サイン蒐集家ゴベの『サイン入りレコード A to Z』第55回 envy (前編・後編)

WRITER
五辺宏明

レコード&昭和プロレス愛好家のゴベと申します。
今回は思い入れの強いバンドを取り上げた為、長文になってしまいました。前後編に分けて掲載させてください。

第55回 envy (前編)

1994年4月20日
三軒茶屋ヘブンスドアへ。目当てのFIGHT FOR YOUR RIGHTがWRENCHに改名したことを知ったのは、会場に到着してからのことです。対バンは知らないバンドばかりでしたが、2組のハードコアバンドがカッコ良かったので大満足。
楽しかったので、打ち上げにも参加することに。私が着ていたジ・アンダーテイカー(当時WWFで活躍していたプロレスラー)のTシャツに激しく反応したテッちゃんというヴォーカリストと仲良くなり、彼が在籍するBLIND JUSTICEのライブに通うようになりました。現在のenvyです。

インターネットなんてものが無い時代の情報源は、口コミとチラシでした。フライヤーではありませんよ。チラシです。フライヤーなんて呼べるような代物ではなくて、コンビニでコピーした手書きのチラシを多くのバンドマンが配っていました。個人情報なんてダダ漏れ。バンドマンの自宅の電話番号が普通に載ってるんですから。
(携帯電話を持ってる奴なんてほとんどいない時代の話です)
そんな訳で、しょっちゅうバンドマンの家に電話をかけてライブの予定を訊いていました。連絡先が実家というケースも割とあって、電話をかけたらお母さんが出てびっくり! なんてことも一度や二度ではありません(笑)
デモテープなんかもメンバーから直接購入するのが当たり前でしたからね。SWITCH STYLEのデモテープだって、若かりし頃のあの社長から300円で買いましたよ。
未だに手元にある多くのデモテープの中で最も聴いたのがBLIND JUSTICEの2nd.デモ。このテープに収められた8曲はデモとは思えないほどのクオリティで、アルバム感覚で聴いてました。こちらもギタリストのビッチ君(飛田雅弘氏)から購入したものです。



BLIND JUSTICE『BLIND JUSTICE '94』cassette

1995年
当時はハードコアやミクスチャーロックバンドのライブで狂ったようにモッシュやステージダイブを繰り返す日々を送りつつ、自宅では様々なジャンルの音楽を楽しんでいました。その頃、最もライブを観てみたかったのがLove Tambourinesです。2月に出た初のフルアルバム『Alive』があまりにも素晴らしく、そのリリースライブが渋谷公会堂であるというので日付を確認すると、なんとBLIND JUSTICEの7インチ発売記念ライブと同日。Love Tambourinesのライブを観てみたい気持ちは強かったものの、即座に断念して当初の予定通り、BLIND JUSTICEを観に行くことに。彼等が初めて作った7インチのレコ発です。迷いはありませんでした。
結果的に、このツアーを終えた後に解散してしまったLove Tambourinesのライブを観るチャンスを逃してしまったことになるのですが、後悔はありません。BLIND JUSTICE(ということはenvy)がブレイクする瞬間に立ち会えたのですから。
(余談になりますが昨年、元Love TambourinesのEllieさんとお話しさせていただいた際にenvyの話題になったことがありまして、なんとEllieさん、envyを好んで聴いていらっしゃるとのこと。驚いてこのエピソードを伝えました)

単独7インチのレコ発を成功させたBLIND JUSTICEは、続けざまに59 TIMES THE PAINとのスプリット7インチをリリース。しかし、その直後にドラマーのノブ君が脱退。


BLIND JUSTICE / 59 TIMES THE PAIN split 7"

NOBUKATA
1995年7月8日 @私が昔住んでいたアパート

"In The Middle Of The Rage"と"You Have A Voice..."を提供した『FAR EAST HARDCORE』というオムニバスのリリース前後に新ドラマーを加え、envyに改名。
その後、幾度かのメンバーチェンジを経て、深川哲也 (vo)、中川学 (b)、河合信賢 (g)、飛田雅弘 (g)、関大陸 (ds) の最強メンバーが揃ったenvyは国内のみならず、海外からも絶大な支持を受けるようになりました。
しかし、残念ながら彼等の飛躍する姿を目撃していません。2001年から柔術という格闘技を習い始め、仕事と練習が生活の中心になっていた私は、ライブを観に行くことが少なくなり、彼等の快進撃を人づてに聞いていただけでした。

2013年某日
長年の格闘生活で抱えた身体の故障が悪化した為、ストラッグルというキックボクシングジムで担当していた柔術クラスを終了させていただいてから数ヶ月経った頃、一本の電話がありました。envyのテッちゃんです。
「結成20周年記念に制作しているブックレットにディスコグラフィーを載せるんだけど、BLIND JUSTICEの2nd.デモテープを持っているメンバーが1人もいないのでネットで調べたら、最初にゴベちゃんのブログが出てきた(笑) 貸してもらえる?」と言うのです。彼等のライブに顔を出さなくなって10年以上経っているというのに、テッちゃんの口調は昔のままでした。もちろん、断る理由などありません。デモテープの貸し出しと、20周年ライブを観に行く約束をしました。

2013年6月1日
リキッドルームでenvyの結成20周年ライブ「LAST WISH 20th Anniversary tour INVARIABLE WILL, RECURRING EBBS AND FLOWS」。1曲目はまさかの"Guilt"。初期の人気曲です。間髪いれずにクラウドサーフ&ダイブ。
リキッドルームのような大箱を余裕で埋められるくらい人気のあるバンドになっていたことは知っていたけれど、それでも感慨深くて泣きそうに。フロアで暴れている客が2、3人しかいなかったBLIND JUSTICEは20年世界中を駆け巡り、大きな大きな存在になっていました。

バックステージは同窓会みたいな感じで。久々に会うバンドマン達と祝盃を重ね、打ち上げにも参加。


BLIND JUSTICE『THE WAYS OF KEEP LIVES』7"

NOBUKATA
1995年7月8日 @私が昔住んでいたアパート

NAKAGAWA、TETSU
2013年6月1日 @恵比寿の居酒屋

打ち上げ会場の居酒屋で、テッちゃんと中川君にサインを入れてもらったBLIND JUSTICEの7インチ。
信賢君のサインは、この7インチが出た当時、我が家で飲んだ際に書いてもらったものです。あの頃、お互いの住まいが近かったので。
ちなみに「ノブ・カタオ」ではありません。なんで「男」って書いたんだろ? 意味不明(笑)
そしてもう1枚。


envy / SIXPENCE split 7"

KATO
1997年9月28日 @新宿アンチノック

NAKAGAWA、NOBUKATA、TETSU
2013年6月1日 @恵比寿の居酒屋

テッちゃん、中川君、信賢君にサインを入れてもらいました。
よーく見ると、当時ドラムを叩いていたカトー君のサインも入ってます。リリース直後に他の3人にも頼んだけど「やだよ、知り合いじゃん」とみんなに拒否されました。カトー君だけがサインを入れてくれたんですよね。ボールペンで(笑)



20周年記念のブックレットもいただきました。




envy『INVARIABLE WILL, RECURRING EBBS AND FOLWS =+TRACE』

ディスコグラフィーのページにBLIND JUSTICEの2nd.デモテープがちゃんと載っていて一安心。ビッチ君にテープを渡したのが5月15日。間に合って良かったです。
という訳で、このブックレットが完成したのは私のおかげです(自画自賛)。

(後編に続く)

五辺宏明(ゴベ ヒロアキ)

五辺宏明(ゴベ ヒロアキ)
レコード&昭和プロレス愛好家。 ライブハウスやクラブに足を運び、レコードにサインを入れてもらうことに喜びを感じる生き物。 そんなサイン入りレコードにまつわるアレコレをA to Z順に綴る。 ちなみに、生まれて初めてサインをお願いした有名人は故ジャイアント馬場氏。 (でも本当は80年代の新日&UWF派。好きなレスラーはブロディ、藤波、小林邦昭、後藤達俊、阿修羅原!)

世界中のレコードを、その手の中に
  • Google Playでアプリをダウンロード
  • App Storeからアプリをダウンロード

関連記事


新着記事

すべての記事をdig!