私もメンバーとして参加している純国産日本人音源ONLYで展開する和物パーティー『グルービー和物サミット』の10周年イベントが先日、渋谷CLUB BALLで行われたのですが、GUEST DJで参加して頂いたMURO氏が当日プレイした内容が超DOPEで、ブース前・フロアー・BARの方までロックしまくってくれました。
イベント当日にMURO氏によってプレイされていた数々の和物RARE GROOVEの中から、海外で受ける代表的な和物サントラのスコアーの例としてこの作品をピックアップしたいと思います。
ミステリー金田一バンド / 横溝正史ミュージック・ミステリーの世界 金田一耕助の冒険
横溝正史原作の小説『金田一耕助』シリーズをイメージして作られた楽曲を集めたアルバムです。全ての楽曲が金田一をイメージして作曲された、インストゥルメンタルによるイメージ・アルバムという内容で、楽曲を担当したのが、高田弘・成田由多可・羽田健太郎と 劇伴音楽においても数々の作品を手掛けてきた三本柱。三者共にオリジナリティーのある展開をみせる中、どれをとっても”金田一耕助”をイメージする事が出来る、完璧過ぎる楽曲の数々を収録しています。
近年、『和モノ』(wamono)は日本国内に留まらず海外でも熱い眼差しで『和モノ・レア・グルーヴ』としての盛り上がりをみせていますが、本作においては日本独特のオリエンタル風味を醸し出した楽曲に、 黒々しいブラックネスを感じる事の出来る濃厚なグルーヴが海外のアーティストからも絶大な人気を博し、サンプリング・ソースとしてもピックアップされています。海外の音源にも劣らない純正国産音源最高峰として、何年経っても国内外問わず人気の盤ですね。
私達が海外のサントラやスコアー物を探す基準は、サンプリング・ネタ的要素やGROOVE感、FUNKY具合など制作向きなノリやDJ PLAY出来るかどうかなどが大きな比重を占めると思うのですが、海外から見た日本のサントラ関連もやはりノリは同じで、素晴らしい内容のモノが沢山存在します。本作に限らず映画、アニメ、ドラマetcのサントラ、音楽集などは洋楽にはない日本独特な感じが受けているのでしょう。よく海外からの問い合わせやWANT LISTを貰うのですが、本当に詳しいなと心底感じますし、私達が知らないタイトルのサントラ関連もよく目にします。日本人の私達でさえ新鮮に感じられる和物サントラは、海外ではもっとデカイ意味合いで「新鮮で新しい物」といった感じなのだと思います。
ちなみに、以前DJ SPINNAに和物レコードをピックアップしたことがあるのですが、80’SのFUSION以外は全部和物のサントラを有るだけ聴かせて欲しいと言われた事もありました。日本のサントラONLYや和物ONLYでサンプリングしてアルバムをリリースするアーティストも居たりしますし、色んな引き出しとしての可能性を日本人の私達よりも見出しているのかもしれませんね。私達が洋楽を探しまくるのと全く同じ事なわけで、本当に何事もKEEP ON DIGGIN’ですね。
手前味噌ですが、この『金田一耕助の冒険』は1400枚オーヴァーのヴォリュームで構成された和モノ事典、JAPANESE GROOVE DISC GUIDE『和モノA to Z』との連動シリーズ第1弾で私の監修により再発させて頂いています。
CHINTAM(DJ)
DAYJAM CREW所属。オール・ミックスのDJ / レコードバイヤーとして活動中。Soul View Records、Turtles Records、Spice Records、HMV record shopのバイヤーを経て現在はBLOW UPを主宰。洋楽だけに留まらず、新旧問わず和モノを中心に良質な音源を紹介し、アナログ盤の再発・企画などのディレクションなども行っている。また2015年4月にリットーミュージックより発刊されたJapanese Groove Disc Guide「和モノA to Z」の監修・執筆を担当。同書においては現在VICTOR音源で連動シリーズを展開中。