サイン蒐集家ゴベの正体に、DJ JINが迫る!

WRITER
富山 英三郎

音源が良くてもライブがダメだったらサインは貰わない

DJ JIN:昔からアーティストがジャンルを超えてっていう横のつながりはあるけど、それを深いカタチで実践しているミュージックラバーがいるのは心強いよ。ちなみに、サインを貰う人の条件みたいのはあるの?

五辺:さっきも言ったけど、まずは曲がよくてアナログが出ていること。さらに、ライブが良くないとサインは貰わない。ライブが悪ければ、本人が近くにいても貰わない。なんなら売っちゃうこともある。だから、ディアンジェロもライブを観てから聴かなくなっちゃった。クリス・デイブのドラムがクソつまんなくて。

DJ JIN:クリス・デイブはどんな感じだったの?

五辺:そつない感じ。そういう人嫌いなんだよね。ロック出身だからズルムケな人が好きなの。

DJ JIN:エモーショナルなほうがいいんだ。

五辺:そう、器用貧乏みたいな人は好みじゃない。そういう人のサインはいらない。でも、それまで聴いていなかったのに、対バンとかでライブが良かったら作品も良く聴こえてきたりもする。

DJ JIN:五辺ちゃんが俺を知ってくれたのも現場だからね。当時、西麻布のイエローというクラブでDJをしていて、そこに面識もない五辺ちゃんがたまたま遊びに来てくれてたみたいで。その2週間後くらいに、ブラフマンのTOSHI-LOWから格闘技の練習に誘われて。彼の事務所に行ったら、柔術の先生が五辺ちゃんだった。俺が入ってきた瞬間、驚いてあやうくTOSHI-LOWに技をキメられそうになってたもんね(笑)

五辺:そうそう、TOSHI-LOWが知り合いを連れてくるっていうから、ミクスチャーバンドの人だと思ってて。そうしたら、ちょっと前に聴いたばかりのDJ JINが来てびっくりしたのを覚えてる。

DJ JIN:練習後に飲み屋に行って、TOSHI-LOWがトイレにいった隙に「実は、数週間前のイエローでDJを聴いて」と言われて。俺はハードコア系の人だと思ってたから、「ほぉ」って感じだったんだけど、いろいろ話を聞いてみると「ほぉ、ほぉ、ほぉ」って。ヒップホップもスピリチャルジャズもすごく詳しくて、自分なりの選球眼みたいのもあって、結構おったまげた。そこから付き合いが始まったもんね。

五辺:実は、その前にもDJ JINのヒップホップセットとかは聴いたことがあったの。でも、イエローのときはエレン・マキルウェインのライブがあって、そんな中でJINくんがフェラクティとかアフロビートをプレイしてて、こういうのもかけるんだってビックリしたんだよ。あと、ライムスターのライブは、99年12月30日にピート・ロックとフレディ・フォックスが出るときに。

DJ JIN:あ~、あったあった!

五辺:そのとき、ライムスターはアルバム『リスペクト』を出した後で、すごくいいライブをしていて。逆に、その後のピート・ロックがクソつまんなくて途中で帰ったんだけど。帰り道に友だちと「ライムスターは良かったよね~、年内最後のライブが残念なことになりそうだったけどあれで救われたよね~」なんて話をしたのを覚えている。だから、そのときから一目置いてたんだよ。

DJ JIN:ありがとうございます。でも、フォーキーなソウルであるエレン・マキルウェインのライブを観に来る、五辺ちゃんの奥深さがすごいよ。音楽に対して何かしら芯があるのはわかるけど、五辺イズムというか、音楽の価値観を抽出しづらいんだよね。まだ分析し切れてない。

五辺:いやいや、好きなラインは掴まれてるよ。だって、DJを聴きに行くと狙い撃ちされるときがあるから。

DJ JIN:それはまぁね。

五辺ちゃんと会って、サインを貰う側の気持ちがわかるようになった

DJ JIN:五辺ちゃんと出会ってから、サインを貰いに来る人の気持ちがわかった部分があって。こんな仕事をしてるけど、日本人的な照れくささもあるんですよ。若い頃はとくに、「えっ、俺のサインなんかもらっても…」みたいな気持ちがあって。昔とか、宅急便に書く署名くらいの感じで、照れていたあのときの俺はダメだったなというのに気付けたり。あとはね、どこにサインをするか問題というのがあるんです。自分ではここだろうと思っていても、貰う側からすると「そこじゃねーだろ!」とか。

五辺:あるある。

DJ JIN:アルバムを持って来てくれたファンにとっては、作品も大事だしサインも大事なわけで。ライムスターのメンバーは、位置とかを考えながらバランスよくやるようになっていて。なので、「サインをお願いします」と言われても、大きくガバーッとは書かずに小さく書いて「いつかメンバー全員をコンプリートしてね」って渡す。そのために小さく書いたんですよって。

五辺:それは素晴らしい。可能ならいつか揃えたいわけですから、ありがたいです。

DJ JIN:五辺ちゃんのおかけでね、そこは気づかせてもらえた。最近は腰を痛めてスタンディングのライブには行けていないみたいだけど、代わりにジャズのライブを月に5~10本は見てるんでしょ? その情熱もすごいよね。連載も楽しみにしています!

五辺:ありがとうございます!

取材・文:富山 英三郎
写真:則常 智宏

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