サイン蒐集家ゴベの『サイン入りレコード A to Z』第21回

WRITER
五辺宏明

レコード&昭和プロレス愛好家のゴベと申します。
今回は伝説のスーパーヒーローです。

第21回 TIGER MASK

まさかまさかの初代タイガーマスク!!! 老若男女が熱狂した正真正銘の大スターです。
1981年4月23日、蔵前国技館における衝撃のデビュー戦から続いた一連のダイナマイト・キッド戦。そしてブラック・タイガー、小林邦昭との名勝負の数々。興奮しましたよね。
戦慄のエル・ソラール戦を覚えている方も大勢いらっしゃるはずです。

もちろん、皆さん御存知だとは思いますが、初代タイガーマスクの正体はあの佐山聡です。引退直後に出演した『欽ちゃんのどこまでやるの!?』でマスクを脱いだ時は、本当に驚きました。
(何ことだかさっぱりわからないヤングは、お父さんに訊いてみてください。昭和の常識です。万が一、お父さんがこの大事件を知らない場合は「初代タイガー 欽どこ」で検索してみて下さい。映像を観ることができると思います。見栄晴も出てますよ!)

・・・すみません。とっとと話を進めましょう。見栄晴の解説は自粛します。

2018年4月21日
この日は「RECORD STORE DAY」。
『DONUTS MAGAZINE』を読んいただいているようなコアなレコード愛好家の皆様には説明不要でしょうが、念の為。
(プロレスファンが読んでくれているかも知れませんので)

2008年にアメリカでスタートした「RECORD STORE DAY」は、毎年4月の第3土曜日に開催されるレコードの祭典です。世界各国のレコード店でイベントが行われたり、限定商品がリリースされたりする、朝から晩までレコードマニアが浮き足立ってしまう一日なのです。
しかし、この限定商品というのが厄介でして、開店前から並ばなければ入手できないようなものが多いのです。アナログ盤を出してくれるのはとても喜ばしいことなんですが、もっとプレス数を増やしてくれれば・・・と思ってしまうんですよね。

そんな訳で、この日は早朝から渋谷のHMVに並びました。開店直後に目当ての2タイトルをゲットして、さっさと帰宅。
ほんとは入手できなっかったレコードがいくつかあったので他店も覗きたかったし、気になるインストアライブもあったんですけど、非常に重要なイベントが控えていたからです。

自宅で食事をとり、一休みしてから水道橋へ。15時からプロレス・マスク・ワールドというプロレスマスク専門店で、初代タイガーマスクの2ショット撮影&サイン会。80年代に一大ブームを巻き起こしたあのタイガーマスク(佐山聡)に会えるのですから、私にとっては「RECORD STORE DAY」以上のビッグイベントです。
2ショット撮影会に参加するには20,000円(!)以上、サイン会には2,000円以上の商品を購入しなければなりません。庶民の私は当然、サイン会のみの参加です。

まず最初に2ショット撮影会。その後、20分間の休憩を挟んでサイン会、という流れ。2ショット撮影会参加者の人数次第で時間が変動する為、店の外で待つしかありません。この日は4月とは思えない暑さで、日陰に退避しながら待つこと1時間半・・・。

16時30分。遂にサイン会がスタート。
私が持参したレコードは2枚。どちらにサインをお願いしようか悩みました。
第1候補はこちら。

  

『THE TIGER MASK』LP

古舘伊知郎の名調子が炸裂する試合の実況や、佐山先生の歌を堪能できるタイガーマスクのピクチャー盤。
美しすぎるローリング・ソバットの写真にサインが入れば最高なんですが、ピクチャー盤なのでそんな訳にもいきません。だったらジャケット裏面のクレジット辺りに入れてもらおうと思っていたのですが、直前になって第2候補に変更することに。

  

V.A.『新日本プロレス スーパー・ファイターのテーマ II』LP

キラー・カーンさん
2011年3月1日 @立ち呑みカンちゃん

初代タイガーマスク a.k.a. 佐山聡さん
2018年4月21日 @プロレス・マスク・ワールド

当連載の第12回で紹介させていただいた新日本プロレスのテーマ曲集です。
(キラー・カーンさんのサインが隠れてしまうので、普段は帯を外してます)

実はこの手のプロレス入場テーマ曲のレコードって、実際に試合会場で使用されていたものとは異なるカバーバージョンが収められていることが多々ありまして、このLPのアントニオ猪木や藤波辰巳(当時)のテーマ曲も全く違うバージョンなのです。
肝心のタイガーマスクのテーマ曲なんですが、こちらに収録されている"ローリング・ソバット"という曲を聴いた記憶が全くありませんでした。もはやカバーでさえ無く、単にレスラーをイメージしただけの数合わせ的な曲だと思っていたのです。しかし、そんな思い込みが数年前に覆されました。

2014年に発行された流智美氏の著書『詳説 新日イズム 完全版』の巻末に収録されたプロレス研究家のコブラ氏が手掛けた「新日本プロレス入場テーマ曲大図鑑(昭和編)」によると、1982年の「ビッグファイトシリーズ」開幕戦での使用が確認されているそうなのです。しかもこの日の放送は、野球中継の為にお蔵入りになったという記述が! コブラ氏の深い知識に敬意を表します。
他にも驚きの事実が次々と発覚し、私の周囲(RHYMESTERのDJ JIN君とか)では当時話題になりました。「坂口征二が"Shaft in Africa"で入場していた」なんてことが書いてあるんですよ! ディガーは必携です。

流智美『詳説 新日イズム 完全版』

ちなみに、"ローリング・ソバット"の作編曲は『ルパン三世』や『キャプテンフューチャー』を手掛けた大野雄二です。和モノ愛好家の皆様はもちろんチェック済みでしょう。未聴の方は掘ってみてください。バッドニュース・アレンのテーマ曲も大野作品です。

・・・長々と失礼しました。話をサイン会に戻します。

といった訳なので、『新日本プロレス スーパー・ファイターのテーマ II』にサインを入れてもらっても問題ないのです。
「佐山先生がその存在を覚えていらっしゃらないと思われる楽曲しか入っていないレコードにサインをお願いするのってどうなの?」と当初は考えていたんですけど、実際に試合会場で使われたことがあるようですし、何より帯にデカデカとタイガーマスクの名前が書かれているんですから。
(タイガーマスク人気に便乗したあこぎな商ば・・・以下自粛)

やがて列が進み会場に入ると、マスクをかぶった佐山先生、いや、タイガーマスクの姿が!
私が差し出したLPを見て、マスク越しに優しい笑顔を浮かべたタイガーマスクは、慣れた手つきでサインを書き込んでくれました。

次回はUです。
(残念ながらUWFのレコードではありません・・・)

五辺宏明(ゴベ ヒロアキ)

五辺宏明(ゴベ ヒロアキ)
レコード&昭和プロレス愛好家。 ライブハウスやクラブに足を運び、レコードにサインを入れてもらうことに喜びを感じる生き物。 そんなサイン入りレコードにまつわるアレコレをA to Z順に綴る。 ちなみに、生まれて初めてサインをお願いした有名人は故ジャイアント馬場氏。 (でも本当は80年代の新日&UWF派。好きなレスラーはブロディ、藤波、小林邦昭、後藤達俊、阿修羅原!)

世界中のレコードを、その手の中に
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