http://grandfather.jp/shibuya/

世界中のレコードを、その手の中に
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