ニューヨーク・クラブ伝説 ~パラダイス・ガラージ体験記~

WRITER
鷲見和男

パラダイス・ガラージ(Paradise Garage、以下「ガラージ」)はニューヨークで1977年から1987年まで営業していた伝説的なディスコで、メインDJのラリー・レバン(Larry Levan、以下「ラリー」)による独創的な音響システムとDJプレイは世界中のディスコシーンに影響を与えたと言われています。1980年代中頃にタワーレコード札幌店で働いていた私は、当時札幌で活躍しており既にガラージを体験していたDJ NORI氏から色々な情報を教わり、ガラージで人気のレコードを仕入れたり海外の雑誌からも情報を集めながら、いつかガラージに行く事を夢見ていたのですが、その機会は突然やってきました。

Paradise Garage 1987 by Kazuo Washimi

1987年夏のある日、ニューヨークに住んでいたDJ NORI氏からガラージが9月で閉店するらしいという電話を受けた私は、ニューヨークへ行く事を決断しました。

結果的にNY滞在は3週間ほどで、ガラージには2回しか行けませんでしたが、実際のガラージはダンスフロア以外にも色々なスペースがあり、カルチャーショックでした。ショックで完全に情報の消化不良を起こしてしまいましたが、、、当時の断片的な記憶を掘り起こしてラリーがプレイしていたレコードをご紹介します。基本的には12インチシングルでプレイされていましたが、かなりレアなレコードもあるので、ここではなるべくアルバムでご紹介することにします。

■Fingers Inc. 「Mystery Of Love」

(Mystery Of Love(12”)/1986/D.J. International Records/DJ 892)

1985年にNME、The Face、i-DといったUKの雑誌が競ってシカゴ発のハウスミュージック特集を組み始めたのですが、1986年リリースで自分がDJするときに好んでプレイしていたこのレコードをガラージで聴いた時の衝撃は忘れられません。「ガラージのダンスフロアでスピーカーの前でタバコを吸うと強烈なベースの音圧で煙が揺れる」という都市伝説的な現象も実際に体験しましたが、この曲の終盤でディレイが多用されている部分のボーカルが天井をグルングルン回るのを感じた瞬間は圧巻でした。

■Chaka Khan「I Know You I Live You」

(What Cha' Gonna Do For Me/1981/Warner Bros./HS 3526他)

チャカ・カーンの大好きな曲ですが、これもガラージのフロアで聴くと圧倒されました。更に、この曲の次にプレイされた曲(何の曲か覚えていません・・・)の後半から「I Know You I Live You」のリプリーズ・バージョンが小さいボリュームでミックスされ始めて、突然爆音で戻ってくるという演出には鳥肌が立ちました。

■The O'Jays「I Love Music」

(Family Reunion/1975/Philadelphia International/PZ 33807)

ガラージ・クラシックスとして知ったのですが、超シンプルかつポジティブなメッセージの曲で大好きでした。オリジナルは7分近くある長めの曲なのですが、ラリーによって途中から聞いた事のない長めのインスト曲を挟んで再度サビからプレイされるとフロアは頂点に達し、結局「I Love Music」で30分くらい踊らされてしまいました。

次ページ:ガラージで当時プレイされたレコード

鷲見和男

鷲見和男
1980年代から1990年代の輸入レコード・バイヤー経験を経て、2000年代は音楽配信サービスに従事。1987年に初めて渡ったニューヨークで本場のクラブシーンに衝撃を受ける。帰国後はフリーペーパーやクラブ音楽専門誌で多数のレビュー、インタビューを担当。渋谷、青山のクラブやDJバーで音楽パーティを開催し、DJも担当。得意なプレイ・スタイルは、1980年代のポスト・ディスコやニューウェーブと2010年代のニュー・ディスコやインディーズ・ダンスのミックス。

世界中のレコードを、その手の中に
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